第2分科会「高齢社会フォーラムin東京」

「世界と一緒に考えよう!アクティブ・エイジング」

コーディネーター
松田 智生
(株式会社三菱総合研究所プラチナ社会センター 主席研究員)
パネリスト
ティツィアナ・アランプレセ
(FCA ジャパン マーケティング本部長)イタリア
フランツ・ヴァルデンベルガー
(ドイツ日本研究所 所長)ドイツ
牧 壮
(牧アイティ研究所 代表)日本

〈要旨〉
 第2分科会では、「世界と一緒に考えよう!アクティブ・エイジング」をテーマに、ドイツ、イタリア、日本のパネリスト3名による社会活動の発表が行われました。 ヴァルデンベルガー様は、ご自身のファミリーの話から、地方地域のコミュニティの活発さをドイツと日本の高齢社会を比較してお話頂きました。アランプレセ様からのキーワードは、「Love」と「Share」。LOVE・愛というのは、自分のやってきたことを愛する、自分のしてきたことを愛する。そして「Share」は、そういったことをみんなで、シェアすることの大切さを発表いただきました。牧様からは、ITを使って、新しい仲間や昔の友達とつながる「Internet of Seniors」というキーワードを軸にした取組を発表頂きました。

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【松田】 どうも、みなさん、こんにちは。今日、高齢社会フォーラムの第二分科会、こちらで開催します。今日のテーマは、「世界と一緒に考えよう!アクティブ・エイジング」ということで、ドイツ、イタリア、日本の視点から、日本の高齢社会の良い点、それから課題、これからの未来について、討議をしていきたいと思っています。私自身は、高齢社会や地域活性化を専門としていまして、今、三菱総合研究所というシンクタンクで仕事をしています。この高齢社会フォーラムは、5年にわたって分科会を担当しております。それ以外にも、中央官庁や地方自治体、企業のアドバイザーを務めています。今日のキーワードは、「アクティブシニア」、それから「活力ある高齢社会」ということです。活力ある高齢社会というのは、やっぱり、コミュニティづくり。コミュニティというと、今日、このイイノホールの、この第二分科会に集ったこの面々もコミュニティであると。コミュニティと言うと仲間です。そして、今日、ここに、隣に座った人も、何かの縁があって隣に座ったわけです。ですので、最初、隣の方と握手をしてほしいんです。恥ずかしがらずに隣の方と握手、ね。パネリストの方も握手、握手、握手。いいですか、握手をすると笑顔になるでしょ。それは、心理学的にも手を触れて、目を合わせると笑顔になるということ。

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【ティツィアナ アランプレセ】 キスをするともっと。

【松田】 イタリア人は、キスすると・・・。次に隣の方とキスしてくださいは、冗談で、じゃあ、今度は、ハイタッチ。そうそうそう。これが、イタリアでは、ハグだとか、キスなんだけど、ごめんなさい。さすがにキスとかハグは嫌がる人がいると思いますんで。ハイタッチをすると、よけい笑顔になるというのは、活力ある高齢社会で目指すべき高齢社会というのは、笑顔があふれる高齢社会を作ろうと。これに反対する人は誰もいないわけですよ。笑顔があふれる高齢社会ということ。次のキーワードは「生きがい」ということ。生きがい。アクティブ・エイジングは、生きがい。生きがいと言うと、普段皆さんも、仕事やプライベートで生きがいを感じる瞬間があるじゃないですか。どういう時に生きがいを感じますか。

【来場者:男性1】 うまくいった時。

【松田】 何がうまくいった時。

【来場者:男性1】 仕事かな。

【松田】 仕事と。はい、どういう時に生きがいを感じます。

【来場者:男性2】 スポーツで勝ったとか。

【松田】 スポーツで勝った。なんのスポーツ。

【来場者:男性2】 ラグビーでもいいじゃないですか。

【松田】 どういう時に生きがいを感じます。

【来場者:男性3】 勝負に勝った時。

【松田】 勝負に勝った時。男はそういう話が多いですね。女性、如何ですか。どういう時に生きがいを感じます。

【来場者:女性1】 お仕事が充実している時。

【松田】 お仕事が充実。プライベートは、どういう時に生きがいを感じますか。

【来場者:女性2】 子供が、あなたの子供で良かったと言ってくれた時ですね。

【松田】 いいことを言いますね。拍手。そういうこと。生きがいということね。生きがいが大事。生きがいと言うと、今日ここで話す私の生きがいも大事なわけです。報告する人間として生きがいを感じないのは、みんながシラーッと聞いているとき。結構ね、がっかりするわけですよ。折角、人が話しているのに、大あくびとかしている人を見ると、結構、傷つくんです。それから、人が話している途中で、スマホとかパソコンいじっている人を見ると、なんかムカついた気分になってくるわけですよ。だから、今日、私が話す時、さらにパネリストの方が話す時、お願いがある。本当にそうだなあと思う時は、大きく頷いてほしい。そうすると生きがいが生まれるということ。本当にそうだなと思う時は、大きく2回頷いてほしい。ということ。

 次のキーワード。28%。これなんでしょう。なんのキーワードでしょう。今日の、どうです。先週の講演で聞いたら、高齢化率じゃなくて、体脂肪率って答えた方がいたんですけど。日本の高齢化率、世界で一番ということ。10万時間は、何かと言うと、リタイアした後にある自由時間。一日14時間、睡眠や食事を抜かして、14×365日を20年で、10万時間になると。10万時間というのは、9時5時で働いている人の労働時間に匹敵すると。リタイアした後、この10万時間を元気に過ごすか、元気じゃなく過ごすかで、アクティブ・エイジングが変わってくるということ。

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 今日の論点ですけど、活力ある高齢社会ということ、これは世界全体の願いです。今日話す、日本、イタリア、ドイツ、これは、高齢社会の先進国。課題がいっぱいある先進国なわけですよ、今。高齢化、人口減少。でも、課題を解決すれば、ピンチをチャンスにすれば、課題解決先進国になる。それが、日本、イタリア、ドイツです。そして、目指すのは、アクティブ・エイジング先進国。日本は、今、世界で1位、イタリアが2位、ドイツが3位。アメリカなんか高齢化率15パーセント、中東カタールなんて、1.3パーセント。如何に日本の高齢化が図抜けているかわかる。昨日、僕が行ってた高知の越知町というところは、高齢化率が46パーセント。でも、町は活気があります。日本は、シニアが輝く国、一番元気な国。高齢者の就労率、あるいは、こういった元気な高齢者が多いということは、やっぱり日本は誇るべき。つまり日本では、シニアは、社会のコストや重荷じゃなく、担い手であると。これが、逆転の発想ですよ。

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 でも、課題もある。これは、三菱総研がやった調査で、60代女性のストレスを調べたもの。右から60代女性のストレス、病気、地震、子供、経済。1位なんでしょう。そのとおり。60代女性のストレス1位は、夫。みんな大きく頷いている。夫。マリート、イタリア語で言うと。60代女性のストレスは、夫。さらに、これ日本の問題ね。リタイアした後に一緒に過ごしたい相手ということですけども、男は、夫婦でいたいと思ってるけど、女性は、一人か友人といたいと思っているわけ。こういうことを解決しなきゃいけない。そして、これも大事なこと。住んでる形態によって、死亡率と機能低下率が違う。男、夫婦で住んでいる男性の死亡率と機能低下率はこのくらい。女性で、夫婦で住んでる女性の死亡率と機能低下率はこれくらいだけども、ここ、男の独居、男の一人暮らしの死亡率と機能低下率は図抜けて高い。孤独が社会の敵。注目、女性の一人暮らし、死亡率ゼロ。女性は大丈夫だけども、男が危険というのは、総じて言えば、孤独は社会の敵だということ。

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 しかし、こういう悲惨な独居老人とか熟年離婚と言っても、何にも解決しないわけ。今、必要なのは、ピンチをチャンスに変える前向きな理念、それが、プラチナ社会ですよ。シルバー社会というのは、シルバーヘアとかシルバーシート、でも、シルバーは錆びる。一方でプラチナは錆びない。輝きを失わない上質な社会をプラチナ社会と。それを目指しましょう。そして、プラチナ社会っていうのは、誰もが「自己実現」できる社会。それは、高齢者だけじゃなくて、若者や僕のようなミドル、多世代が輝く成熟した社会。多世代が自己実現する社会をプラチナ社会という。そして、今日は、このアクティブ・エイジング、プラチナ社会を考えましょうということで、素敵なパネリストをお呼びしました。

