高齢社会対策説明「高齢社会フォーラムin東京」

飯田 剛
内閣府政策統括官(政策調整担当)付参事官(高齢社会対策担当)

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 内閣府で高齢社会対策を担当している飯田と申します。

 私の方からは、本日のフォーラムの趣旨を補足する形で、高齢化の現状と高齢社会対策について簡単に説明をさせていただきたいと思います。

日本の高齢化の現状について

 まず、日本における高齢化の現状ですが、65歳以上の高齢者の方が人口に占める割合である、高齢化率は、第2次世界大戦終了後から5年後の昭和25年には5%弱にすぎず、若年者の方が中心の社会でしたが、その後、日本は急速に高齢化が進み、令和元年には28.4%で約4人に1人が65歳以上の社会となり、令和47年には38.4%、約2.6人に1人が65歳以上の社会になることが見込まれています。

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 次に、日本と、諸外国との高齢化率を比較すると、グラフの赤線が日本ですが、諸外国と比べると、日本は、欧米と比べ高齢化率が高まっていくスピードが速く、かつ、世界で高齢化率が最も高い水準にあります。これは、日本の少子化の進展と、次のグラフにもあるとおり、平均寿命・健康寿命の双方が、男女ともに延伸しており、長寿化が進んでいることが理由としてあげられます。

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新型コロナウイルス感染症の拡大前と後での調査結果について

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 このように長寿化が進む中、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大前に実施した令和元年度の調査結果ですが、まず、60歳以上の方に、経済的な暮らし向きについて聞いた結果をみますと、「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」、「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」をあわせると、経済面では、60歳以上の人の約4分の3が心配なく暮らしていると回答されており、平成28年の同様の調査の6割強から割合が高くなっています。

 一方、平成26年度の調査でちょっと古いですが、同じく、60歳以上の方に、将来の日常生活への不安に感じることについて聞いた結果をみますと、「自分や配偶者の健康や病気のこと」が67.6%、「自分や配偶者が寝たきり等介護が必要な状態になること」が59.9%と割合が高くなっており、健康や病気、そして将来の介護について不安が大きい状況にあります。

 そして、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、昨年12月に、各年代の方に感染拡大前(令和元年12月)と比べて不安が増していることがあるかについて聞いた結果をみますと、新型コロナウイルス感染症が、高齢者の方が重症化するリスクが高いことも背景にあるかと考えますが、他の年代の方と比較して、60歳以上の人の4割以上が「健康」について不安が増している回答しています。また、「将来全般」についてや、「人間関係、社会との交流」についても、不安が増している回答も、相対的に多くなっています。

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コロナ過での社会参加について

 こうした中で、藤原先生からの基調講演でもお話いただき、また、これから行われる分科会でも、コロナ禍の中で、国際間の比較も含め、どのように健康づくりや社会参加などを進めていくべきかご議論いただきますが、60歳以上の方で社会的な活動に参加されている方の割合をみると、約3人に1人にとどまっている状況です。また、社会的な活動について、「特に活動はしていない」としている残りの6割の方について、属性別にみると、単身世帯の男性や、賃貸住宅にお住まいの方などが、活動していない方が多くなっています。

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 現在、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、一部都府県において緊急事態宣言が再発令され、不要不急の外出自粛など感染防止対策の徹底が必要不可欠な状況です。そして、再発令の対象地域以外にお住いの方を含め、お住いの地域における感染状況をみながら、ご自身やご家族の方の健康の確保、そして感染拡大防止のため、皆様一人ひとりが必要な取組をしていただくことが不可欠な状況でございますが、大きな方向性としては、今後とも感染状況を踏まえつつ、例えば、オンラインを通じてのコミュニケーションなど必要な感染防止対策をしっかりととりながら、高齢者の方自身の自己実現の観点に加え、健康づくりや、人口減少社会における様々な分野における担い手になっていただくという観点からも、高齢者の方に、地域のつながりを持ちつつ、一層の社会参加をしていただきたいというふうに思っています。

政府の取り組み

 最後に、政府の取組を簡単にご紹介します。政府の取組といたしましては、平成30年2月に高齢社会対策大綱を策定しています。大綱の目的のところでは、高齢者を一律に65歳以上とかそういう見方は現実的なものではなくなりつつある、そして、基本的な考え方には、年齢にかかわらず活躍できるエイジレス社会を目指す、高齢期の暮らしを具体的に描ける地域コミュニティを作っていく、そして、技術革新の成果を活かしていくとされています。

 また、大綱では、6つの分野別に基本的施策を定めていますが、3つ目の柱として、学習・社会参加をあげております。そして、大綱等を受けて、内閣府では、本日開催しているフォーラムに加え、エイジレス・ライフ実践者・社会参加活動事例に関する紹介事業ということで、積極的に社会参加をされている高齢者の方や高齢者の団体の皆様の表章事業を通じて、高齢者の方の社会参加の促進に取り組んでおります。

 以上で、高齢化の現状と高齢社会対策の説明とさせていただきます。ありがとうございました。

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