(2)少子化の進行
我が国の戦後の出生の状況の推移をみると、出生数は、第1次ベビーブーム(昭和22(1947)〜24(1949)年)、第2次ベビーブーム(46(1971)〜49(1974)年)の2つのピークの後は減少傾向にあり、平成12(2000)年の出生数は119万547人、出生率(人口千人当たりの出生数)は9.5となっている(13(2001)年は、推計値で117万5千人、出生率9.3)。
また、合計特殊出生率(15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、一人の女性が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子供数に相当する。)は、第1次ベビーブーム以降急速に低下し、昭和31(1956)年に2.22となった後、しばらくは人口が静止するために必要な水準(2.1程度)で推移してきたが、50(1975)年に1.91と2.00を下回ると、平成5(1993)年には1.46と1.50を割り、その後も低下傾向は続いている。12(2000)年の合計特殊出生率は1.36であり、11(1999)年の1.34よりは上昇したものの、過去最低水準にとどまっている(図2−1−10)(先進諸国の合計特殊出生率については表2−1−11参照)。
図2−1−10 出生数と合計特殊出生率の推移
表2−1−11 先進諸国の合計特殊出生率の推移
<
CSVデータ>
国名 |
昭和45年(1970) |
昭和50年(1975) |
昭和55年(1980) |
昭和60年(1985) |
平成2年(1990) |
平成7年(1995) |
平成10年(1998) |
平成11年(1999) |
平成12年(2000) |
日本 |
2.13 |
1.91 |
1.75 |
1.76 |
1.54 |
1.42 |
1.38 |
1.34 |
1.36 |
アメリカ |
2.46 |
1.8 |
1.84 |
1.84 |
2.08U1 |
2.02 |
2.06 |
2.08U2 |
2.13U2 |
フランス |
2.47 |
1.96 |
1.99 |
1.83 |
1.78 |
1.71E |
1.76E |
1.79E |
1.89E |
ドイツ |
2.01 |
1.45 |
1.46 |
1.3 |
1.45E |
1.25 |
1.36E |
1.36E |
1.36E |
イタリア |
2.43E |
2.14 |
1.61 |
1.42E |
1.33E |
1.19 |
1.20E |
1.23E |
1.23E |
スウェーデン |
1.94 |
1.78 |
1.68 |
1.74 |
2.13 |
1.73E |
1.50E |
1.50E |
1.54E |
資料:UN,Demographic Yearbook ただし、厚生労働省「人口動態統計」
E=Council of Europe, Recent demographic developments in Europe,2000
U1=U.S. Department of Health and Human Services, National Vital Statistics Report,Vol.48,No.3
U2=CDC,DHHS,National Vital Statistics Reports,Vol.50,No.5,February 12,2002
(注)ドイツについては、1990年以前のデータは、旧西ドイツ地域のものである。
今後、合計特殊出生率は、平成21(2009)年の1.31まで低下した後、ゆるやかに回復し、長期的には1.39程度で安定すると見込まれている(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来人口推計」(平成14年1月推計)の中位推計による)。
我が国では婚姻外での出生が少ないことから、近年の出生率低下は、主として初婚年齢の上昇(晩婚化)や結婚しない人の増加(非婚化)によるものと考えられてきた。
まず、未婚率の推移をみると、昭和50(1975)年頃から25〜39歳の男性及び20歳代の女性で上昇が際立っている(図2−1−12)。
図2−1−12 年齢階級別未婚率の推移
生涯未婚率は、男女とも上昇傾向にあって、平成12(2000)年には男性12.6%、女性5.8%となっており、特に男性の上昇幅が大きくなっている。また、初婚年齢も男女とも上がってきている(表2−1−13)。
年次 |
男性 |
女性 |
生涯未婚率(%) |
初婚年齢(歳) |
生涯未婚率(%) |
初婚年齢(歳) |
昭和25年(1950) |
1.46 |
26.21 |
1.35 |
23.60 |
35(1960) |
1.26 |
27.44 |
1.87 |
24.96 |
45(1970) |
1.70 |
27.47 |
3.33 |
24.65 |
50(1975) |
2.12 |
27.65 |
4.32 |
24.48 |
55(1980) |
2.60 |
28.67 |
4.45 |
25.11 |
60(1985) |
3.89 |
29.57 |
4.32 |
25.84 |
平成2(1990) |
5.57 |
30.35 |
4.33 |
26.87 |
7(1995) |
8.99 |
30.68 |
5.10 |
27.69 |
12(2000) |
12.57 |
30.81 |
5.82 |
28.58 |
資料:国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」(2001/2002年版)
総務省統計局『国勢調査報告』より算出。SMAM(Singulate Mean age at first marriage)は、静態統計の年齢別未婚率から計算する結婚年齢であり、次式により計算する。SMAM(ΣCx-50・S)/(1-S)。ただし、Cxは年齢別未婚率、Sは生涯未婚率である。生涯未婚率は、45歳〜49歳と50歳〜54歳未婚率の平均値であり、50歳時の未婚率を示す。
また、配偶者のある女性について平均出生児数をみると、総数としては減少傾向にあるものの、その減少幅は小さい。しかし、若い世代においては、他の世代に比べて出生児数が低下する傾向が見え始めており、今後、夫婦の出生力が低下し、これが晩婚化、非婚化とあわせて出生率の低下を招くのではないかとの見方もある(表2−1−14)。
表2−1−14 有配偶女性の平均出生児数の推移
<
CSVデータ>
年齢階級 |
昭和52年(1977) |
昭和57年(1982) |
昭和62年(1987) |
平成4年(1992) |
平成9年(1997) |
総数 |
1.89 |
1.93 |
1.96 |
1.9 |
1.84 |
(有配偶女性の年齢) |
|
|
|
|
|
20〜24歳 |
0.73 |
0.50 |
0.73 |
0.69 |
0.68 |
25〜29歳 |
1.35 |
1.28 |
1.31 |
1.09 |
0.95 |
30〜34歳 |
1.99 |
1.99 |
1.97 |
1.76 |
1.61 |
35〜39歳 |
2.15 |
2.16 |
2.14 |
2.15 |
2.06 |
40〜44歳 |
2.19 |
2.21 |
2.18 |
2.16 |
2.18 |
45〜49歳 |
2.33 |
2.21 |
2.22 |
2.18 |
2.13 |
資料:国立社会保障・人口問題研究所「第7次、第8次、第9次出産力調査」(昭和52年、57年、62年)、「第10回、11回出生動向基本調査」(平成4年、9年)
(注)妻が50歳未満の初婚同士の夫婦を対象