第2章 高齢社会対策の実施の状況(第3節 1(4))

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第3節 分野別の施策の実施の状況

1 就業・所得

(4)自助努力による高齢期の所得確保への支援

ア 企業年金制度等の整備

我が国の公的年金の上乗せの企業年金制度には、確定給付型の企業年金として、厚生年金の一部を国に代わって支給するとともに、独自の年金を上乗せする「厚生年金基金」、企業独自の年金のみの「確定給付企業年金」、社外に資産を積み立てる等の要件を備えたものに税制上の特例を認めた「適格退職年金」等がある。また、確定給付型の企業年金等に加え、国民の自助努力を支援するための選択肢として、拠出した掛金額とその運用収益との合計額を基に給付額が決定される「確定拠出年金」がある(表2-3-10)。

表2-3-10 企業年金等の適用状況の推移

企業年金制度の安定化と充実を図るため、平成17年度は、平成16年年金改正法で決定された〔1〕厚生年金基金の免除保険料率の凍結解除、〔2〕確定拠出年金の中途引出しの要件緩和、〔3〕確定給付型の企業年金制度の通算措置の拡充等が施行された。

イ 退職金制度の改善

社外積立型の制度を導入する等の改善を促進するとともに、中小企業が退職金制度を導入するのを支援するため、中小企業退職金共済制度の普及促進等の施策を推進している。

ウ 高齢期に備える資産形成等の促進

ゆとりある高齢期の生活に資するため、高齢期の所得の安定を目的とした、貯蓄等の自助努力による資産形成が必要であり、これを促進するために、金融商品の開発、資産運用の多様化、各種金融サービスの充実等が進められている。

個人年金については、簡易保険、生命保険会社、銀行、証券会社等において各種の個人年金が提供されている。

勤労者財産形成年金貯蓄については、退職後の生活に備えての勤労者の計画的な自助努力を支援するため、元本550万円を限度として、利子等については非課税措置が講じられている。また、財形貯蓄活用給付金・助成金制度により、一般財形貯蓄を活用して介護等の費用に充てる勤労者に給付金を支給する事業主に対し、助成を行っている。

また、平成14年に都道府県社会福祉協議会において、所有する住居に将来にわたり住み続けることを希望する低所得の高齢者世帯に対し、当該不動産を担保として生活資金の貸付けを行う長期生活支援資金貸付制度を創設したところであり、17年12月末現在、46の都道府県において貸付業務が開始され、378件の貸付決定がなされている(表2-3-11)。

表2-3-11 長期生活支援資金の概要
【目的】
一定の居住用不動産を有し、将来にわたりその住居に住み続けることを希望する高齢者世帯に対し、当該不動産を担保として生活資金の貸付けを行うことにより、その世帯の自立を支援することを目的とする。
 
【実施主体】
都道府県社会福祉協議会(申込窓口は市町村社会福祉協議会)
 
【貸付対象】
資金の貸付対象は次のいずれにも該当する世帯
 
・借入申込者が単独で所有(同居の配偶者との共有を含む。)する不動産に居住していること。
・不動産に賃借権、抵当権等が設定されていないこと。
・配偶者又は親以外の同居人がいないこと。
・世帯の構成員が原則として65歳以上であること。
・借入世帯が市町村民税の非課税世帯程度の世帯であること。
 
【貸付内容】
貸付限度額 居住用不動産(土地)の評価額の70%程度
貸付期間 貸付元利金が貸付限度額に達するまでの期間又は借受人の死亡時までの期間
貸付額 1月当たり30万円以内の額(臨時増額が可)
貸付利子 年利3パーセント又は長期プライムレート(現在1.65%)のいずれか低い利率
償還期限 借受人の死亡など貸付契約の終了時
償還の担保措置 ・居住する不動産に根抵当権等を設定。
・推定相続人の中から連帯保証人1名を選任。
 
資料:厚生労働省
(注)長期プライムレートは平成17年4月1日現在

さらに、高齢者の財産管理の支援等に資する認知症高齢者等の権利擁護のための成年後見制度について周知を図っている(表2-3-12)。

表2-3-12 成年後見制度の概要
○ 制度の趣旨
高齢社会への対応及び福祉の充実等の観点から、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーション等の新し
い理念と従来の本人の保護の理念との調和による柔軟かつ弾力的で利用しやすい制度への社会的要請にこたえる。
 
○ 概要
法定後見制度と任意後見制度の2つがある。法定後見制度については、各人の多様な判断能力及び保護の必要性の程
度に応じた制度とするため、補助・保佐・後見の三類型に分かれている。
(1)法定後見制度(民法)
3類型 補助 保佐 後見
判断能力の程度 不十分 著しく不十分 欠く常況
*補助:軽度の認知症者等が対象で、本人の同意の下で特定の契約の締結等について支援を受けられる。
 
(2)法定後見制度の充実(民法)
社会福祉協議会等の法人や複数の者が成年後見人となることを認め、また後見人の権限の濫用を防止するために監督体制の充実を図っている。
(3)任意後見制度(任意後見契約に関する法律)
自分の判断能力が低下する前に、本人が選ぶ後見人(任意後見人)に、将来の財産管理等について依頼するため、公正証書で任意後見契約をすることができる。
(4)成年後見登記制度(後見登記等に関する法律)
プライバシー保護の観点から、戸籍への記載に代わる公示方法として成年後見登記制度を設けている。
 
資料:法務省

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