平成15年度において講じようとする高齢社会対策 

2 高齢社会対策の推進

 平成15年度の主な新規施策を各分野別に挙げれば、次のとおりである。

(1)就業・所得
 地域の事業主団体と連携し、その傘下企業を対象として集団的に指導・助言を行うことにより、65歳までの継続雇用制度の導入比率の上昇を図る。
 また、中高年長期失業者に対して、民間のノウハウを活用した就職支援セミナー、カウンセリングの実施、求職者同士の経験交流等の再就職支援を行う。
 さらに、平成16年の年金制度改正に向け、「年金改革の骨格に関する方向性と論点」を基に、国民的な幅広い議論を行っていくと共に、年金制度改正の具体化に向けて、社会保障審議会年金部会等において議論を進めていく。

(2)健康・福祉
 高齢者が寝たきりなどの要介護状態にならずに、住み慣れた地域社会の中で自立した生活を送ることができるよう、加齢に伴う運動機能の低下を防ぐ観点から、高齢者向けのトレーニング機器等を用いたトレーニングを実施する事業等を、新たに補助対象とする。
 また、全室個室・ユニットケアの小規模生活単位型特別養護老人ホームの特徴をいかした適切なサービスの提供を確保するため、施設管理者及び介護職員を対象とした研修の実施について、新たに補助対象とする。
 さらに、高齢者医療制度の改革に関しては、平成14年度に策定した基本方針に示された改革の基本的方向に基づき、具体的な改革の内容について検討を進める。

(3)学習・社会参加
 ボランティア活動や高齢者との交流を行うこととした新学習指導要領の円滑な実施に努める(小・中学校は平成14年度、高等学校は15年度より実施)。
 また、平成15年5月1日から施行される特定非営利活動促進法の一部を改正する法律(平成14年法律第173号)や、15年度税制改正において拡充された認定NPO法人制度の普及定着を始めとして、NPO活動などのボランティア活動を促進するための環境整備を図る。

(4)生活環境
 交通事故が多発している住居系地区や商業系地区において、面的かつ総合的な事故対策の実施により歩行者等の安全通行を確保する「あんしん歩行エリア」を中心に、高齢歩行者等の安全を確保するための施策に重点的に取り組む。
 また、住居系地区において、通過交通の排除を徹底して、車よりも歩行者等の安全・快適な利用を優先し、沿道と協働した道路緑化、無電柱化等による質の高い生活環境を創出する「くらしのみちゾーン(仮称)」を形成するため意欲の高い地区を募集し、先導的な取組を支援する。

(5)調査研究等の推進
 我が国の強みをいかして、個人個人にあった予防・治療を可能とする医療(テーラーメイド医療)や幹細胞を用いた再生医療の実現化を目指した研究開発等を推進するとともに、引き続き我が国の研究開発能力を結集して3,000種以上のタンパク質の基本構造・機能の解析を行い、ゲノム創薬の実現等を目指すプロジェクト等を推進する。

 

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