秋元 武夫さん 90 歳
平和への思いを礎に、コカリナ演奏、俳句・仏画の制作など多彩に。
ガンを患うも、制作や演奏など様々な事に挑戦
秋元武夫さんは、復員後に中学校教員となり、剣道、居合道を長年にわたり指導して社会貢献してきました。中学校教員退職後に咽頭ガンを患うも、手術後は俳句、仏画の制作、ハーモニカ等様々な事に挑戦しました。特にハ―モニカの音色の美しさに魅了され、有志とともにハ―モニカのグループを結成し、介護施設や福祉施設等で幅広く演奏活動を行うようになりました。
コカリナとの出会いから平和への願いを伝える活動
平成15年にコカリナという楽器に出会い、その後、広島原爆と被爆樹コカリナの関係を知ったことで、「コカリナを通して平和への願いを伝えたい」と思うようになりました。
平成20年に「被爆樹コカリナ」という新聞記事を見ました。その記事には、「広島の被爆樹エノキは被爆後に芽が出はじめ、私たちを励ましてくれる樹になった。その後、昭和59年の台風によって倒れたが、コカリナ奏者の黒坂黒太郎氏が広島高校で、コカリナのコンサートを開いた際、ステージにあったそのエノキを見てコカリナにしようと決心し、苦心の末8本のコカリナが生まれた。それは思いもよらぬ良い音色で、関係者は感激した」とあり、コカリナに対する思いが大きく変わりました。
自身もシベリア抑留を体験しており、コカリナの演奏を通して平和への願いが広がれば素晴らしいことだとの思いから、平成20年3月に道の駅で初の演奏会を開催しました。
それから、広島原爆と被爆樹コカリナの関係を説明し、演奏を通して平和への願いをたくさんの人々に伝えています。
コカリナの活動や戦争体験を伝えたい
平成21年夏には市内の東輪寺にて、コカリナの演奏をして、シベリア抑留の体験談を話しました。
平成24年に有志とコカリナグループ「コカリナせきれい」を結成し、以降グループで介護施設、福祉施設等で演奏活動を行っています。演奏の間に体操をしたり、歌を歌ったりして、楽しい時を過ごすことができたと地域住民やボランティアグループからも感謝されています。
平成25年7月には喜連川小学校に招かれ、戦争中の生活の様子やシベリア抑留中の体験などを、演奏を交えて話しました。
東日本大震災と台風の影響で崩れた喜連川のお丸山公園の桜の木を使ってコカリナを48本作成し、同年3月にはお丸山公園のふもとにある「もとゆ温泉」再開の記念式典に招かれ、演奏を披露しました。
一方、定年退職後から描き続けてきた仏画の展示を市内で平成24年から3年連続開催しています。美しい仏画に心が癒されるとの声が聞かれ、100名超の来場者があったそうです。今年も仏画展を開催する予定です。
今後もシベリア抑留の講話と、コカリナの活動を充実させ、平和への願い、広島原爆とコカリナの関係を知っていただくきっかけにしたいとのことです。