張本 保昌さん 81 歳
定年後、71歳で社労士の資格を取得し、障害者のために、高齢者のために。

60代後半から資格試験に挑戦 71歳で社労士の資格を取得

張本保昌さん

 「現役時代は、社会に貢献するという意識などは持てる余裕もなく、考えも及びませんでした。なんとか安定した老後を送れるのも、先輩、同僚、後輩など周囲のいろいろな人や社会のお陰と、しばらくしてから考えられるようになりました」と、張本保昌さんは振り返ります。
 張本さんは、定年退職後も、印刷会社に役員として就任するなどし、猛烈サラリーマンとして、ひたすら社業に励んできました。
 そして60代半ばでサラリーマンを卒業。老後をどう過ごすかと考えた結果、サラリーマン時代の知識経験を生かし、社会保険労務士の国家資格を得ることにしました。60代後半から資格試験にチャレンジし、数回の失敗を経て平成17 年に71 歳で見事合格、社会保険労務士の開業にこぎつけます。
 張本さんは「社労士の資格を生かして、社会的弱者である障害者(または事理弁識能力が衰えた高齢者)のために障害年金の受給支援などを行いたい」と考え、障害年金の受給支援を中心に活動するNP0法人 障害年金支援ネットワークに入会し活動を始めます。

後見人の受任実績ゼロから家裁や市役所に働きかけて

 障害年金支援ネットワークに入会と同時期に、県会の自主研究グループに成年後見等部会が存在することを知りました。「高齢化が進む日本では成年後見制度の利用がいずれ爆発的に増えるだろう」と予測し、平成18年から入会し勉強を始めました。
 成年後見制度を学びながら、成年後見人養成研修の講師を務めたり、テキストの執筆活動にも携わったりしながら、成年後見制度の普及に努めて数年が経過しました。ところが、張本さんは、肝心の後見人の受任実績についてはほぼ皆無の状態でした。
 そこで状況を打破しようと、平成21年にさいたま家庭裁判所の後見センターや市役所の関係部課、地域包括支援センターなどに積極的に働きかけたところ、後見センターや市役所から成年後見等部会を通じて数十件、後見人等就任の依頼がありました。以来、埼玉県の社労士の成年後見制度に対する取組が本格化していきました。

障害者や高齢者のために81歳の今も精力的活動

 現在、張本さんは、障害年金の受給支援については、年間を通じて障害年金に関する相談を受け、受給手続きに関する活動を行っています。
 最近は事案の処理に困難が伴う審査請求や再審査請求に関する依頼が多く、障害年金の受給に向け尽力しています。
 成年後見については、現在、累計で受任件数は約180件、受任者数は約80名、専門職後見人としては、後発グループである社労士の職域の拡大、地位の向上に専念し、埼玉県における成年後見制度に関する活動が全国をリードするまで、部会のサブリーダーとして多大な貢献を果たしてきました。
 平成26年の一般社団法人社労士成年後見センター埼玉の発足に尽力し、初代の副理事長にも就任した張本さんは「70歳を過ぎて資格を取得したが、まだまだやれることはたくさんある。今後も精力的に活動していきたい」と語ってくれました。