肥後 政幸さん 87 歳
定年後に郷土史の知識を役立て、ボランティアガイドとして活動。
郷土を離れていた頃から郷土に興味を抱くように
肥後政幸さんは、神戸市で仕事をしていた当時、故郷を懐かしむあまり、毎月1か月分の愛媛新聞を愛媛から送付してもらい、故郷関連の記事を熟読していました。
たまに同窓会などで帰省した際には、故郷の歴史や話題に自分の方が詳しくて優越感を味わったこともありました。郷土史に興味を抱くようになったのもその頃で、以後、独学で勉強をしたり図書館に通ったりするようになり、故郷の歴史に関する知識を培っていきました。
そして退職後、「自分の郷土史の知識を生かす道はないか」と考え、ボランティアガイドになることを思いついたのが、今の活動のきっかけとなりました。
観光協会で最高齢のボランティアガイド
昭和58年に退職後、肥後さんは、現職時代の豊富な歴史知識を生かして松山市教育委員会の非常勤講師となり、文化財の維持・保護・管理業務を担当しました。
また、それと同時に老人会や婦人会、公民館などの求めに応じ、「文化財めぐりバスツアー」に添乗し、松山市の文化財紹介する案内講師を務めました。
以後、昭和60年には愛媛県生涯学習指導員、同61年には松山市生涯学習指導員となり、歴史文化財に関する教養講座講師として生涯学習普及活動に貢献します。
平成5年の教育委員会退職後から現在も、一貫してボランティアガイドを続け、観光協会ガイドの中でも最高齢のガイドとして活躍しています。松山市観光協会の依頼に応じ、松山城や道後村めぐり、湯築城跡の観光ガイドを行いながら、後輩ガイドの指導育成や実習のため、毎月7~8回の活動を行い、観光協会はもちろん、多くの観光客の皆さんからも喜ばれています。
ボランティアガイドの先駆者 後輩育成を生きがいに
現在ボランティアガイドは、約200名にまで増えています。肥後さんは地域のボランティアガイドの先駆者として、その道筋をつけました。
「文化財遺産は活字や映像でも、ある程度知ることはできる。でも実際に見て聞いて触れて、初めて眞物(しんぶつ)の値打ちを知り得るものだと思います。今後も健康である限り、このボランティア活動を続けていきたい。『修して知るべし、行じて語るべし』をモットーに、後輩ガイドを育成していきたい」と、肥後さんは生き生きと明るく優しい笑顔で語ります。