第1章 第3節 2 (3)高齢者パワーへの期待 ~社会を支える頼もしい現役シニア~
第3節 「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会報告書~尊厳ある自立と支え合いを目指して~」について
2 今後の超高齢社会に向けた基本的な考え方
(3)高齢者パワーへの期待 ~社会を支える頼もしい現役シニア~
① 柔軟な働き方の実現
意欲と能力のある65歳以上の現役であるシニアが、本人の希望に応じて働き続けることができる生涯現役社会を実現することは、それらの現役シニアの生活基盤となる所得はもとより、生きがいや健康をもたらす。
高齢期における個々の労働者の意欲・体力等には個人差があり、家庭の状況等も異なることから、高齢者の多様な雇用・就業ニーズに応じた柔軟な働き方が可能となる環境整備を行うことにより、雇用・就業機会を確保する必要がある。
多様で柔軟な働き方の実現は、高齢者のみならず、子育て世代等にとっても働きやすい環境につながる。こうして、職業人生を通じて、子育て、介護など人生の様々なステージにおける仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現を促進することが必要である。
また、高齢者の意欲を最大限に活かすことによって、企業の活力維持に不可欠である若い世代への円滑な技能伝承の実現が期待でき、若い世代の能力の向上も達成される。
② さまざまな生き方を可能とする新しい活躍の場の創出
就労以外に、生きがいや自己実現を図ることができるようにするため、様々な生き方を可能とする新しい活躍の場の創出、意欲と活躍できる場のつながりの強化が必要である。
経済的な側面だけではなく、生きがいや社会参加を重視している高齢者も多い点等に着目して、雇用にこだわらない社会参加の機会を確保していくことも重要である。
高齢者の自主性を活かした社会参加を活性化するため、地域の特性を活かした、高齢者の「居場所」と「出番」をつくり、高齢者を含めた住民間の連携を促進することが重要である。
③ シルバー市場の開拓と活性化
今後、高齢者パワーが最大限発揮されるためには、高齢者が活躍しやすい環境づくりが重要である。具体的には、高齢者に優しい機器やサービスの開発を支援し、身体機能が低下しても、その人が求める生活の質が保たれ、安心で快適で豊かな暮らしを送ることができるようにすることが重要である。
高齢者がコミュニケーションや情報の面で弱者となることを防止するためには、携帯電話やパソコンといった機器を活用しやすくし、活用方法の習得を支援するとともに、高齢者の情報機器の利用を促進する取組も求められる。
また、高齢者のニーズを踏まえたサービスや商品開発の促進により、高齢者の消費を活性化し、高齢化に対応した産業や雇用の拡大を支援すべきである。