第3章 高齢社会対策の実施の状況

(3)公的年金制度の安定的運営

ア 持続可能で安定的な公的年金制度の確立
 我が国の公的年金制度は、「一階部分」の国民年金(基礎年金)と「二階部分」の厚生年金保険、共済年金からなる「二階建て」の構成をとっている。国民年金(基礎年金)は、20歳以上の全国民が加入する制度であり、基礎的な給付を行うものである。被用者が加入する厚生年金保険、共済年金は、国民年金(基礎年金)に上乗せして報酬比例の年金給付を行うものである。厚生年金保険は、広く各産業分野の被用者が加入するが、共済年金は、国家公務員、地方公務員、私立学校教職員の職域ごとに3制度が並立している。
 なお、自営業者に対する上乗せ年金としては国民年金基金制度があり、厚生年金保険の上乗せとしては厚生年金基金制度がある(図3−1−8)。

図3−1−8 年金制度の体系

年金制度の体系の概要を示した図

 我が国の公的年金制度は、年金を受給する高齢者世代をサラリーマンや自営業者等の現役世代が支える世代間扶養の仕組みを基本としており、こうした仕組みをとることによって、長期間にわたる賃金や物価の上昇等の社会経済の変動に対応した年金給付を行うことが可能になる。
 急速に少子高齢化が進行する我が国において、公的年金制度が国民の老後を確実に支える役割を将来にわたって果していくことができるようにするためには、まず、こうした公的年金制度の基本的な考え方や重要性について国民、特に若い世代の理解と合意を得ることが重要である。このため、年金週間(11月6〜12目)等において、その広報を行い、普及を図っているところである。
 また、年金制度においては、少なくとも5年に1度、年金財政の将来見通しを見直す「財政再計算」を行うこととされており、将来にわたって持続可能で安心できる制度を確立するため、平成16年までに行うこととなっている次期財政再計算に向けて、14年1月より、社会保障審議会年金部会において、制度全般にわたる検討を開始した。
 また、平成12年平均の全国消費者物価指数が10年平均を下回ったことから、本来ならば13年4月からの年金の額等を引き下げるべきところを、平成十三年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律(平成13年法律第13号)に基づき、13年度の特例として、国民年金法による年金の額等を据え置く措置を講じた。
 農業者年金制度については、農業の担い手確保及び年金財政の長期的安定を図るため、平成13年6月に、加入要件の緩和や積立方式への移行等を内容とする農業者年金基金法(昭和45年法律第78号)の一部改正が行われた(平成14年1月施行)。

 

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