 まず、イタリアから、ティツィアナ アランプレセさん。皆さん拍手。詳しくは、また、彼女のプレゼンテーションで話します。次は、フランツ ヴァルデンベルガーさん。ドイツから。次は、日本から、牧壮さん、どうぞ。今日はこんな形で進めます。まず、それぞれから15分ずつ、アクティブ・エイジングに関する、それぞれの取組やご専門の視点からお話をいただきたいということでございます。15分ということで、それを終わってからですね、パネルディスカッションで、高齢化の光と影、それから、もっと良くなる高齢化ということでお話をしたいと思います。では、最初、トップバッター、ドイツのヴァルデンベルガーさん、お願いします。じゃあ、皆さん、大きな拍手でお願いします。

パネリスト フランツ・ヴァルデンベルガー氏のお話

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【フランツ・ヴァルデンベルガー】 皆さん、こんにちは。ドイツの日本研究所のヴァルデンベルガーです。私は、元々、経済学者で、日本を、ずっと研究してきて、25年間以上、日本の経済を見て、ですから、もちろん、時々はドイツと比較します。そして、やはり、高齢化とか、高齢者社会っていうのは、日本とドイツ、両国にとって大きな課題になっています。ドイツはやはり、日本は、高齢化の先進国で、いろいろ日本から学ぶことが多いですね。また、逆に日本は、ドイツでどうやっているか、うちの研究所にも、いろんな方が質問してきます。      


■ドイツと日本の高齢者比較

 今日は、ちょっと、さっきの松田さんの、先ほどドイツと日本を比較しますと、これは人口の推移なんですけども、日本は、ほんとにすごい山のようになっていますね。1960年から上がって、そして、今は、下り坂になっています。ドイツは、ほとんど変わらないですね。まあ、人口は成長しませんけども、移民、EU内の移動が自由になっていますので、そういう意味の影響で、大体、安定してきました。そして、先ほどのドイツ、日本と比較しますと、やはり、65歳以上の人口の割合は、これは、もちろん日本は、ドイツより高いんですね。でも、その予測を見ますと、ドイツもだいぶ上がってくるんですね。30パーセントを超えます。そして、たぶん、もっと重要になるのは、75歳以上の割合ですね。そこは、日本は、将来的には、4人の中の1人は、75以上になるわけですね。ドイツは、そこまで上がらないですけど、ドイツも17パーセントぐらい、18パーセントぐらいになるわけですね。そこで、やはり、そういう所得の水準とかね、どうやって維持できるのか、経済の生産性とか、どう改善するのか。

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■単独世帯の割合

 そして、さっきのもう一つの、最後の統計なんですけど、そこは、一人で住んでる女性と男性は、単独世帯の割合です。両国において、女性の単独世帯の方が、割合の方が高いです。なぜかと言うと、女性の方が長生きですね。そして、日本の単身男性の機能低下率の高さに私もびっくりしました。そういう一人暮らしは女性にとって全然問題ないと、さっき、たぶんドイツも同じだと思いますけども、男性は大変で、そして、もちろん単独世帯であるということは、この人は孤独であることではない、完全ではないんですけど、関連性はありますね。そこに、日本の方が、問題が多いみたいですね。一人暮らしの高齢者は日本の方が圧倒的に高いし、認知症にもつながる可能性がありますね。家庭の中で一人だと、あまり話す機会はなくて、そこで、やはり、いろいろ健康的な、精神的な問題も発生する可能性は高いです。

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■ドイツのファミリー

 次は、私は、ちょっと、これで個人的な話になるんですけど、今日、ドイツの話するつもりなので、普通は日本について話しますね。ドイツの話になりますと、個人的な話になります。私の両親、残念ながら、3年、4年前に亡くなりましたけれども、母は77歳、父は82歳で亡くなって、二人とも最後に重い病気に罹って亡くなりました。介護の時間は、お母さんの方は、ほとんどなかったんですけども、お父さんは、ちょっと、半年ぐらいはありました。うちは大家族で、6人兄弟です。私は、長男で、妹5人ですね。そして、私は日本にいますけど、いい事は、妹の5人のうち4人は両親の近くに住んでますね。一人は同じ家の中に住んでたんですね。だから、そこは、私もいろいろ安心できたんです。そして、大家族で、親の家は、みんな集まるんですね。年何回で大騒ぎ。みんなで集まり、大騒ぎになります。孫も14人いて、ひ孫も何人かいて、ですから、いつもみんなで集まると30人以上になります。お母さんは、自費を持って、絶対、そのお祝いは自分の家で、実家でやらなければならなかったんですね。そのために、スペースとか食器とか全部用意して、最後はもちろん、みんな一緒になって料理作ったりとか、そういうケーキを持ってきたりとかしました。それは、親にとっては、やはり、すごく大事なイベントなんですね。そして、その後、周辺に子供達も住んでて、ほとんど毎日誰かが家に来ていたんですね。遊びに来てて。ですから、家族は一つの大きな意味を持ってたんですね、両親の場合は。

 そして、近所、ドイツの小さい町、郊外に住んでたんですけども、新しくできた団地みたいな地域でね、そこで、やはり、子供がみんな大きくなって、作ったときは、みんな若い家族で子供が多くて、そして、子供が大きくなって、最終的には親だけ残って、この地域も高齢化してきて、でも、そのつながりは、自由だと思いますね。お互いは何をしているか、お互い、よく知り合いで、生活してきました。近所は、一つの重要なサークルですね。カトリック教会に二人とも参加して、毎週ミサに行ったりとか、その教会関係のお祭りとか、いろいろイベントとかあって、そのつながりがあって、あと、文化活動に参加したりとか、お父さんは、州議会の政治家であって、最後まで、地方の政治に参加してたんですね。そういう活動もありました。ですから、全然、退職してないみたいな感じで、毎日忙しくしてたんですね。そして、メディアですね、テレビ。やはり、テレビが重要で、夜になるとニュースとか夜のテレビ番組を見ますね。あと、お父さんの方は、インターネットもよく使ってました。自分のそういう、家族のことをインターネットで調べたりとかね、そういうことは。たぶん、どこでもそうなんで、こういうサークルが、たぶん、どっちが重要であるのか、何とかの形でね、そういう社会との参加、インクルージョンのためには、こういう、これは6つのサークルとかね、どこにもあると思いますね。そして、すべてのサークルじゃなくても、どっかにつながりがあった方が、たぶんアクティブ・エイジングもできるんじゃないかなと思います。もちろん、両親は、文化以外は、スポーツとかね。これは、ドイツも大切なんですけども、両親二人とも、僕もそうですけど、スポーツ向いてないです。ですから、スポーツはあんまりなかったんですけど、ほかのドイツの家族の場合は、スポーツのクラブとか参加することもあります。最後になりますけれども、そういう世代間の、さっき言ったように家族のつながりが大切で、私もやっと、一昨年、長男の孫が生まれたんですね。ちょうど、1歳ですね。1歳になりました。ご清聴ありがとうございます。

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【松田】 言い足りないことがあれば、まだ5分ありますから。どうですか、フランツさんの方で付け足すとか、まだ言い足りないことがあれば、5分間ありますんで。

【フランツ・ヴァルデンベルガー】 やはり、日本もそうですけど、アクティブ・エイジングを考えるときは、これは東京みたいな大都会の話か、田舎の話か、だいぶ違いますね。ドイツもそうですね。田舎と言っても4万人の町ですね。そして、4万人の町なんですけど、いろいろ周辺に村があったりとか、そこで家族同士のつながりとか、近所とのつながりは、すごく機能してます。働いてますね。あとは、ドイツの地方は、日本と違って、割合に元気です。

【松田】 ほんとにそうですね。

【フランツ・ヴァルデンベルガー】 4万人の町なんですけど、人口が、実は増えてますね。これは、ドイツでも例外ですね。なぜかって言うと、やはり、家族のための教育環境、高校、ドイツだとギムナジウムね。いろいろあるし、大学のキャンパスもありますし、動物園ありますし、ライフスタイル、商店街とかね、歩行者天国の商店街、すごく人気あります。生活しやすい環境で、コンパクトな町で、僕も東京に住んでますけども、帰ると、ほとんどスーツとか、その商店街で買います。全部揃ってますね。

【松田】そうなんですか。

【フランツ・ヴァルデンベルガー】 デパートに入ると、私、いつもすぐ疲れますね。空気が悪くて、迷子になっちゃうんですけど。そこの町でも、ゆっくり外で歩きながら、いろいろ靴とか、スーツとか、必要なものは楽しんで買い物、男性でも楽しんで買い物できます。ですから、そういう田舎と大都会の違いは重要だと思いますね。

【松田】 そうですね。

【フランツ・ヴァルデンベルガー】 あと、さっき、特に地方の元気さというのは、たくさんの祭りがあるんですね。ほとんどの村、どっかに。ワインの生産地ですね。だから、ワインの祭りとか。あとは、どっかのコンサートとか、絶対なんかありますね。そして、観光客も多いし。ですからそこで、ちっちゃい、別に人口がそんなに大きくないんですけど、経済的に安定してます。

