65歳以上の高齢者人口は,「人口推計」(総務省)でみると,(平成12年10月1日現在, 2,193万人で,総人口(1億 2,692万人)に占める割合(高齢化率)は17.3%となっている。1年前の11年10月1日現在と比較すると,高齢者人口は74万人増加し,高齢化率は, 0.6ポイント上昇している。
今後の高齢化の推移を「日本の将来推計人口」(平成9年1月推計,中位推計)(以下「将来推計人口」という。)(国立社会保障・人口問題研究所)でみると,65歳以上の高齢者人口及び高齢化率は,平均寿命の伸長や低い出生率を反映して今後も上昇を続け,平成27(2015)年には,高齢者人口は 3,188万人,高齢化率は25%を超え,国民の約4人に1人が65歳以上の高齢者という本格的な高齢社会が到来するものと見込まれている。
高齢者を前期高齢者(65〜74歳)と後期高齢者(75歳以上)に分けてみると,「人口推計」(総務省)によれば,平成12年10月1日現在,前期高齢者人口は 1,298万人,後期高齢者人口は 895万人となっている。平成11年10月1日現在と比較すると,前期高齢者人口が 2.3%の増加であるのに対し,後期高齢者人口は 5.3%増と大きな増加となっている。
今後の前期,後期別の高齢者人口の推移を「将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所)でみると,前期高齢者人口は平成28(2016)年の 1,698万人をピークにその後は減少していくものと見込まれている。一方,後期高齢者人口は増加を続け,34(2022)年には前期高齢者人口を上回るものと見込まれており,高齢者数が増加する中で後期高齢者の占める割合は,一層大きなものになるとみられる。
高齢者のいる世帯について,「国民生活基礎調査」(平成11年)(厚生省)でみると,65歳以上の者のいる世帯数は 1,488万世帯であり,全世帯( 4,492万世帯)の33.1%を占めている。
65歳以上の者のいる世帯の内訳は,「単独世帯」が 270万世帯(18.2%),「夫婦のみの世帯」が 413万世帯(27.7%),「親と未婚の子のみの世帯」が 226万世帯(15.2%),「三世代世帯」が 406万世帯(27.3%)であり,65歳以上の者のいる世帯における三世代世帯の割合が低下し,単独世帯及び夫婦のみの世帯の割合が大きくなってきている。
我が国の平均寿命について,最近の状況を「簡易生命表」(平成11年)(厚生省)でみると,平成11(1999)年には男性が 77.10年,女性は 83.99年とそれぞれわずかに10年(男性 77.16年,女性 84.01年)を下回っている。
また,65歳時の平均余命は,昭和22(1947)年には男性が 10.16年, 女性が 12.22年となっていたものが,平成11 (1999)年には男性が 17.02年,女性が 21.89年となっており,男性で6.86年,女性で9.67年,それぞれ高齢期が長くなっている。
出生の最近の状況を「人口動態統計」(平成11年)(厚生省)でみると,平成11年の合計特殊出生率は1.34で,過去最低を更新している。
なお,平成11年の出生数は 117万 7,669人で10年と比べて2万 5,478人減少し,出生率(人口千人当たりの出生数)は,11年は9.4で,10年(9.6)を下回った(12年は,推計値で 118.9万人, 9.5)。
我が国では婚姻外での出生が少なく,有配偶女性の出生児数は大きく低下していないことから,近年の出生率低下は,主として初婚年齢の上昇 (晩婚化)や結婚しない人の増加(非婚化)によるものと考えられる。
未婚率の推移を「国勢調査」 (総務庁) でみると,昭和50年頃から25〜39歳の男性及び20歳代の女性で上昇が際立っている。
生涯未婚率を「人口統計資料集」(平成12年) (厚生省) でみると,男女とも上昇傾向にあって,平成7(1995)年には男性8.99%,女性5.10%となっており,特に男性の上昇幅が大きくなっている。また,初婚年齢も男女とも上がってきている。
平成12(2000)年の労働力人口総数(15歳以上労働力人口) は, 6,766万人であったが, そのうち60歳以上は 919万人であり,13.6%を占めている。労働力人口の高齢化は着実に進んでおり,労働力人口総数が今後減少していくと予想される中で,今後一層進展していくものと見込まれる。
年金・医療・福祉における社会保障給付を「社会保障給付費」 (国立社会保障・人口問題研究所)でみると,平成10(1998)年度は72兆 1,411億円であり,国民所得に占める割合は,昭和45(1970)年度の 5.8%から18.9%に上昇している。租税負担,社会保障負担及び財政赤字を合わせた潜在的な国民負担率(対国民所得)は,昭和45(1970)年度の24.9%から平成13(2001)年度には45.3%に上昇すると見込まれている。
高齢者世帯の年間所得(平成10年の所得)について,「国民生活基礎調査」(平成11年)(厚生省)でみると, 335万5千円であり,その内訳をみると,公的年金・恩給が64.5%を占めている。高齢者世帯の年間所得は,全世帯( 655万2千円)の半分程度に過ぎないが,世帯人員一人当たりでみると,大きな差はみられなくなる。
世帯主の年齢が65歳以上の世帯の貯蓄の状況について,「貯蓄動向調査」(平成12年)(総務省)でみると,1世帯平均の貯蓄現在高は, 2,739万4千円となっており,全世帯( 1,781万2千円)の約 1.5倍となっている。
