第2章 高齢社会対策の実施の状況(第3節 3 コラム6)
第3節 分野別の施策の実施の状況
3 学習・社会参加
コラム6 「高齢者の社会参加への取組」
ア 高齢者等にパソコン操作を指導
奈良県香芝市の「パソコン・サポーターズ」は、平成10年から市立総合福祉センター内において、高齢者や障害者等にパソコンの操作を教えるボランティア団体。60歳以上の4人を含め14人がスタッフとして活動している。
キーの配置といったパソコン操作の基礎から年賀状の作成など応用的な操作まで、幅広く教えている。活動は週1回(日曜日(月3回))だが、65歳以上の高齢者や障害により身体が不自由な人であればいつでも誰でも受講できる。
シフトは決められておらず、皆、活動できる時に無理のない範囲で行っている。こうした“無理のない姿勢”が、活動が長続きしている秘訣ではないか、とスタッフは話す。
また、あるスタッフは「週に1回でもボランティア活動をして得られるものは、趣味活動で得られるものとは随分充実感が違う。また、ボランティアをしていることで他のスタッフや受講生との輪が広がるだけでなく、ボランティアをしていることを知った近所のひとからもパソコンのことで相談を持ちかけられたりして近所の輪も広がった。」と、話している。
現在は、年間延べ200人が受講している。
イ 子育て支援など19の分野でボランティア活動を展開
シルバーバンク(周望学舎年長者ボランティア銀行)は、北九州市にある「北九州市立年長者研修大学校(周望学舎)」の卒業生達で構成されるボランティア団体。「高齢者の持つ知恵や経験、技術を預託し、これを地域社会の中で各種のボランティア活動として払い出す」というコンセプトの下、多岐に渡るボランティア活動を展開している。
平均年齢は73歳だが、80代のスタッフもいる。9割近くが女性で、スタッフは、「女性は興味を持てばすぐに飛び込んでくるが、男性は相対的に腰が重い傾向がある」と話す。
シルバーバンクの下に19種類のボランティア・サークルがあり、約190名の会員が様々なボランティア活動を実施している。
活動の1つに、放課後の小学校の教室を使って「竹とんぼ作り」などの昔の遊びを子ども達に教える活動がある。あるスタッフは「子ども達に様々な遊びを教えるとともに、大人達が見守る中で子どもに遊んでもらうことで非行に走ることを防ぐ効果もある」と言う。
その他、一人暮らし高齢者に定期的に電話をかけて様子を聞く「ふれあい電話事業」や、特別養護老人ホームで話し相手を務める活動など、幅広い活動を行っている。
最近では、子育て支援に関連する依頼が増えているという。
ウ 自然体験学習を通じた子どもとの交流
岐阜県郡上市のNPO法人「メタセコイアの森の仲間たち」では、平成11年から、子どもたちが自然とふれ合う活動を通じて環境学習を進める取組を行っているNPO法人。岐阜県内の学校と連携するなどして、東海地方を中心に、年間約20,000人、約80団体に環境教育プログラムを提供・支援しており、子どもの社会性を育む上で成果をあげている。
若いスタッフとともに会社を退職した高齢者のスタッフも活躍しており、地元の高齢者に地域の昔話などの“講師”として協力してもらうことも多い。
体験活動を指導するスタッフは、若いスタッフと高齢者のスタッフがペアになって活動することが多いが、「相互に補完しあいながらそれぞれの長所をいかして活動することができる」という。あるスタッフは「子どもとの接し方は高齢者のほうが一日の長がある」と話す。様々な世代のスタッフがいることが効果をあげている。
【高齢者の社会参加への取組については、第2章第3節3(2)「社会参加活動の促進」を参照。】