【松田】 いいですね。やはり、そういったお祭りが、地域のコミュニティづくりに、非常に大事な役割を果たしているということですね。ありがとうございます。

【フランツ・ヴァルデンベルガー】 あとは、たぶん、日本とも違いますけど、スポーツの活動とか、趣味で楽器を弾いたりとかね、合唱団行ったりとか、そういうグループの活動がたくさんあります。そして、若い子供たちから年取った人まで、みんな一緒になりますね。

【松田】 わかりました。そうすると、やはり、共通する点というと、そういったお祭りですとか、コミュニティづくりがありますけれども、ちょっと違うなと思うのは、ドイツは地方都市が元気、小さな町でも元気なとこが多いというのが、若干、違うところだということですね。わかりました。はい、じゃあ、最後に何かメッセージあれば、あと1分だけあるみたいなんで。

【フランツ・ヴァルデンベルガー】 日本は、高齢化が進んでいるというのは、やはり、みんな元気で年取ってますね。ただ、男は、遺伝のあれもありますし、食事・文化も一つの理由になるわけですね。もう一つは、やはり、日本も、そんなに、今日も見たように、みんな出て、いろんなイベントがあって、積極的に参加するということは、日本の高齢者は、ドイツ比較と全然、なんと言うんですか、割合に元気ですね。もうちょっと高齢者社会の交流、国際交流できれば、それも刺激的になると思います。

【松田】 いいと思いますね。はい、ありがとうございました。皆さん、拍手をお願いします。どうもありがとうございました。では、続きまして、イタリアからティツィアナ アランプレセさん、よろしくお願いいたします。皆さん、拍手でお願いいたします。

パネリスト ティツィアナ・アランプレセ氏のお話

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【ティツィアナ・アランプレセ】 皆さん、チャオ、イタリア語ですね。でも、私、これなくても、皆さん聞こえますね。皆さん、すごく元気だから、これなしでしましょう。私も声出して、みんな眠れないように。実は、今日のチャレンジは、15分で、30,484,800分のストーリーを言うのは、ちょっとねえ、チャレンジですね。この三千万何分かは、意味は後で皆さんとすぐ紹介しますけど、でも、今日は、私のストーリーからスタートしたかった。なぜなら、三菱総合研究所の智生さんからお誘いいただいて、やっぱり、皆さん、自分の国とかも、ちょっと面白い話、研究者の話、直ぐすべきかどうかと、すごく悩んでいたんですけど、実は、自分の経験から、スタートしてもいいよと、智生さんがおっしゃったので、だから、今日、私のストーリーを紹介します。やっぱり、自分たちのストーリーを見ながら、次のステップをうまく考えれると思いますので、だから、みんな一緒に私のステップ、どういうふうに、みんな逆に皆さんから教えてもらいたいです。今日は、愛の三つのルール話ししたいな、それも説明します。各ストーリーは、やっぱり、最初から、二人のLoveで、これ私の両親、二人のLoveで、やっぱり、ちっちゃい町、ポテンツァという南イタリアのほんとにちっちゃい村から来てるんですね。そこで、お父さん、お母さん、知り合って、そこで私も生まれました。でも今日は、私、皆さん、おかげさまで、1月20日で生まれたので、今日、私の誕生日。

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【松田】 偶然だったんですね。

【ティツィアナ・アランプレセ】 やっぱり、何分ぐらい私たち、58歳と言ったら、何分ですね。三千万以上の何分ですね。その前も、智生さんのプレゼンテーションもあった10万時間という。やっぱり、わたしたち、生活は、長い短い、それはもうあんまり関係あるかどうかわからないですね。実は、生活の、私たちの生きがい、何をやっている、この三千万、四千万とか、でも私たち何をできる、なにがやってる。私は、自分のストーリー、簡単、やさしく言うとナポリの大学で、理由わからない。でも、日本語の勉強、日本の文化、日本の社会、日本の政治学の勉強しに行った。だから、イタリア・ナポリ東洋大学で。たぶん、一番最初ね、こういうような勉強、中国語とか日本語の勉強できる大学作られたんですね。1600年ぐらいから。そこで、すごいビーット、バァーと明るい町というイメージあるんですけど。

マイストーリー

 そこで私の最初の一番大きな事故、交通事故。そこから、たぶん、私の生活、すごく変わった。なぜなら、若かった24歳ぐらいだったんですけれども、車から引っ張られて、全部壊れたりとか、たくさん病院入院したり、その時にわかって、その瞬間でわかったのは、何が生活の中で大事にしないといけないのかね。そこから、たぶん、私は、すごくいろいろな頭の中、心の中、たくさんチェンジがあった。それだけなら良かった、私、そのあとたくさん事故あった。交通事故だけじゃなくって、スポーツで壊れたりとか、日本で2011年、足も壊れてしまったりとか、そういうあれなんですけども、それでもまだヨガと出会って、それは、一つの大事なこと。たくさん、いろいろな辛いことあっても、頑張って動いた。身体も心も一緒にならないといけない。それ、私は日本人の連携する能力にすごく憧れている。みんな、すごくフレキシブルでこれもできる。私、ほとんどできない。皆さん、座ったり、それは真っすぐ綺麗なポスチャー(姿勢)で、これ、私、ほんと最初、日本に来たときに、やっぱり、1986年でした。私、九大で勉強して、やっとその、病院から出てから、二回、試験一回受けて、奨学金受かったのに、壊れたりしたので行けなかった。そして、次のチャンスで取って、文部科学省の奨学金を貰いました。そして、この3年間の間に、ここピックアップした写真、いろいろあるね。剣道を始めたりとか、お茶の勉強をやっていたり、その時は、私の先生も割と年上だったですけど、一番面白かったのは、日本の社会の中で高齢者。なぜなら、私、このおじいさん、おばあさんたちと素直な話ができた。意味だっていろいろな、彼女のね。お茶の先生と一緒にセックスの話もしたよ。すごい彼女オープンマインドで、でも、同じような会話とか、オープンマインドは、たぶん、普通の日本人のサラリーマンの、例えば、40歳、50歳、リタイアするまでにみんな、すごく、何ていうのか、仕舞っている、自分のことをね。だから、私、思ったのは、この社会はフリー、自由さは、生まれたときかリタイア、定年してからですね。だから、実は、今の時代は、今の年は、一番ハッピー。自由で仕事も、特に男の人のヘビーネス(責任の重さ)ですよね。すごく感じていると思います。サラリーマンの社会で。それを捨てて、よく神父さんいうのはね、バゲージ(荷物)を置いて、どこかライトで行けるのが、それ私すごく、日本に住みながらわかったことでした。

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 そして、これ見せたかったですね。私この時。この写真見るとすごく気持ち明るくなる。きれいと思わないよ、私。ほんとに歌舞伎の女形みたい。ナイスな経験でした。だから、この3年間、私、いろいろモデリングもやってたんですね。だから、すごく日本で、東京じゃなかったね、福岡ですごいバブルの時、たくさん習うことがすごい楽しい生活だった。だから、だからどうしても、いつも戻りたかった。戻りたかったけれども、やっぱり、たぶんこの写真はあとで来るはずだったんですけど、でも、まだまだ戻る時間がなかった。私は、やっぱり、まだ仕事始めるべきだった。1992年で、私、このグループに入りました、フィアットの。だから、私どこにいますか。

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 まず、自動車の社会は男ばっかりですね。女性は3人ぐらいで、あと私ですね。でも、こういうような会社に入って、やっぱり、すごいエネルギーがかかった。戦うばっかりだった。女性は、やっぱり、仕事の社会の中には、その時代は、今の日本に似ているので、残念ながら。日本まだまだ、まだまだ、遅れていると思います。でも、私、こういう経験、ずっと。こういうような、特に男ばっかりの自動車メーカーの中に経験がすごくありますので、だから、その時から、私、女性のために、もっともっとエンパワーメントするべき。そういう目的は、私の生活の中に大事なポイントになっています。そして、もちろん、娘を生んでいます。これも、すごく大事なマイルストーンですね。生活の中に。実はね、子供産むか産まないか、それ別にして、女性はみんな、すごくマザーなスキルあります。だから、子供産まなかったら、仕事でいろいろな子供を育てる、いろいろな人を育てる。私たち、育てることは、その時、私、まだわかってなかったね。どういうふうに若い人育てるか。その時から娘だけじゃなくて、若い学生、ステージに入ってくれて、会社で、すごく社員になったり、すごくパワフルになってということは、娘のおかげ。だから、今までにしてることは、生活の中に習う時間は、多分、生活の終わりまでに習える。私、いっぱい勉強なったのは、娘からいろいろな勉強になった。

