高齢社会対策説明「高齢社会フォーラムin東京」
牧野 利香
内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付参事官(高齢社会対策担当)
皆さん、こんにちは。内閣府で高齢社会担当をさせていただいております牧野と申します。本日は、たくさんお集まりいただきまして、ありがとうございます。私の方からは、この会の趣旨を補足する形で高齢化の現状と高齢社会対策ということで10分ほどお話をさせていただきたいと思います。
日本の高齢化の現状について
まず、高齢化の現状ということでございますけれど、最初の渡邉総括審議官の話にもありましたけれど、日本は非常に高齢化が進んでいる社会でございまして、赤い折れ線グラフをご覧いただくと、今、人口の28.1パーセントが65歳以上の高齢者ということになっております。 このグラフでは、赤線が日本で、それ以外の線が諸外国ということになっておりますけれども、65歳以上の割合、高齢化率というのを諸外国と比べますと、日本がダントツに高いということがわかると思います。 こちらは先進国と比べたグラフ、これがアジア諸国と比べたグラフということになっているのですけれども、いずれも日本が非常に高い状況になっております。 高齢化社会ということは、長寿化が進んでいるということなのですけれども、長寿化は、非常に喜ばしいことではあるのですけれども、喜んでばかりもいられないという面もございます。
これは、日本の長寿社会を都道府県別に分けまして、横軸を平均寿命で採って、縦軸を平均寿命と健康寿命の差ということで採りました。言ってみると、これは病気の期間ということです。そうすると、平均寿命が高い都道府県では、平均寿命と健康寿命の差も大きい、つまり、病気の期間も長くなってしまうということであって、本来はこの差をどんどん縮めていくことが、アクティブエイジングという意味では、非常に重要だということでございます。 次のグラフになりますけれども、これは、現在、60歳以上の高齢者の方に、現在住んでいる地域に安心して住み続けたいですかと聞いたら、ほとんどの方が住み続けたいと答えているのですけれども、そのために必要なことはなんですかと聞いたときに多かった答えというものを並べているものでございます。 そうしますと、一番多かったのは、近所の人との支え合いというのが一番多かった。それから二番目に多かったのが、家族や親族の方の援助という答えが多かったということでございます。人とのつながりというのが老後の安心ということで、非常に重視されているということでございます。先ほどの健康の話もありましたけれども、医療とか介護とかの健康面の受け皿よりも人とのつながりを重視されている方が多いというのは、大変印象的な調査ではないかなというふうに思います。
高齢者の社会参加の状況
先ほど、檜山先生のお話からも、社会参加をしていくということと健康との関係というものが、非常につながりがあるというお話だったのですけれども、高齢者の社会参加の状況というのをデータで見てみますと、これは就業に関するグラフですね。労働力人口比率と言いまして、就業者と失業者の合計が人口にどれぐらい占めるかという割合ですけれども、この緑色の線は65から69歳ですけれども、最近はちょっと上がってきているということでございます。それから、70から74歳も上がってきているということですけど、60代後半でも、まだ5割に満たないというような状況でございまして、なかなか全員が就業できるところまでは行ってないということでございます。
次に、就業以外の社会参加ということで、何かの活動に参加していますかと60歳以上の方に聞いているものでございますけれども、一番多いのは自治会などの活動ということで、26.5パーセントになっておりますけれど、一番右側にございますように、特に活動しないとおっしゃる方がまだ6割ぐらいいらっしゃいまして、元気な高齢者もいっぱいいるはずなのに、日本の高齢者の社会参加というのは、まだまだ進んでいないという状況でございます。これは、都市規模別に見ると、大都市の参加率が大変低いのです。さらに、このグラフでは出していないのですが、就業か、非就業かで分けると、実は、働いてない方のほうが、参加率が低いのです。そういう意味では、もっともっと高齢者の方に社会参加をしていただきたいなというふうに思っているところでございます。
社会的な活動をしていてよかったと思うことはなんですかということを、社会活動をしている人に聞いたところ、新しい友人を得ることができたとか、地域に安心して生活するつながりができたということが多い答えとなっております。先ほどの安心して住み続けるという考えともつながるところですけれど、地域に人のつながりができるというところが社会参加の大きなメリットであると感じておりまして、そういう意味でも社会参加を進めていくということが非常に大切であると感じております。
政府の取り組み
政府の取組といたしましては、一昨年の2月に高齢社会対策大綱というものを策定しまして、その目的のところに、高齢者を一律に65歳以上とかそういう見方は現実的なものではないとまで言い切っております。あまり年齢に捉われない形でエイジレス社会というのを作っていく、誰でも社会に参加していけるようなそういう社会を作っていくということを掲げております。そして、基本的な考え方としては、エイジレス社会、それから支える地域コミュニティをきちっと作っていく。それから、檜山先生のお話にもつながりますけども、技術革新の成果をこういうところに活かしていくというところを大きな方針に掲げているところでございます。 これは、大綱に掲げている政府の施策ですけれど、たくさんありますので省略させていただきます。 社会参加の促進ということで内閣府では、エイジレス・ライフ実践者、それから社会参加活動事例に関する紹介事業ということで、社会参加を積極的にやってらっしゃる皆様の表章事業というものもやっているところでございます。 最後に、ちょっと宣伝になるのですが、身近な社会参加の一つとして、今回、是非、ご紹介したいのが、子供の未来応援基金というものでございます。子供の貧困対策に対して活動しているNPOに対して、活動支援の資金を提供しているような基金ですが、これに対して、ご自宅にある古本とか書き損じはがきといったものを着払いで買取業者に送ってもらうだけで寄付になるということで、大変手軽な社会貢献、社会参加の一つかなと思っております。お一人でやっても、たぶん、部屋の片づけになって、ご家族にとっても喜ばれると思いますし、地域の方々と声を掛け合ってやれば、それが一つの社会参加、地域づくりになっていくかなと思っております。入口にチラシを置いておりますので、是非、お持ち帰りいただければと思っております。雑駁ですが、現状の説明とさせていただきます。ありがとうございました。