仮屋 茂さん 72 歳
柔道を通じた健全教育を広めながら、高齢者や社会に貢献する活動。
柔道を通じた健全教育の大切さに気づき活動開始
仮屋茂さんは、会社員として働いていた昭和47年に、鹿嶋市教育委員会教育長から「柔道の指導をしてほしい」と依頼され、柔道教室「鹿嶋柔道スポーツ少年団」を開設しました。
そこで仮屋さんは生徒やその保護者から「先生」と呼ばれ、「先生と呼ばれるにふさわしい人間にならなければ」と考え、柔道教育に対して熱心に取り組み始めるようになり、柔道を通じた青少年健全育成の重要性に気づき、活動にのめり込んでいきました。
柔道教室の運営をするなかで、昭和60年頃、全国柔道指導員の研修でヨーロッパ研修に参加しました。そして、各国の柔道指導者と知り合ったことを契機に「勝ちさえすればよいという竸技柔道ではなく、相手を思いやる日本柔道の精神を広めたい」と考え始めます。
ドイツやフランスとの積極的な「柔道交換留学」
「鹿嶋柔道スポ一ツ少年団」では、5歳から成人男女までを対象に、毎週水・金・土曜日のタ方、カシマスポーツセンタ一で柔道の指導を行い、少年の健全育成に努めています。
また、昭和60年頃から毎年フランスやドイツへの定期訪問を開始し、海外各国からの受入れも積極的に行う「柔道の交換留学」を行っています。
さらに、柔道の礼儀作法を子供のしつけや健全育成に役立てるために、鹿嶋市周辺の5つの幼稚園で園児を対象に「正座、黙想、受身」を中心とした柔道教室を開催しています。
地域高齢者が子供たちの役に立てる場所を提供
そのほかにも、仕事をリタイアした地域の高齢者を会員として集め、NPO法人「コネカクラブ」を主宰。鹿嶋市役所と連携し、鹿嶋市内の小学校の空き教室を利用して、柔道などのスポーツ活動を中心とした放課後クラブ・児童クラブ活動を行っています。
この活動は、青少年の健全育成活動という側面のほか、会員が児童の世話をする場所、高齢者が地域社会に貢献できる環境を提供するという目的も持った活動です。
「定年を過ぎて73歳になったが、活動の幅は年々広がっている。幼稚園や小学校で柔道教室も継続して行い、日本の子供たちの健全育成に役立ちたい。80歳、90歳になっても、体力が続く限り、相手への思いやりを基本とする日本柔道の精神を海外に普及させていきたい」と、仮屋さんは熱く語ります。