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 そして、また、日本に戻れた。2005年から、S.p.Aジャパンとか、フィアット・クライスラーと一緒になって戻りました。だから、この二回目で、それも、やっぱり、ピックアップしたことは、私の今です、これね。私のオフィス。そして、レーサーね。レーサーと一緒にとか、あと、全然違う、鎌倉の長谷寺の時に、すごく頼まれたというか、節分の。これは、勲章をもらった時に、イタリア大使館ですけども。でもやっぱり、前はファミリーの話だった。私のファミリー、逆に、私のお父さん、お母さん亡くなった後、みんな、身内が遠いところに住んでいて、お兄さんのお父さんいますけど、すごくスモールファミリーですね。

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 だから、特に、私、東京で、ほんとにちっちゃいファミリーね、猫ちゃんね。前は2匹だったけど、今は1匹だけ。そして、娘。だけど、ファミリーは、プランツもね。動植物もファミリーですね。植物だけじゃなくて、友達もファミリー。そして、ちっちゃいファミリー、ちっちゃければちっちゃいほど、もっともっと大きくにする。いろいろなところでコミュニティをたくさん作ったり、もうちょっと前におっしゃったコミュニティの大事さは、やっぱり、年取るとすごく大事です。私、そういうコミュニティをたくさん作りました。

■三つのロー(行動規準)

 そして私のプリーズね、三つのロー(行動規準)ですね。まず、「Love Yourself」、Love Yourself自分のことを大事にしないといけない。自分らしくないといけない。そして、自分、イエス、ノーをはっきり言える、自分の生活、自分の自由さを大事にする。そして、「Love what you do」ね、自分の好きなことをちゃんとやって。好きじゃないけど、やらないといけないが、ちょっと、そこも「Love」入れたい。そして、「Share the Love」。それは、すごく簡単に言うと、私たちの健康的に年を取るために、すごく大事なものです。後、何歳まで生きるか誰もわからないですけども、そこまで生きたのは、私、自分ですね。ちょっと、センチメンタルになっているんですけれども、やっぱり、そうだと思います。

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 そして、私、先ほどもこの二人とも一緒にやりました。インスタグラムで、もし、よかったら。私の、自分の、年を取ったなあと思い始めたのが、やっぱり、グレイヘアにしました。2015年で、もうカラーを止めて、そして、インスタグラムでプロジェクトが始まった。誰かね、グレイヘアの人と写真を撮って、アップロードします。もちろん、女性なかなか怖いですね。自分のグレイヘア見せるの、なんか、見せたら、ちょっと歳に見えて、そうではなくて、プラチナヘアはすごく大事です。だから、女性なら、もっともっと楽しく撮りたいという写真。あと、「Love what you do」それも、皆さん、たぶん、わかったと思いますので、私、すごくパッションで、情熱的にこの車の仕事もね。各ブランドは、「LOVE」入れます。だから、私たちの、今日ね、私のチームの一人もどうしても来たい。私、来なくてもいい、恥ずかしい。私たち、「Marketing」じゃなく、「LOVEting」、そういう新しいスタイル。ちょっとLOVEting。ブランドをLOVE、愛される、愛させる、そういうことですね。そして、私のLOVEの一つのものは、日本に来てから、もっともっと、この日本の文化とイタリアの文化のミックス、交流的なところと、そして似てるところ、もっともっとブランドの中に、例えば、フィアットで500のローンチ(開始)して、ほんとにすごく日本の文化とディスカバー(発見)始めたと言える。

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 これはジープですけども、フィアットでMade in Japan Projectと言うのを、すごく、もう、私のパッションで始めたんですね。もっともっと、日本の珍しい文化をわかりたい。だから、芸能人の、職人さんと話して、ミニ番組やります。私たちのメディアで。そして今回は少しだけ載っているんですけど、18個全部作ってもらって、全部一つのストーリーになる。そして、やっぱり、皆さん、固有な方多かった。ほんとに、パッションで自分のライフを作る。心で、手でだけじゃなくて、心で作る。この方もユネスコの一人のナショナルトレジャー(国宝)なっていて、美濃和紙のね。だけど、彼は代表者だけで、似てるもの作る人たちは、すごく、いっぱい出会って、それを私、習ったのは、LOVEting・・・大事だと思います。同じプロジェクトでジープでもやってます。ジープは、もっとオフロードの型なので、その場合は、もっと祭りを見に行く。アウトドアのですね。これは、例えば、高千穂とか。高千穂オールナイトで12月24日、全部、神楽を見て、ほんとに来るようなものをもっとできるために若い人に、もっとインバウンドしないといけない。それは、すごく大事になります。いろいろなもの、全部、私たちのウェブサイトを見ればね。定期的に見てください。

 そして、最後ですけど、すごく大事です。「Share」。「Share」は、やっぱり、みんな一緒にShare、コミュニケーションという深い意味ですけども、私の「Share」の考えた方で、ここは一つずつ話しできないんですけど、13件の素敵なNPO「Nonprofit Organization」。たぶん、今日いらっしゃる方は、NPOやってらっしゃると思いますので。例えば、この「Asian University for Women」「ILADY」「PEACE WINDS JAPAN」とか、全部東北でサポートやってたりとか、そして、「Smiling Hospital Japan」「Shine On Kids」、子供たちの病院に行って、戦うために、私たちのブランドの中で、ペットのプロダクションとか、全部環境のためとか、そして、大多数ね、「LGBTQ」とか、マイノリティのディスエイブルド(障害者)の方とか、そういうふうなサポートは、すごくブランドと一緒に、こういうプランとかを2011年から作って、そこも、私、わかったのは、これもほんとにLOVEの一つの大事なポイントです。

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 そこで、この「sharing」は、日本は、やっぱり、大震災の後で、もっともっと、ボランティア活動とか、do you feelingね、もっともっと強くなったと思いますね。元々、こういう経験は積んで、イタリアではもちろんキリスト教会で、すごい、このようなチャリティ、ボランティア、ミッション、すごかったんですけれども、ずっと、今の私たちのヨーロッパの中で。だけど、日本では、元々、大震災のあとで全然変わりました。だから、今、みんな、もっともっと、こういうようなソーシャル、社会活動のために、高齢者になるともっと、もっと時間を使ってほしいです。これは、健康のためにすごくいいものだからです。そして、あの、なぜなら、NPOの担当者は、ほとんど女性です。また、女性の話に戻るけれども、日本では、女性はほんとに力を持っていらっしゃる。だから、若い時もっと、仕事の、ワークプレイスね、仕事のところを変わるように入ってほしい。変化が必要です。この社会の中で、もっともっと、しっかり責任を取って、やってもらいたいです。やってる方々は、ほんとに最高です。この方々は、みんなNPOの社会の活動のためにやってる、だけれども、例えば、自動車の中にもっともっと女性に入ってもらいたい。どこでも女性がいると変化になる。社会、健康的に。だから、それは一緒に、男性、女性、ファシリテーションが、プロセスを始められないと社会は全体的に変わらない。

 これは、最後と思いますけども、後で皆さん、同じ写真撮ってもらいたい。だから、これは、サンプルです。これ、私の娘の学校で、スピーチしに行ったときに、みんなで、ワァーとかね。娘も、非常にうれしかったみたい。私、怖かった。だから皆さんと一緒に,いつする。後で、撮りましょう。

【松田】 どうも、ティツィアナさん、ありがとうございました。非常に、「Passion」を感じました。それから、「Love」というキーワードが印象に残りました。では、続きまして、日本代表で、牧壮さんになります。牧さんは、数年前にお会いしたんですけども、今、IoS、Internet of Seniorsということで、インターネットを使ってシニアを結び付けようと取り組みをされていますのでお願いしてます。牧さん、お願いいたします。

パネリスト 牧壮氏のお話

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【牧】 こんにちは、素晴らしいですよね。外国人のパネラーの方が入って、こんなに盛り上がるのだということが。でもね、日本語は世界で一番難しいと言いながら、あれだけ流暢な日本語をしゃべって、しかも、難しいテーマなのですよね、今日みたいな。普通あるような、学校で教えるようなテーマとかね、政治家がしゃべるような自己主張のテーマとか違って、生活に密着したというふうに、要するに感情が入っている日本語をしゃべるというのは、これ日本人でも非常に難しいんじゃないかと思っています。最後に、私の出番になりましたけども、私、リタイアしてちょうど20年。私は、2000年の時に63歳でリタイアして、現在を迎えているわけですけれど、60代でリタイアしたときに何を考えたかと言いますと、当時から日本は高齢化社会になるよとは言われてました。ところが、どういう高齢化社会か、誰もピンと来なかったのですね、当時は。私自身がリタイアして、これから定年後、何をしようかなって考えたとき、どんな社会に出会えるのだろう、何歳まで生きられるのだろうって思って、いろいろやって、私、たまたま、リタイアした最後の仕事が、ちょっと情報技術に関連していたものですから、じゃあ情報技術というのは、どういうふうになるんだろうと思っていたのです。当時、インターネットが出て、非常に初期の段階です。ネットを使うとなると、メールはできました。今は、4Gの時代、やがて5Gの時代が来るって言ってますけど、その頃は1Gの時代ですね。メールは送れるけれども、当時のスピードは、静止画像がちょこっと送れるかなという感じですよね。動画なんか送れないのです。

