(1)国連における取組−第2回高齢化に関する世界会議−
ア 国連の取組の沿革
国連による本格的な高齢化問題への取組としては、1982(昭和57)年に、初めての「高齢化に関する世界会議(World Assembly on Ageing)」がウィーンで開催された。同会議において、高齢者の健康と栄養、高齢消費者の保護、住宅と環境、家族、社会福祉、所得保障と就業、教育についての勧告等を内容とする「高齢化に関する国際行動計画(International Plan of Action on Ageing)」が採択され、同年の国連総会で決議されている(表2−2−1)。
表2−2−1 高齢化問題に関する国連の取組の沿革
この後、1990(平成2)年の国連総会決議により、毎年10月1日を「国際高齢者の日(International Day of Older Persons)」とすることとされた。さらに、1991(平成3)年の国連総会では、国際行動計画の推進などを目的として、「高齢者のための国連原則(United Nations Principles for Older Persons)」が採択された。この原則は、高齢者の自立、参加、ケア、自己実現及び尊厳を実現することを目指した内容となっている(表2−2−2)。
表2−2−2 高齢者のための国連原則
1992(平成4)年の国連総会で、「高齢化に関する国際行動計画」の推進や「高齢者のための国連原則」を一層広めることを促すと共に、1999(平成11)年を「国際高齢者年(International Year of Older Persons)」とすることなどを内容とする決議が採択された。
国際高齢者年においては、「すべての世代のための社会をめざして(towards a society for all ages)」をテーマとして、世界各国で幅広い分野における研究集会やシンポジウム、展示会等の啓発事業が行われた。1999(平成11)年10月には、国際高齢者年のフォローアップのための特別会議が国連本部にて開催され、同会議において、高齢化に関する世界会議を2002(平成14)年にスペインで開催し、国際行動計画を20年ぶりに改訂することが提案された。