第1章 高齢化の状況(第3節 3)

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第3節 人口減少社会における高齢者の能力発揮

コラム3 「高齢者による通学路等の安全確保の取組」

ア 所沢市長生(ちょうせい)クラブ連合会

地域における子どもの見守り活動については、厚生労働省からの要請と(財)全国老人クラブ連合会による「地域の子どもは地域で守ろう」との呼び掛けを受けて、高齢者による通学路等の安全確保に対する取組が広がっている。

埼玉県所沢市にある「所沢市長生クラブ連合会」所属の老人クラブ(94団体)では、平成16年度に組織した「シルバーパトロール隊」をきっかけに、会員が防犯パトロールと併せて子どもの通学時の安全確保のための見守り支援を行っている。

老人クラブの会員が、散歩、買い物などの外出時に、各々専用の帽子を着用し巡回するとともに、小学校児童の下校時間に合わせ、通学路の要所において児童の見守りを行うなど犯罪や事故の抑止に貢献している。

ある会員の男性は「どの子も『さようなら』とあいさつをしてくれます。この活動が防犯のみならずしつけにもなり、子どもとの交流も図ることができるのでやりがいを感じます。」と話しており、青少年の健全育成にも寄与している。

所沢市長 生クラブ連合会

イ (社)荒川区シルバー人材センター

東京都の「社団法人荒川区シルバー人材センター」では、平成17年12月に、荒川区及び荒川区教育委員会からの要請を受け、通学路を中心としたパトロール業務を請け負っている。

パトロールは、区内23のすべての小学校ごとに各6名を下校時刻に合わせて毎日2時間、また、21の学童保育クラブごとに各4名を児童の帰る時刻に合わせて毎日2時間、それぞれ配置し、通学路等を中心に巡回を行い、児童の安全を見守っている。

パトロールを行うに当たっては、子どもに分かりやすいよう、同じジャンパーと腕章を着用し、子どもに「気をつけて帰ってね」などの声かけを行っている。

このパトロールには、毎月約300名の会員が参加しており、最高齢は87歳である。

同センターでは「荒川区はもともと地域の繋がりが強く、地域の子どもは地域の大人が守る、という意識も高いところで、多くの会員が積極的に活動しています。パトロールしている様子を見てセンターへの入会を希望してくる方もいるくらいです。」と語る。

センターでは、現在、60歳以上の1,300人余が、このパトロール業務のほか植木の剪定、公園の清掃、経理事務、医院受付事務など様々な活動をしている。

(社)荒川区シルバー人材センター


「高齢者による子育て支援への取組」

○ 「親子のひろば のび~すく」

埼玉県草加市のシルバー人材センターでは、国と草加市から財政支援を受けて、会員が育児の支援をする事業(親子のひろば のび~すく)を実施している。センター主体で地域社会のニーズに応える仕事をつくろうと考え、子育て支援についての検討を始めたのがきっかけだった。

名称は、「母親たちがのびのび話し合い、交流しあい、子どもたちのすくすく成長を目指す」ことから「のび~すく」とした。男性2名を含む会員10名が、3名ごとにローテーションを組んで運営している。

1日平均30~40組の親子(子どもは0~3歳児)が好きな時に訪れ、遊んだり育児の仲間を見つけたりしながらのびのびと過ごしている。お昼には持参したお弁当を食べることもできる。スタッフである会員は、子どもの遊び相手になったり、母親の相談に応じている。

特に、元保育園長であった職員が、専門的立場からアドバイスを行うほか、栄養士、保健師による相談日を設けている。

また、子どもの一時預かりサービスを1時間700円で行っており、買い物や美容院へ行く際に利用する母親も増えている。

「親子のひろば のび~すく」

あるスタッフは「母親たちは、スタッフがのんびりと子どもと接する様子を見て『あれでいいんだ』と感じるようです。『ここに来るとほっとできる』と話してくれるお母さんもいます。育児ストレスにさらされがちな母親を少しでも支援していきたい。」と話している。

もともと商店街の空き店舗だったところを活用し、ガラス張りの窓から親子が楽しそうに遊ぶ様子がうかがえるため、買い物帰りなどに見かけて利用者になった親子も多く、利用者数は年々増えている。

コラム3 「親子のひろば のび~すく」

【シルバー人材センターを通じた高齢者による子育て支援については、第2章第3節1(1)ウ「多様な形態による雇用・就業機会の確保」を参照。】

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