シニア社会と情報化社会

 それで、インターネットが将来、どうなるのだろう。これは、どんどん進歩するだろうとは予測していましたけど、じゃあ、シニア社会と情報化社会との融合というのは誰が考えてるんだって、いろいろ聞いて回ったらですね、いなかったんですよ。しょうがないなっていうので、じゃあ、自分がこれから高齢化していく上で、情報技術を実際使ってみよう。使ってみた高齢化社会というのは、どういうものになるか。自分自身が65歳になったとき、70歳になったとき、75歳になったときの情報技術とはどんなんだと、チャレンジした結果が、今日の私であるわけです。

 今日のお話は、「Ultra aging society」、世界中が超高齢化社会になる。今日のセミナーの基調演説から始まって、世界中が高齢化するよ、その中で日本が一番高齢化が進んでるよの話。現状も先ほどのお話の通り。じゃあ、世界が注目している日本から何か、この時代に検証できるものがあるのか、みんなが注目している期待に沿えるものはあるかって考えた、最後の私の結論が、やはり、自分自身が高齢化してみて、社会から孤立せずに、いつまでも社会とつながりがある、その最後の手段は、やっぱり、従来のような生活のパターンでは、もう限界が来るのじゃないか。最後に残された接点、社会とのコネクションは、やっぱり、ネットにつながっていくことじゃないだろうかということが、実は、私の最後の結論で、じゃあ、それをどうしようか、方法は何かって考えたときに、とにかく、いいから、全てのシニアをインターネットで繋がりませんかってことで、「Internet of Seniors」っていうのを提唱させていただいたのです。これ提唱したのは、数年前なのですけど、当時、だれもリアクションというか、わかってもらえませんでね、だから、私も色々な所での講演会でIoSの話をしたのですけど、反応は鈍いものでした。ところが、やっとここ1、2年で、皆さんにわかっていただけるようになってきました。今日は、私が考えたIoSっていうのは、どういうことでこういうふうになったのかというのを、少しお話させていただこうかと思っております。

 IoSを提唱した元は何かというと、皆さん、ご存じのように日本は、高齢化社会がどんどんどんどん進んでいるのです。私が、社会に出たとき、1960年ですけど、当時は、男の平均寿命は65歳ですから、私は、当時の定年55まで会社に勤めて、退職金もらって、そのあとの10年を自由に生きるっていうのが、私の人生プランだったんですよね。ところがそれがいつの間にか、この歳になって、要は高齢化がとどまることを知らないのですよね。そして長寿者の増加がどんどん止まらないのです。日本は、少子高齢化だ、ドイツ、イタリアも少子高齢化、後でちょっとお聞きしたいんですけども、こうやってみると人口が減少するよ。労働力が低下するよ。長生きするから孤立・孤独のシニアがどんどん増えるよ。認知症が増える、社会はどうなるんだろう。ピンチはチャンスだと、先ほどお話がありましたけれど、本当にチャンスになるのか。結局、最後はどういうふうになるのかって言うと、このままほっとくと際限なく増加する高齢者が、社会に対して負担増をもたらす、社会負担になるのだ。高齢期になることは、いいのだけれども、それが社会負担になるのじゃないか。これが一番のやはり、問題ですよね。じゃあ、どう解決するの、この日本の社会問題をということです。 一番日本で問題になっているのは二つあります。一つは、2025年問題。これは、団塊の世代が、75歳を迎え後期高齢者になる。もう一つが、2040年問題。高齢者数が最大になる。労働人口が最低になる。現役一人が1.5人の高齢者を支える。どうやって支えるのだろうか。団塊のジュニアが引退する。そうすると一体どういうふうな社会になるんだろう。全く未知の世界に。

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Internet of Seniorsとは

 一方、シニアのICTの活用っていうのは、どうなっているのか。先ほど、私、申し上げましたように、シニアがインターネットにつながるべきだって言っても、じゃあ、シニアはどうなってるのだ。最近は、「デジタルシニア」という言葉が出てきています。昔、なかった言葉なのですよね、デジタルシニア。ネットで通販の物買うよ、スマホを利用するよ、こういうのをデジタルシニア。ところが、日本は海外に比べると、その潜在力が非常に落ちてると言われています。例えば、スマホの利用率、60歳以上、アメリカ40パーセント、日本19パーセント。タブレットに至っては、32パーセント、9パーセント。これは、いろいろデータがあると思いますけども、こういう違いがある。どうしてなのでしょうか。技術的なバックグラウンドが日本は遅れてるのかというと、先進国なんですよね。こういうことをいろいろ心配したら、今年のアエラの新年号なのですが、こういう問題に対して、ネットで親子がつながれる社会についての記事が出ました。高齢化社会がどんどん進む中で、シニアはネットを使えないとなると孤立・孤独になるということで、アエラの新年号の特集は、デジタルで親子をつないだらどうだ。デジタルで親孝行してください。実家と、少子高齢化社会で離れて暮らす子供達が繋がる。こういう課題が、やっと取り上げられるようになってきましたね。それで、今、私は、世界に向かって、ちょっと、いろいろ皆さんのお知恵を拝借したいなあと思っているのが、世界に向かって、すべてのシニアをインターネットでつなぎませんか、インターネットシニアを提唱するんですけれども、これにも、第一にやらなきゃいけないことは、シニアそのものがリテラシーを上げなきゃいけないというのは当然ですけども、シニアだけでリテラシー上げられないのですよね。難しいのです。ですから、すべての世代の支援が必要なのです。

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 じゃあ、シニアがインターネットにつながる社会はどういう社会ができるのだ。我々の狙いは、孤立・孤独なシニアを作らない。まず、先ほどからお話になってる人とのつながりをずっと保つ。それから、シニアの有する知識や経験、シニアにはたくさんの経験があります。知識持っています。これ、今、社会に戻す方法がないんです。誰が、自分の知識を使ってくれるか。ネットでつながる以外にない。と同時に、世代を超えて、地域を超えて、すべての人が交流する。日本人とドイツ人がつながる、イタリア人がつながる、地域を超えてこういう問題は解決していく。今までのアナログの世界で、そういうのはできなかったのか。できなかったことでは、ないのですけども限界がありました。アナログの世界では、特に年取ると友達が減ります。仲間が減ります。ですから、最後のつながりは、要するにデジタルをベースにした高齢化社会にしないといけない。じゃあ、そういう社会できるのかっていうことで、いろいろ考えてみたのですけども、最近いろんな周辺環境の変化が出てきました。まず、インターネットがシニアにも非常に身近な存在になってきました。昔は、インターネット、俺はいいよ、そんなことやらなくたってすむよ。といっていたシニアも、もうインターネットつながらないと生活できなくなってきたのですね。それから、シニアにフレンドリーな機械がたくさん出てきました。スマホがそうです。タブレットがそうです。しかも安く手に入る。私が、リタイアした2000年頃は大変ですよ。コンピュータ買うのに30万円とかね。今は、もう3、4万円で、それを超えるものが手に入る。それから、シニアが楽しめるアプリが増えてきましたね。生活に役立つアプリが。

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 こういう環境変化があるのですけども、なかなかシニアのデジタル活用進んでないんです、現実には。何ででしょうか。やっぱり、こういうことの社会変革をするための仕組みがないのですね、まだ。遅れている。例えば、インターネットやろうと言うと、「いやぁインターネット怖いよ」、「また何か騙されるのではないか」、「何かあったらどうしようか」、誰にも相談相手がいない。我々、IoSというのを提案、指導しているのですけど、世の中には、IoSでなくて、IoTと言う言葉が、毎日、新聞に出てきますよね。「Internet of Things」全ての物を繋ぐ、と言う言葉です。これが、もう、ここ数年、社会の大きな話題になっています。一体、IoTとは何だというと、全ての物、物ですよね、いろんな物が、今までバラバラに存在した物が、ネットでつながりますよ。そしてどういう社会ができるの。これらが、つながると第4次産業革命(インダストリー4.0)が生まれますよ、と言われて、今、いろんな会社がこの産業に入ってきています。じゃあ、IoSって何だ。「Internet of Seniors」って何だ。全てのシニアをインターネットで繋ぐ、こっちと何が同じかというと、今まで、バラバラにいたものをネットで繋ぐわけですね。バラバラ住んでいたシニアをネットで繋いでみたら、これが革新的な高齢社会、今までにない高齢者社会を生み出す可能性があるのじゃないか。

