平成20年度 高齢社会対策

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第2 分野別の高齢社会対策

平成20年度の主な新規施策を分野別に挙げれば、次のとおりである。

1 就業・所得

○ 地域における関係機関の連携の下、事業主団体等を通じ、傘下の求人事業主や定年退職者等を対象として、キャリア・コンサルティングセミナーや、就職面接会の開催等、地域の団塊世代の高齢者に対する再就職支援を行う地域団塊世代雇用支援事業を実施する。

○ 新たに「教育、子育て、介護、環境」の分野を重点にシルバー人材センターと地方公共団体が共同して企画提案した事業を支援するほか、高齢者の知識・経験を活かすためのワークショップ事業の開催、企業等とのマッチングを行う「シニア労働力活用事業」を実施する。

○ 新現役(大企業の退職者及び近く退職を控える層)の有する技術・ノウハウ等を、中小企業や地域に活かすとともに、我が国として守るべき技術の海外流出を防ぐために、潮流1:大企業から中小企業へ、潮流2:大都市から地方へ、潮流3:海外から国内へとその活躍の舞台を変えることにより、やりがい・生きがいを見出すことができる新たなシニア人材(新現役)の潮流を作り出す。

○ 我が国を代表する社会的影響力のある企業を選定し、当該企業が自ら作成したアクションプログラムに基づく仕事と生活の調和実現のための取組を支援し、取組実績の周知を行うとともに、都道府県ごとに設置した仕事と生活の調和推進会議の開催を通じた地域ごとの取組を推進すること等により、仕事と生活の調和の実現に向けた社会的気運の醸成を図る。

○ 平成20年4月から施行される「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律」(平成19年法律第72号)の着実な施行に努めるとともに、パートタイム労働者の均衡待遇に取り組む事業主や中小企業事業主団体への支援を図るため助成金を支給する。

○ いわゆる年金記録問題については、全ての受給者、加入者に「ねんきん特別便」をお送りするとともに、未統合の記録の解明・統合作業を行うなど、引き続き着実な対応を進めることとしている。

2 健康・福祉

○ 「介護サービス情報の公表」制度については、既に公表している訪問介護、介護福祉施設サービスなど12サービスに加え、順次サービスを追加していく予定としており、20年度には認知症対応型通所介護、介護予防訪問介護など18サービスの公表を追加したところである。

○ 平成18年6月に成立した「健康保険法等の一部を改正する法律」(以下「健康保険法等改正法」という。)により、75歳以上の高齢者については、20年4月に独立した医療制度である長寿医療制度(後期高齢者医療制度)を創設し、また、65歳から74歳の高齢者については、国民健康保険、被用者保険間の財政負担の不均衡を是正するための財政調整制度を創設することとされた。なお、(1)70歳から74歳の医療費自己負担増(1割から2割)を21年3月までに凍結、(2)新たに保険料を負担することとなる者(被用者保険の被扶養者)の保険料負担について20年9月まで凍結し、10月から21年3月までは9割軽減することとしている。

○ 都道府県及び国において、生活習慣病対策や長期入院の是正など、中長期的な医療費適正化に計画的に取り組むとともに、40歳以上の加入者に対する糖尿病等の生活習慣病に着目した健康診査・保健指導の実施を保険者に義務付けるなど、予防の強化を図る。

3 学習・社会参加

○ 近年、地域において社会参加意欲がありながら、情報やきっかけがないために実際には活動する場を得ることが困難な状況もあることから、高齢者が自らその能力を発揮し、生きがいを持ちつつ生活への意欲を高めていく環境づくりとして、「元気高齢者支援対策事業」を創設したところである。

○ 高齢者や団塊世代等が、これまで職業や学習を通じて培った経験をいかして、学校や地域社会で活躍できるよう、「教育サポーター」制度を、国が示す標準的なモデルを踏まえて試行的に導入する。

○ 平成20年度から29年度までの字幕放送と解説放送の普及目標を定めた行政指針の実現に向けて、字幕番組、解説番組等の制作に対する助成を行うなどにより、各放送局の自主的な取組を促す。

4 生活環境

○ 急速に高齢化が進む都市部の大規模団地を含む地域において、建替等に伴い発生する敷地や団地内の空き施設を利用して、福祉施設等を誘致し、介護サービス拠点の整備を促進するとともに、高齢者向け賃貸住宅の供給を促進することにより、地域における高齢者の居住の安定を図る、安心住空間創出プロジェクトを実施する。

○ 「都市公園の移動等円滑化整備ガイドライン」と、平成20年度から創設される「都市公園バリアフリー化緊急支援事業」の活用によって、より一層の都市公園のバリアフリー化を推進する。

5 調査研究等の推進

○ 高齢者等を含めた誰もがICT(Information & Communications Technology)を容易に利用できる環境の整備を推進するための調査研究を実施する。

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