高齢者の就業状況について,「高年齢者就業実態調査」(平成8年)(労働省)でみると,男性の場合,就業者の割合は,60〜64歳で70.0%,65〜69歳で53.4%となっている。不就業者であっても,60〜64歳の不就業者 (30.0%) のうち6割以上が,65〜69歳の不就業者 (46.6%) のうち4割近くの者が,それぞれ就業を希望している。
女性の就業者の割合は,60〜64歳で41.1%,65〜69歳で28.1%となっている。不就業者であっても,60〜64歳の不就業者 (58.9%) のうち3割以上が,65〜69歳の不就業者(71.9%)のうち2割以上が,それぞれ就業を希望している。
健康の維持増進に心がけていることがあるかについて,60歳以上の者を対象とした「高齢者の健康に関する意識調査」(平成9年)(総務庁)でみると,約4分の3の者が心がけていることがあるとしており,食事・休養・運動といった健康の3大要素に関する項目が上位となっている。
高齢者の健康状態について,「国民生活基礎調査」(平成10年)(厚生省)でみると,65歳以上の高齢者の有訴者率(人口千人当たりの病気やけが等で自覚症状のある者の数)は, 530.3と半数以上の者が自覚症状を訴えている。
また,日常生活に影響のある65歳以上の高齢者(健康上の問題で,日常生活の動作・外出・仕事・家事・学業・運動・スポーツ等に影響のある者)の割合は,高齢者人口千人当たりで, 203.3となっている。
70歳以上の高齢者の一人当たりの老人医療費は,「老人医療事業年報」(平成10年)(厚生省)によると,約80万円となっており,国民一人当たり医療費(約24万円)の約 3.4倍となっている。
65歳以上の在宅の「寝たきり」(「全く寝たきり」及び「ほとんど寝たきり」を合わせたもの)の高齢者について,その寝たきりの期間を「国民生活基礎調査」(平成10年)(厚生省)でみると,「3年以上」となっている割合が半数近くになっている。
65歳以上の要介護等の高齢者の割合について,65歳以上人口千人当たりの数でみると,在宅の要介護者は48.7, 特別養護老人ホームの在所者は13.1, 介護老人保健施設の在所者は 8.9となっている。また, 病院・一般診療所に6か月以上入院している65歳以上の高齢者は, 65歳以上人口千人当たり14.3となっている。これらの割合は, 年齢階級が上がるにつれて大きく上昇する傾向がある。
60歳以上の高齢者の社会参加活動に対する意識について,「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」(平成10年)(総務庁)でみると,「グループや団体で自主的に行われている活動(地域活動)に,今後とも(又は今後は),参加したいと思うか」という質問に対し,「参加したい」が47.9%と約半数となっており,「参加したいが事情があって参加できない」が14.8%,「参加したくない」が32.6%となっている。
高齢者の各種サークルや団体への参加状況について,「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」(平成10年)(総務庁)でみると,60歳以上で何らかのサークルや団体に参加している者は66.4%となっている。参加している団体では,「町内会・自治会」が34.6%,「老人クラブ」が24.8%,「趣味のサークル・団体」が19.8%となっている。
高齢者世帯の住宅について,最低居住水準(「住宅建設五箇年計画」において定めている居住水準の一つ)を満たしているかを「住宅・土地統計調査」(平成10年) (総務庁) でみると,高齢夫婦主世帯(夫婦のいずれかでも65歳以上の夫婦一組のみの主世帯) では99.4%,高齢単身主世帯(65歳以上の単身者のみの主世帯)では96.1%が水準を満たしている。借家に住む世帯では,水準を満たしていない世帯が,高齢夫婦主世帯で 2.8%,高齢単身主世帯で10.1%となっている。
60歳以上の高齢者の住宅に対する意識について,「高齢者の日常生活に関する意識調査」(平成11年)(総務庁)でみると,現在住んでいる住宅に対する不満な点は,「特に不満はない」が73.6%と7割以上を占めており,不満があるとする者では,「住宅が古くなったりいたんだりしている」が13.4%と最も 多く,そのほかに「住宅が狭い」が 6.5%,「住宅の構造や設備が使いにくい」が 5.6%となっている。
60歳以上の高齢者の外出時の障害について,「高齢者の日常生活に関する意識調査」(平成11年)(総務庁)でみると,「特にない」が61.6%と6割を超えている。障害があるとする者では,「道路に階段,段差,傾斜があったり,歩道が狭い」が14.5%と最も多く,外出先でも階段や段差に悩まされている高齢者の姿がうかがえる。
高齢者の交通安全に関して,65歳以上の高齢者の交通事故死者数を「交通統計」(平成12年)(警察庁)でみると, 3,166人で交通事故死者全体の34.9%を占めている。
交通事故死者数は,平成4年までは16〜24歳の若者が多かったが,5年に高齢者が若者の死者数を上回り,その後も高齢者の割合の増加と若者の割合の低下が続いている。
高齢者と犯罪,災害に関し,65歳以上の高齢者の犯罪による被害の状況について,「犯罪統計書」(平成11年)(警察庁)の刑法犯被害認知件数でみると,平成11年は16万 5,873件で,10年と比較すると2万 6,804件,19.3%増加しており,被害認知件数全体に占める割合も上昇を続けている。
また,65歳以上の高齢者の火災による死者数(放火自殺者を除く。)について,「消防白書」(平成12年)(消防庁)でみると,平成11年は 691人であり,全死者数の約半分を占めている。