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 両者の共通点は、何かと言うと、要するにインターネットで繋がった物(者)同士、モノっていうのは、Thingsもあれば、人の者、Personもあればね、これで情報の「やりとり」が始まるわけです。ネットで繋がることで、今迄、知らなかった人とも繋がる。従来なかった世界観、社会観、価値観が生まれる。我々としては、これを皆さんとともに、どんどん進めていきたいと思っています。これを進めていくためのやり方には、いろいろあります。私は、いろんなシニアに関する話題でのセミナーもやります。いろんな分野の方を呼んできて話もお聞きします。それから、今日、朝、檜山先生の話にあったバーチャルリアリティのシニア向け活用で、私どものグループのシニアと若手研究員が一緒にやらせていただいています。こういう最先端の技術を、まずシニアに使ってもらおうというようなことでやっていきますと、やはり、この間もCNNの取材も受けたのですけども、やっぱり、世界中がこういう問題に対して興味を持っているのです。我々は、年代と地域を超えた者が、一緒になってこれをやっていきたいと言うことを強く感じます。ということで、最後の結論ですけども、要は、社会インフラがインターネット時代ですから、これに対応したシニアのデジタル社会っていうのは、シニアも絶対にデジタルを使わざるを得ないだろう。その第一歩が、まずはシニア同士がネットで繋がり、それが世代を超えて、国を超えて、いろんな人に繋がっていくということで、日本から、是非、高齢化先進国の日本から、IoSという一つの共通の理念と共通のフラッグで、皆さんとともにインターネットで繋がりませんかということを、今日の皆さんと、またいろいろ議論をして、こういうものが、本当にうまくいくのかどうか、お知恵を拝借したいと思います。よろしくお願いします。

パネルディスカッション

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【松田】 高齢社会フォーラム5年やってますけど、こういう和やかな雰囲気は初めてで、いいですね。じゃあ、パネルディスカッション、残りの時間進めたいと思いますけども、パネルディスカッションでいつも思ってるのは、なんかお互いが言いたいこと言って、言葉のキャッチボールじゃなくて、ドッジボールっていうかね。一方通行でぶつけちゃうみたいな感じで、まあ、今日、登壇者の方それぞれ、クロストークというか、お互いの話について感想っていうのを簡単に一言ずつ言ってもらいたいんです。まず、ヴァルデンベルガーさんのドイツの話を聞いてどう思ったかっていうことをお話しして、まず、ティツィアナさんから、印象、感想をお願いします。

【ティツィアナ・アランプレセ】 共通ポイントたくさんあります。特に、私もちっちゃい町に、まあ15年から離れていて、そして、実はもっとね。私、16歳になって、ちっちゃい町離れた。ちっちゃい町に生まれると、もっと大きなところに行きたくなります。東京とかローマに生まれている人たちは、もっともっと何でもあります。大学あったり、なんでも、もっとcomfortableなエリアになる。だから、あんまり、あちこち移民しない。私は、逆にこんなちっちゃい町、もう私にちっちゃすぎる。ですから、私、別に村のライフスタイルとか、あんまり。好きですけど、嫌いなサイドもあります。なぜなら、一つの例だけ言いますけれども、お母さんは、ずっと元気だったんですけど、75歳ぐらい、ちょっとガンでタン(舌)を全部リムーブ(切除)された。おかげさまで、彼女、すごくファイターで、ガン戻ってこないんですけど、でも、すごく話すのはいろいろ問題あった。自分の町の中に彼女はたくさん友達がいたんですけれども、ちょっと、なんか話もできない。外に行ったらショッピングできない。彼女は、なんか閉まってしまったね、自分で。なぜなら、ちっちゃい町でみんなの意見とかみんなの悪口とか、そういうようなことも多いです、実は。私、この狭い世界好きじゃなかった。お母さんは、東京に行ったときにものすごく楽しかった。逆に、外の違う文化、違うこと。最初に、私に言った。もう話せない、話しできないのでどうする。お母さん、あなた日本語話さない、だから、どうしても自分でやってみて、そして、自分でショッピングしたりとか、なんというのか、その時に、私、わかったのは、日本人の社会はもっと年上に、たぶんもっとオープンマインドになってる。その時に、彼女歩いたら、みんなね、ほかの人たちからすごいスマイルされたりとか、すごい面白い経験でした。だから、コミュニティは、どこでも作られると思う。大きな町、ちっちゃい町、それではなくて、自分の時に大事にしながら、そして、たぶん、東京でもすごいたくさん町あるね。だから、各町の中にすごい商店街のコミュニティもたくさんあります。実は、イタリアよりドイツは、まだ違うと思いますけど、イタリアよりもっともっとファシリティ(便利な場所)は、いっぱいあります。日本では。もっとお互いに集まれる会議、楽しいイベントとか、大きな町なら、東京だったら、もっともっとチャンスは多いです。

【松田】 ありがとうございます。牧さん、如何ですか、フランツさんの話を聞いて、ドイツの話を聞いた感想を。

【牧】 あのですね。やっぱり、私どもには、高齢化社会の実態についての外国の情報がなかなか入ってきてないのですよね。同じ高齢化が、三か国共通にあると言っても、環境が違う。たしかに、ヨーロッパの方は、コミュニティに教会があったり、いろいろ人との繋がりが何かあるんだけども、日本は、なかなかない。それから、日本は、縦社会とずっと言われて、自分たちが所属していたところには友達ができるけれど、一旦、リタイアすると、今度は、横社会に友達がいないですね。非常に大きな問題があって、やっぱりそういう問題に対して、何かヒントがあると我々もいいなと思いますね。

【松田】 そうですね。ありがとうございます。じゃあですね、クロストークということで、今度は、ドイツから見たイタリアの今日の印象というのは。じゃあ、フランツさんから。

【フランツ ヴァルデンベルガー】 そうですね。ティツィアナストーリー、すごく楽しかったです。やはり、そういうイタリアっぽい雰囲気、楽しかったです。ドイツ人は、イタリア大好きですね。もう観光として。たぶんイタリア人から、そんなに好かれてないかもしれませんが、観光に行くと。しかし、そういう・・、

【ティツィアナ・アランプレセ】 すごく尊敬されてます。ドイツ人は、たぶん、イメージは、日本ではしっかり、でもフォルクスワーゲンのスキャンダルあってから、なんとも言えないですね。ショックがあった。私たちに、ステレオタイプの中でドイツ人はすごく正しいけど、そうでもないこともある。

【フランツ ヴァルデンベルガー】 ショックねえ。そう、まあ残念ですね。なんで、突然、65になると、なんで高齢者に言われるという、そういう、何とかそういう。よくバリアフリーという話があるんですけど、言語にもバリアフリー、そういう別に差別的な、差別というほどじゃないんですけど、ちょっとおかしいと思いますね。僕も、だんだん近づいてくるけど、ですからどういう言い方で言うのか。しかし、いろいろリタイアするかどうか、日本人は、給料が低くなっても、やはり、仕事は続けますね。それはたぶん、世界中で比率すごく高いですね。それで、実は、日本人は、統計を見ますと、95年からは労働人口が減ってきました。もう、10パーセントぐらい減ってますね、たぶん。しかし、労働者全体の労働者の数は増えてます。これは、やはり、仕事をし続けている高齢者っていうのは、もう、日本の経済をサポートしてます。経済だけじゃなくて、地域もエイジングのボランティアとか、町内会のメンバーとかね。よくUターンとかいう形でね、大都会で活躍して、世界中で活躍して、戻ってきて、田舎でなんか、故郷でなんか社会貢献する。僕の父も、やはり、仕事が終わっても、お金もらわなかったけど、そういういろんなところ参加して、サポートして、そこで、やはり、お互いウィンウィンになりますね。自分も元気で尊敬されますし、生きてる価値感じられますし、向こう側も、いい経験のあるサービスとか、アドバイスとかいろいろもらえますし。母もそう、そういう、自分で必要な、ほんとに休めない、病気になっても休めないような性格だったので、すごく、やはり、コミュニティの仕事は、重要ですね。

【ティツィアナ・アランプレセ】 やっぱり、Shareね。

【フランツ ヴァルデンベルガー】 Shareです。ですから、そのShareの話は。あと、自分でやってることを好きになる。自分も自信をもって貢献したいという立場ですね。それは感じました。

