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平成25年度 高齢社会対策 第2 5 (2)超高齢社会に対応するための調査研究等の推進と基盤整備

第2 分野別の高齢社会対策

5 高齢社会に対応した市場の活性化と調査研究推進のための基本的施策

(2)超高齢社会に対応するための調査研究等の推進と基盤整備

ア 医療関連分野におけるイノベーションの推進

国民が安心して利用できる最新の医療環境を整備する。また、我が国のものづくり力を活かし、世界に先駆けて我が国発の革新的医薬品・医療機器を開発するとともに再生医療を推進し、医療関連分野におけるイノベーションを一体的に推進する。これにより、健康長寿社会の実現と我が国の経済成長の実現、積極的な海外市場への展開を目指す。

イ 高齢者に特有の疾病及び健康増進に関する調査研究等

高齢者の介護予防や健康保持等に向けた取組を一層推進するため、要介護状態になる大きな要因である認知症、ロコモティブ・シンドローム(運動器症候群)等に着目し、それらの予防、早期診断及び治療技術等の確立に向けた研究を行う。

がん対策については、「がん対策基本法」(平成18年法律第98号)に基づく「がん対策推進基本計画」(平成19年6月閣議決定)(以下「基本計画」という。)により推進してきたが、その策定から5年が経過し、新たな課題が明らかになってきたため、平成24年6月、新たな基本計画を閣議決定した。新たな基本計画では、従来の個別目標に加え、がん患者に対する職場における理解の促進、相談支援体制の充実等を通じ、がんになっても安心して働き暮らせる社会を構築することなどについて、新たに目標を設定した。がん研究についても、従前の取組に加え、新たながん診断・治療法やがん予防法など、がん患者の視点による実用化を目指した研究を効率的に推進することとしている。

また、がん・生活習慣病等の疾患の早期診断・治療薬開発に資する分子イメージング技術の実証に向けた研究等を行うとともに、次世代のがん医療の実現に向けて、革新的な基礎研究の成果を厳選し、診断・治療薬の治験等に利用可能な化合物等の研究を推進する。さらに、こうした成果も活用しつつ、個人に最適な医療の実現に向けた取組を引き続き推進する。

微小ながんを超早期に発見し、がんの特性を正確に把握するための画像診断システム等や、微小ながんを追跡しながらピンポイントで治療する次世代放射線治療機器等の研究開発を行う「がん超早期診断・治療機器総合研究開発プロジェクト」、生体内において幹細胞の増殖・分化・再生を促進する次世代再生医療技術や、小柄な体格にも適用可能な小型の埋込み型補助人工心臓の研究開発を行う「次世代機能代替技術研究開発事業」を引き続き推進する。また、中小企業等のものづくり技術を活かして、医療現場の課題・ニーズに応える医療機器の開発・改良を推進するため、①医療現場からのニーズが高く、課題解決に資する研究課題を選定し、②優れたものづくり技術(切削、精密加工、コーティング等)を有する中小企業等と、それらの課題を有する医療機関や研究機関等とが連携した「医工連携」による医療機器の開発・改良について、③臨床評価、実用化までの一貫した取組を実施する。

ウ 高齢者の自立・支援等のための医療・リハビリ・介護関連機器等に関する研究開発

高齢者等の自立や社会参加の促進及び介護者の負担の軽減を図るためには、高齢者等の特性を踏まえた福祉用具や医療機器等の研究開発を行う必要がある。

そのため、福祉用具及び医療機器については、福祉や医療に対するニーズの高い研究開発を効率的に実施するためのプロジェクトの推進、短期間で開発可能な福祉用具・医療機器の民間による開発の支援等を行う。

その研究開発の一つとして、高齢者の生活支援・社会参加拡大などに寄与するため、日常生活における行動・コミュニケーション支援において必要となる簡単な動作や方向、感情などを強く念じた際に生じる脳からの信号を利用し、移動支援機器やコミュニケーション支援機器などに伝えることを日常的に可能とする技術の研究開発を引き続き推進する。

また、「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」(平成5年法律第38号)に基づき、福祉用具の実用化開発を行う事業者に対する助成や、研究開発及び普及のために必要な情報の収集・分析及び提供を実施する。

介護等の分野で役立つサービスロボットについて、対人安全基準、安全検証手法の確立及び国際標準化に向けた取組を引き続き推進する。

さらに、民間企業等が行う高齢者や介護従事者等の現場のニーズに応えるロボット技術の研究開発を支援する。

また、開発の早い段階から介護現場のニーズを伝達し、試作機器について介護現場での実証(モニター調査・評価)等を行い、介護ロボットの実用化を支援する。

エ 情報通信の活用等に関する研究開発

高齢者等が情報通信の利便を享受できる情報バリアフリー環境の整備を図るため、引き続き、高齢者等向けの通信・放送サービスに関する技術の研究開発を行う者に対する助成等を行う。

また、最先端の情報通信技術等を用いて、運転者に対し、周辺の交通状況等をカーナビゲーション装置を通じ視覚・聴覚情報により提供することで危険要因に対する注意を促す安全運転支援システム(DSSS)やITSスポット等、高齢者等の安全快適な移動に資するITS(高度道路交通システム)の研究開発及びサービス展開を実施する。

オ 高齢社会対策の総合的な推進のための政策研究
(ア)政策研究調査

平均寿命が延びて人生が長期化している現在、将来を見据えて健康や能力開発、社会参加、資産等について「人生90年時代」への備えが必要となるが、高齢期に向けた準備が不足していると考えられるため、高齢期に向けての「備え」に関する意識を把握し、若いうちからの「人生90年時代」を前提にした備えを促進する方策を検討する「政策研究調査」を実施する。

(イ)高齢社会対策総合調査・研究等

高齢社会対策総合調査として高齢社会対策の施策分野別にテーマを設定して高齢者の意識やその変化を把握している。平成25年度は、主として社会参加分野に関連して、地域社会への参加に関する高齢者の意識を把握するため「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」を実施する。

また、高齢者等の安全・安心な生活の実現のために、独立行政法人科学技術振興機構が実施する戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)において、研究者と関与者との協働による社会実験を含んだ、高齢社会の問題解決に資する研究開発を推進する。

(ウ)中高年齢層の歩行中死亡事故抑止のための段階的教育手法に係る調査研究

交通事故死者数のうち横断歩行中死者の特徴を見ると、年齢層別では50歳代から死亡者数が増加の一途をたどり、70歳代半ばから急激に増加することから、横断行動について年齢層別の要因等を把握・分析し、よりきめ細かな交通安全教育に資するための調査研究を実施する。

(エ)高齢者講習の在り方に関する調査研究

平成21年6月の改正道路交通法施行から4年を迎えることから、受講者の負担の軽減を図りつつ、高齢者の安全運転を支援するため、高齢者講習受講前後における交通事故発生率の推移、被験者及び講習指導員のアンケートなど効果的な高齢者講習の在り方について調査研究を実施する。

(オ)視野と安全運転の関係に関する調査研究

現在、運転免許を取得する際の適性試験や運転免許証を更新する際の適性検査等における視野の測定については、一眼が見えない者のみを対象として実施しており、また、その合格基準は水平方向に150度とされ、上下方向については規定していないところである。しかし、特に高齢者のなかには、両眼が見える者であっても、視力が維持されたまま視野が狭くなっている者もおり、実際に、網膜色素変性症により視野狭窄になっていることに気付いていない運転者による死亡事故も発生していることから、高齢者を対象とした上下方向を含めた視野に係る検査等の要否について検討を行うため、視野と安全運転の関係に関する調査研究を実施する。

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