第1章 第4節 2 高齢者の社会的な活動(ボランティア活動)
第4節 高齢者が活躍できる環境づくり
2 高齢者の社会的な活動(ボランティア活動)
○60歳以上の5割弱が地域活動やボランティア活動に参加している
就労と並んで高齢者の活躍が期待される地域活動やボランティア活動の参加状況をみてみると、内閣府「高齢者の経済生活に関する意識調査」(平成23年)によれば、60歳以上の高齢者のうち過去1年間に何らかの活動に参加した人の割合は47.0%(男性51.5%、女性43.0%)となっている(図1-4-2-1)。
活動内容別に見ると、男女とも「自治会等の役員・事務局活動」(自治会・町内会・老人クラブ・NPO団体等の役員・事務局活動)が最も多く(男性32.9%、女性24.0%)、これに次いで「地域の環境を美化する活動」(男性20.5%、女性14.4%)、「地域の伝統や文化を伝える活動」(男性14.3%、女性7.2%)となっている。また、これらのほかに特に女性に比べて男性が多く参加している活動分野は、「交通安全など地域の安全を守る活動」や「災害時の救援・支援をする活動」であり、逆に男性に比べて女性が多く参加している活動分野は、「見守りが必要な高齢者を支援する活動」や「介護が必要な高齢者を支援する活動」となっている(図1-4-2-2)。
○50歳代後半及び60歳代前半は、地域活動やボランティア活動に参加したい人の割合に比べて実際の参加率が低い
次に、年齢階層別に地域活動やボランティア活動への参加意向と参加率をみてみると、「参加したい活動がある人」の割合(参加意向)は若いほど高く、55~59歳及び60~64歳では男女とも6割を大きく超えている。これに対し、55~59歳及び60~64歳で「過去1年間に参加した人」の割合(参加率)は、同年代の「参加したい活動がある人」の割合と比べて14~24ポイント低くなっており、特に高齢期に入る前の世代で、地域活動やボランティア活動への参加意欲が、必ずしも実際の活動に結びついていない状況が伺える(図1-4-2-3)。
○身近な場所で時間に縛られない活動に参加したい人が多いが、人との交流や居場所を求める人も多い
高齢者が社会的な活動を始めるためには、どのような環境整備が必要であろうか。地域活動やボランティア活動への参加意向と参加率のかい離が大きい55~59歳、60~64歳について、「どのような条件があれば参加しやすい(したい)と思うか」(活動に参加する条件)をみてみると、男女とも「時間や期間にあまりしばられないこと」及び「身近なところで活動できること」を重視する傾向は共通している。これに次いで多い回答は、55~59歳は男女とも「金銭的な負担が少ないこと」である。また、60~64歳の男性は「若い世代と交流できること」、「同世代と交流できること」及び「活動拠点となる場所があること」が55~59歳の男性に比べて7ポイント以上高くなっており、60~64歳の女性は「身体的な負担が少ないこと」が55~59歳の女性に比べて4ポイント高くなっている。60~64歳になると、男性は人との交流や居場所となる活動拠点を重視し、女性は同世代との交流や友人等と一緒に参加できることを重視するようになる傾向がある(図1-4-2-4)。
こうしたことから、就業率の高い50歳代後半から60歳代前半の人については、まず仕事と両立できる身近で時間に縛られない活動への参加を促すとともに、地域活動等ができる時間を持てるよう、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を推進することが重要である。
○収入が多いほど、地域活動やボランティア活動の参加意欲が高い
地域活動やボランティア活動について、「参加したい活動がある人」の割合を、1カ月あたりの収入(配偶者がいる場合は夫婦の収入)別にみると、65歳以上では男女とも、収入が多いほど、「参加したい活動がある人」の割合が上がっている。地域活動やボランティア活動への参加意欲は、時間や場所等の条件や活動内容のみならず、収入面も影響していると考えられる(図1-4-2-5)。
○市民活動団体のスタッフは、60歳代以上が多い
NPO等の市民活動団体に、団体のスタッフで多い年齢層を2つまで聞いたところ、「60代以上」が55.7%で最も多く、次いで「50代」(43.6%)、「40代」(21.3%)、「30代」(12.2%)と続いている(図1-4-2-6)。