【松田】 いいですね。そうですね。今日、ティツィアナさんの言う、「Love」と「Share」という言葉はキーワードですね。牧さん、どうですか。

【牧】 私は、イタリアの方とはあんまり付き合いがなかったのですけどね、少ない経験からいうと、みんな、男性も女性も陽気なんですよね。陽気。社会が暗くなっても、自分はハッピーだ。先生のことじゃないですよ。やっぱり、みんなをエキサイティングさせるんですよね。ちょっと、お聞きしたいのですけど、そういう人がシニアになっても、イタリア人の場合は、仲間がどんどん増えているんでしょうか。日本は、老人になって、老人クラブというのがあちこちにあるんですけど、老人は増えてるけど、老人クラブのメンバーは減ってるんですよ。

【松田】 なるほど、それは、参加する人がいない。参加しないんですか。

【牧】 参加しない。二つ理由があると思うんですよ。老人会の平均年齢上がるから、もういいよって、やめていく人がいる。一方、シニアになってきて、年取ってくる人に魅力のある活動をやってない。だから、入らない。だから、老人クラブは、今、どんどん減っている。どうですか、ほかの方、違うよっておっしゃる方おられるかもしれないけれども、これイタリアの場合どうでしょうか。

【フランツ ヴァルデンベルガー】 老人クラブという概念がよくないですね。ただ、世代が交流できるような、地域で、音楽好きな人は、みんな、若い人でも、年取った人も、みんな音楽好きで、一つのクラブで一つの組織で活動すれば、一番いいですね。これは、そうです、コミュニティの。そうですね、日本の場合は、学校になると、ほとんどのそういうスポーツ活動とか音楽とか文化活動とか学校内ですよね。だから、コミュニティの繋がりは、ほとんどないですね。ドイツは、学校じゃなくて、コミュニティのクラブでやりますね。イタリアどうですか。

【ティツィアナ・アランプレセ】 イタリアはやっぱりファミリーね。ファミリーが強すぎて、みんな、すごくファミリー、ファミリーで絞って、そして、ファミリーが少なくなってくると、急に二人が、おじいちゃん、おばあちゃん、部屋の中、二人になって、そこから、やっぱり興味出してみたり。でも、そこからスタートするのは、難しい。私たちのお母さんたち、もっともっと、子供のため、なんでも。もっとね、だから、これ文化の違いですけども、カトリックな暮らしとファミリーの暮らしは全然違う。もっともっと自分のため、自分のサクセスのためのなんかやりましょうというスタンスと、逆に、教会の中にお母さんのため、お母さんだけと、そういうとイタリアの社会は、もっと、日本の社会に似ている。もっと、どこかコントロールされている。逆に、私も、ドイツだけでなく、ネーデルランドとか、北ヨーロッパの文化は全然違う。もっと、自由で、あと子供たちは16歳になったら、外、追い出させるよ。でしょ。イタリアは、もう、ずぅーと40歳、50歳になっても、結婚するまで、結婚しても、じゃあ、一緒に家作って同じに住むのは、それ日本でもよく今ありますね。こういうのは、まあまあ過ぎる社会をちょっと変わったほうがいいと。私、絶対、ドイツのスキルのこと大好き。

【牧】 イタリアというのは、若い人もアクセプト(accept)できてますか。

【ティツィアナ・アランプレセ】 だから、コンフォート(comfort)、若いイタリア人、すごくお母さんの料理とかお母さん全部やってくれるんで大好き。特に男の人。私は、18歳から家から出て、戻りたくなかったですね。だけど、私とお姉さんはずっと大学に、弟は二人でずっと同じ町で暮らして、そして、一人は、50歳までお母さんのところに住んでいました。

【松田】 いやぁ、耳が痛いな。僕も、実は、ずっと家の寄生虫と言われてましたけどね。そうか、でもそれは、ファミリーすぎるんですね。わかりましたね。

【ティツィアナ・アランプレセ】 そうそう、そして、社会の作り方。I Loveデジタルジャーマン、モアザンニューヨークです。 LGBTの違うファミリー、どこからスタートですか、ノットフロムイタリー、強いコントロールされている社会。私たちの場合、キリスト教会のカトリックな文化とか、日本の場合は、社会のコントロールとか、強い。だから、個人の自由さはなくなる。だから。年になったら、ちょっとリストアップしないといけない。

【松田】 わかりました。今日の、牧さんのキーワードの中にIoS。僕はね、これは何というのかな。IoSが、首相の施政方針演説に出てくるまで言うべきだと思っているんですけど、どうですか、IoSのコンセプトについては、フランシスから、どう思います。牧さんのIoSのコンセプトについては。

【フランツ ヴァルデンベルガー】 初めて、牧さんに会ったときは、すごく、びっくりしました。自信もってこういう、日本は、ほんとに当たり前だと思うんですけどね。高齢化が進んでいると同時に、日本もIT先進国ですね。いろいろパテント(特許)かハードウェアとかね。すごく進んでます。ですから、そのつながりは、ある意味当たり前なんですけども、やはり、分野は別々で、あまり、誰がそれをやるか。そういう牧さんみたいな起業家(entrepreneur)的な、entrepreneurですよね。entrepreneurという精神で、やってきて素晴らしいと思います。しかし、たぶん、それは日本だけじゃなくて、どこでも必要になりますので、実は、うちの研究所は、今、ヨーロッパのフィンランド、ドイツ、イタリア、オーストリアが参加しているプロジェクトがありますね。EUがお金出して。うちは日本のところもカバーしてます。その中には、やはり、高齢化のそういうデジタルリテラシーね、IcTの利用。キャパシティとかね、どうやって高めるか、そういう比較研究なんですけれども、実はそういう、みんなたぶん、あと何十年たったらもう全然それは問題にならないわけですね。それは、みんな、だんだん、デジタルネイティブとか、年取ると問題ないんですけど、今は、やはり、ほとんどテレビとか電話とか古い技術に慣れてきて、それで、なんか安全安心と思ってね、新しい技術、すごく不安があるんですね。そして、ちょっと聞こうと思ったんですけども、そういう高齢者の中で一番、牧さん、一番壁になっている理由は、インターネット使えない壁になっている理由はどこにあるんでしょうか。

【牧】 インターネットを使えない理由、いろいろあると思うんですけど、私は、二つ、普段言ってるのは。一つは、シニアもやりたいのですよ。しかし、どこからやっていいかわからない。何を買っていいかわからない。何を入れたらいいのかわからない。誰に聞いたらいいのか、店屋に行くと、若い店員がどんどん説明してくれるんですが、言葉がわからないので買えない。一番心が通じ合っている息子娘に聞くと、最初は教えてくれるけれど、2回3回やると喧嘩になっちゃう。もう駄目。それが最初のハードル。もう一つはね、さあ、俺やるぞといって始めるのですよ。ところが、やっぱり、バックグラウンドの知識がないと、何かに引っかかるのですね。ちょっと変なメッセージが飛び込んでくると、どうしたらいいかとか。そうすると、それを解決する人がなかなかできない。ああ、やっぱり、俺には無理かな。ね、やっぱり、そういう、いわゆる入門の部分と途中挫折の部分が、非常に現実に多いので、要は、周辺の人がちょっと助けてほしいのですが。ちょっと相談に乗ってほしい。ということで、今度、総務省が始めたデジタル民生委員っていう名前、名前は変わりましたけど、デジタル指導員っていうのを社会に定着させよう、身近なところに受け皿を作ろうと、今年から始めてますよね。

【松田】 聞いてて、面白いと思ったのは、教える人が男だと、偉そうに教えちゃうんだけど、女性は教えるのがうまいって聞いたんですけど。鎌倉とどこですか、島原。

【牧】 そうなんです。教える側にね、二つのタイプがありまして、ITやってたっていう人、もちろんいいんですよ。ところがね、技術先行なんですよ。用語のわからない、普通の人がわからない用語で、どんどん専門用語使ってる。もう一つのグループは、二か所私がやってる九州のところは、女性が指導員なんですよ。女性が相談員なんですよ。何に困っているか女性がわかって、専門用語使わないで、タブレットの楽しみ方を教える。まず、ゲームをやってみよう。こういうことやるとうまいこと繋がるよ。ね、写真がこうやって見せられる。ところが、男が教えると、どうしても、そもそもというところから入って、Wi-Fiとはなにかとか、そういう話が先行して、やっぱり、生徒さんも寝ちゃうんですね、生徒さんが。何かやってみて、現実に何か問題にぶち当たった時にそういうものをちょっと助けてあげられる環境ができるといいのですが。決して、シニアが、デジタルをリジェクト(拒絶)してるんじゃないんですよ。やっぱり、なきゃ困る。特にこの間みたいな大きな災害が来た時には、これがないと、自分がどうなってるのか、わからないと言うことで、ガラケーからスマホに替えられた方が結構増えてるのです。やっぱり、生活上、身近に必要なんだということをわかっていただければ。

