鈴木 次郎さん 78 歳
短歌の実作指導で地域の文化向上に尽力。

きっかけは勤務地の村の人たちから

秋田県芸術文化章授章式

 鈴木次郎さんは高校生のころから文芸に親しんでおり、昭和30年に短歌結社誌「覇王樹」に入会して以来、多くの短歌を詠んできました。その活動を知った村の人たちから、短歌を是非教えて欲しいと要望されたことがきっかけで短歌指導が始まりました。40代初めのことです。その後、隣接する大田町の公民館長からも、それまで短歌会を指導してきた先生が病没したので、その後任として大田町でも指導をしてもらえないかとの要請があり、毎月1回指導するようになりました。このような活動が大変好評で、各地の短歌会等からも声がかかるようになりました。

高齢者の心に潤いを

現代短歌セミナーでの鈴木さん

 「現代は高度経済成長期時代とは違って人々の心に殺伐としたものが漂いはじめ、年老いてゆく人たちが生きる希望を失いそうになる」、当時そう感じていた鈴木さんは、短歌の指導を通じて高齢者の心に潤いを持たせ、生きる喜びを見出す一助となりたい、そして短歌なら自分が人に教えてあげることができると、奉仕の気持ちで指導の輪を広げていきました。高齢者に対しては常に「人生を楽しく」をテーマに「欲を持ち過ぎない」、「自分と人を比べない」、「満足する心が大事」ということを説きながら短歌指導をしています。

芸術文化章を受章

 平成11年には、これまでの地域文化の向上発展に寄与したとして、秋田県芸術文化章を受章しました。
 現在は、複数の短歌会を指導する傍ら、選者としてのボランティア活動も行っています。また、中学生を対象に「聞き書き学習」の指導や読書感想文コンクールの審査をするなど、学童の育成指導にも携わっています。今後も現在の活動を継続しつつ、東北はもちろん、日本歌壇全体にも活動の場を広げたいと考えているそうです。