森 文彦さん 74 歳
地域の伝統芸能を子供達に伝えたい、26年間子供達を指導。

青年団演劇で自分が出来ることは何か

寿式三番叟の練習

 昔から鬢付け油の臭いが好きで、理容師を志した森文彦さん。理容師の修業を終え田舎に戻ってくると、神社境内の中で農村歌舞伎が盛んに行われていました。農村歌舞伎に魅せられた森さんは、自分も歌舞伎に携わりたいと考え、仕事柄メイクと好きな踊りだと思いつき、メイクアップについて大阪の専門学校へ通って勉強を始めました。
 そして昭和37年より旧清水町(五郷・ 二川・西八幡・久野原・清水・安諦)で行われた青年団演劇の手伝いや、各所で開かれる公演の手伝いに出向きました。
 現在は、二川・粟生地区で開かれる発表会に化粧の手伝いで参加しており、踊りの指導も行っています。

地域の伝統芸能を子供達に

楽屋でのメイク

 平成元年当時、城山西小学校の校長先生が中心となり、地域に伝わる農村歌舞伎の文化を子供たちに受け継いでいこうという機運が高まりました。そして、学校、PTA、二川歌舞伎保存会が協力し、「寿式三番叟」の練習が始まり、同校体育館の落成式で、「子ども歌舞伎寿式三番叟」を初披露しました。以来、毎年10月に子供歌舞伎をメインに地元の方々との公演が始まり、27回目を数えます。
 今年も子供たちの新しいメンバーが決まり、毎週月曜日を練習日として頑張っています。森さんも時間を見つけて指導に出向き、10月の公演まで頑張っていきます。

寿式三番叟( ことぶきしきさんばそう)は地域の人々の心に

 森さんは、平成元年から現在まで地元の小学校で26年間、地域の伝統芸能を子供たちに指導し続けています。寿式三番叟は和歌山県の無形民俗文化財に指定されています。二川歌舞伎とも呼ばれ、子供達や地域の人々の心に、しっかりと根付いており、「踊り、子供達への歌舞伎の指導は、森さん」と地域の人々に思われるほど定着しています。
 今後の課題として伝統を守るためには、指導はもちろん、後継者の育成が重要だと考えている森さん。さらに、ご自身の上演については、最近は大人の歌舞伎をなかなか披露できていないので、定期公演ができるように活動していきたいと語っています。