【松田】 なるほど、わかりました。あとね、僕が聞きたかったのは、この話で、高齢社会を考えるときに、上がアクティブな層、2:6:2、20パーセント、60パーセント、20パーセントの法則ということで、上の人はいつでもアクティブ、下の人は、ノンアクティブというか、病気だとか、具合が悪い。問題は、真ん中の6割の潜在アクティブ、ポテンシャル・アクティブ・クライテリア(potential active criteria)って言うんですけど、これですれば、IoSやりたい、インターネットやりたい、だけどちょっと恥ずかしい、わからない。あるいは、今日でいうと社会参加だとか、ソーシャルインクルージョン(social inclusions)、ソーシャルパティシネイション(social participation)、したいんだけど、ちょっと恥ずかしいとか、きっかけがないとか、友達がいないと。今、僕、日本が最大の危機っていうのは、普通の人が、どんどんどんどん、こっち行っちゃうこと。友達がいない、インターネット使えないと。こういう人たちが具合よくないと、使えないと料金も高くなるし、孤独者増えちゃうから、普通の人たちをどんどん上にあげていくきっかけ作りだと思うんですけども、この真ん中の潜在アクティブ層というか、ポテンシャル・アクティブの人をどうやったら、元気にさせられるかというのは、これは、牧さんから、どうですか。

【ティツィアナ・アランプレセ】 でも、ひとつだけ言いたいんですけど、これは、やっぱり高齢者だけではなくて、社会全体の、社会の構造です。トップは、フレンドを作る、真ん中は、フォロワー、下に何にもしないで、ずぅーっと同じ。全体にどんなことすると、特に日本では真ん中がすごい大きい。だから、チェンジが難しい。社会的にすごくミッド(mid)が、みんな同じこと。そこで全部その文化を作ったの。そこでちゃんと教育が変わらないと、やっぱり、子供からの教育がスタートです。教育のシステムが変われば、そこは減ってくる。真ん中の人たち。

【松田】 わかりました。教育のシステム。じゃあ、フランツさんはどうですか、この問題を。潜在アクティブ層をどうやったら元気にするか。

【フランツ ヴァルデンベルガー】 同じように、これは社会全体に影響しますし、たぶん、非常に日本は、そうですね、高齢者になると、やはり、仕事、職場で牧さんみたいにね、たぶん、牧さんは、仕事の時はトップの継続も、もう早めだったと思いますけど、会社の中でも責任負って、なんかいろいろ仕事したと思います。ただし、そういう慣れてきた人は、やはり、退職した後でも責任を持って、何とかやりたいとかね。そして、次のところは、重要なところは、そうですね、潜在のところは、どうやって社会とつながっていくのか。そして、引っ張るのは、繋がりとして引っ張るしかないですね。そういうつながりを見つけるしかないですね。そういうところですね。家族とか、近所のネットワークとか、それがないと、ほんとに孤独しているとこは、ほんとにもう、人が訪ねても信頼がないと何もできないですね。

【松田】 今日ここに来てる人は、僕は、この上のアクティブ層だと思うんです。ただ、皆さんの周りでもここに来たいと思っているけども、なんかちょっと、恥ずかしいとか、きっかけがないと。実は、今日、ここの参加者っていうのは、8割9割がリピーターなんですよ。だから、ここに初めてくるって人はどれくらい。今日、初めて来た人、ああ結構いますね。なるべく僕は、こういう機会に、たくさん皆さんのお知り合いとかを連れてきてもらいたい。それが、この潜在アクティブ層をもっと、よりアクティブ支援するんじゃないかと思います。今日もっと、「Share、Share」、もっと話したいことがあったんですけど、思いのほか時間がかかりまして、最後に皆さんにアクティブ・エイジングに向けたメッセージを披露していただきたいんです。フランツさんから、アクティブ・エイジングに向けたメッセージをお願いします。

【フランツ ヴァルデンベルガー】 そうですね。年齢と関係なく、自信もって好きなことをやってください。

【松田】 年齢に関係なく好きなことをやる。大事なことだ。

【ティツィアナ・アランプレセ】 私ね、忘れてるので、ちゃんと書きました。いろいろな面白いこと書きました。年を取るためにまずね、例えば、動物とか子供、道の中に会ったら、ポジティブなメッセージ送ってください。「Love」送ってください。そして、猫ちゃんいれば、ハグ。木、古ければ古いほど、ハグしてください。大事にしてください。木はすごく大事、環境はすごく大事です。あと、クッキングすると「Love」入れて、そして、オリーブオイル。オリーブオイルいいですよ。あと、たまにお香とキャンドル。そして昔の人、お友達いなくなった人を考えて、そこもちょっとピースフル(穏やか)な時間を取ってください。少しだけでもいいよ。あと、私、きれいなミカンの木があるの。でも、私、ミカンは採らなかった。理由は、小鳥が来るので食べさせる。なんか食べさせて、みんなに。そして、まだ終わってないよ。あと、やっぱり、「Love,Love,Love」Love is this answer.いい年取るために。

【松田】 いいですね。Yes I have.ありがとうございました。国民性が出て、いいですね。じゃあ、最後、牧さん、お願いします。メッセージを。

【牧】 私、普段から考えていることで、やっぱり、日本人には、いいところ、悪いところ、両方あると思うのですけども、共通で言えることは、情報社会の進歩と高齢社会っていうのは、人類始まって以来の、誰も体験していないという、どこにも経験者いないんですよね。だから、すべては、やってみないとわからないというのが事実なのですけど、それが、やって見て、日本は、どうもいいものをいっぱい持って、ここに今日おられる方も、ほんとにいい活動をあっちこっちされて、私も存じ上げているんですが、どうしてもっと繋がりが強くならないのか、もったいないじゃないですか。折角、いいことやっているのが。やっぱり、ネットワークというツールがありながら、なかかな、そういうのが繋がらないというのは、やっぱり、日本から世界を動かすとき、日本に何にもないわけじゃない。あるんだけど、できないのはもったいない。やっぱり、情報発信をするということを、もっとやっていいじゃないか。とにかく、日本人はどっちかというとシャイなんですよね。言わずもがな何とかとか、多言は無用とかね。

【松田】 沈黙は金だとか。

【牧】 やっぱり、そういう昔風のあれがあるですけども、いよいよそういうことを言っていられる時代じゃなくて、過去の延長上の未来ではなくて、未来を創るんだということで、このデジタル技術を、先にみんなで共有していったらどうでしょうかというのが、私の提案なんです。

【松田】 ありがとうございます。ほんとに素晴らしいメッセージありがとうございました。コーディネーターとして総括すると、僕はこういうふうに思ったんですね。シルバー社会というのは、錆びるじゃなくて、錆びない、輝きを失わないプラチナ社会であるということです。それから逆転の発想というのは、高齢社会は、ピンチではなくてチャンスであるということ。そして、シニアは、社会のコストではなく、担い手だという発想です。それから、多世代の視点ね。高齢社会っていうのは、高齢者だけがハッピーではなくて、あらゆる世代がハッピーな成熟した社会であるということです。今日、非常にいい話で、ちょっと時間が全然足りなくてね、あと1時間必要でしたね。僕は、これを一過性のイベントにしないで、続けることと、深めることと、広めることだと思うんです。続けるっていうのは、例えば、こういったアクティブ・エイジング・フォーラムを、毎年毎年やって、それをここだけじゃなくて、次回はドイツでとか。次回はイタリアでとか、というような継続性が大事だということ。二つ目は、深めるということ。もっと、今日、議論進めたかったこと、キーワードがいっぱいありました。それを深めたいということ。広めるというのは、なんというか、僕の夢は、ダボスの経済フォーラムっていうのは、経済のことを知りたければ、ダボスに行きましょうということなんだけれども、高齢化のことを知りたければ、東京に来いといった東京エイジングフォーラムのような国際会議をやるべきですよ。それを世界中の人が集まる国際会議で、高齢化のことを知りたければ、日本に行きましょうというような夢のある話にしたいなということです。そして、最後に、一歩踏み出す勇気ということですね。今日、非常にいいキーワードがありました。それを一歩踏み出して実行することが大事。100の提言よりも1つの行動、100の委員会よりも1つの実践、100の有識者よりも1人の実行者ということですね。今日、ドイツ、イタリア、日本のアクティブシニアの方からヒントがありました。それを、是非、実行していただきたい。一歩踏みだす勇気が大事と思いました。今日、素晴らしい話をしていただきましたパネリストの皆さんに改めて拍手をお願いします。どうも、ありがとうございました。