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第1章 第3節 5 住宅に関する備え

第3節 高齢期に向けた「備え」に関する意識

5 住宅に関する備え

高齢期に住みたい住居形態は持家が多い

高齢期に住みたい住居形態についてみると、「持家(一戸建て)」とする人が62.2%と最も多く、次いで「持家(集合住宅)」が13.0%となっており、「持家」が75.2%を占めている。「サービス付き高齢者向け住宅」は9.2%となっている(図1-3-14)。

図1-3-14 高齢期に住みたい住居形態

高齢期に住みたい住居を選ぶ際の条件は引き続き住み続けられること

高齢期に住みたい住居を選ぶ際の条件についてみると、「引き続き住み続けられること」が59.8%と最も多く、次いで「家賃を支払う必要がないこと」が45.0%、「高齢者への支援・サービスが充実していること」が30.1%となっている(図1-3-15)。

図1-3-15 高齢期に住みたい住居を選ぶ条件(複数回答)

高齢期に備えた建替え・リフォーム・転居は日常生活に不便がでてきたら

高齢期に備えた建替え・リフォーム・転居の時期についてみると、「自分または配偶者の日常生活に不便がでてきたら」が48.9%とする人が最も多く、次いで「自分または配偶者が要介護・要支援状態になったら」が25.7%と日常生活を送る上での必要に迫られる時期となっている(図1-3-16)。

図1-3-16 高齢期に備えた建替え・リフォーム・転居の時期(複数回答)

高齢期に住みたい住居形態として多くの人が持家を挙げているが、住居における支援・サービスの充実が必要とする人も多いことから、今後、持家以外の形態の住居についても、良質なものを適切に選択ができるための支援が重要であろう。

コラム3:被災者の声に耳を傾けて~いわき傾聴ボランティア「みみ」の活動~
  • 傾聴ボランティアは相手の話にひたすら耳を傾け、受容的・共感的に受け止めることで、相手の心を癒し、安心感を抱かせ、生活意欲を向上させることが期待されている。
  • 東日本大震災の被災地では、傾聴ボランティアが自発的にケアを受ける人に対応するだけでなく、医師や社会福祉協議会などからの要請を受けて、避難所や仮設住宅で生活する人たちの心のケアにも当たっている。
  • 傾聴ボランティア「みみ」は、福島県いわき市内の避難所や仮設住宅の被災者の声に耳を傾け、「避難している人の不安や悩みを少しでも取り除きたい」と活動している。
  • 傾聴活動は相手の心に寄り添いながら言葉に耳を傾けるものであることから、自分たちのことを信頼してもらうことが大事と考え、まずは顔を覚えていただこうと、「みみ」のメンバーは、避難所となっている体育館やコミュニティホールなどに何度も通った。
  • 「みみ」代表の安島爵子さんは、「お伺いするたびに少しずつ心を開いて話してくれるようになり、皆様のお顔が明るくなってきました」と、当時を振り返る。
  • 「みみ」のメンバーは毎月2回、仮設住宅の集会所で開かれているサロン活動に参加して傾聴活動を行っている。サロンには、仮設住宅に住む人々のほか、近くの借上げ住宅に住んでいる人々の参加も増えてきている。借上げ住宅に住む人々は、知らない土地で周囲に知り合いがいないために孤独感を抱えていることも多い。
  • 安島さんは、「これからも、避難者の方が笑顔になれるようお話し相手やサロン活動を続けていきます。」と話している。
コラム4:復興応援地域通貨の取組~助け合いによって被災地の絆を深め元気に!~
  • 日本における地域通貨は、1地域の自治会、商店街組合等や市民団体等が発行し、2限定された地域の中で、3サービスや財と交換できるという仕組みで運用されている。
  • 助け合いを目的とする地域通貨は、法定通貨では価値を表現しにくいボランティア活動や地域活動を、目に見える形にすることで、地域が持っている潜在的な能力や活力を引き出し、地域の中でいかすことができる。
  • 東日本大震災で被災した一部の地域では、地域内での助け合いと地域経済の活性化を主な目的として「復興応援地域通貨」(以下、「復興通貨」という。)に取り組んでいる。
  • 南三陸町の戸倉地区では、復興通貨の単位を「笑」(しょう)と名付け、平成25年12月より試行している。利用対象である会員(原則、被災者)の数は525名、加盟店は8店舗であり、復興通貨の1か月間の流通量は1,700枚(85万円相当)にも及んでいる。
  • 「笑」が利用されている助け合いサービスの内容は、「話し相手」や「買い物のお手伝い」、「送迎」、「子守り・子どもの世話」など幅広く、利用者からは、「お互いに(用事を)頼みやすくなった」、「人と人との関係が生まれている」といった声が聞かれている。
  • 高齢社会においては、一人ひとりが持っている能力をいかし、地域の中で助け合い支え合う「共助」の活性化が必要となる。地域通貨は、感謝の気持ちが形にできるため、地域の人間関係の中で絆をつくったり深めたりするスタートラインにおける一つのツールとして有効な取組と考えられる。
コラム5:「新しい東北」の取組~東北発の高齢化社会における先導モデル!~
  • 東北地方は、復興を単なる原状復帰にとどめるのではなく、これを契機に地域の課題を克服し、我が国や世界のモデルとなる「新しい東北」を創造することが期待されており、先駆的な取組を加速するための先導モデル事業等を実施している。
  • 宮城県石巻市では、24時間対応の在宅医療・看護・介護等を目指し、医療関係者・自治体・NPO等が協働し、多職種連携システムを構築する「次世代型地域包括ケア」の推進に向けた取組が進められている。
  • 市民を対象に、地域包括ケアシステムの構築に向けた理解を深める研修会を実施したほか、仮設住宅から移転した後の地域コミュニティの育成を目指すなど、専門職のみならず、市民も巻き込む方向で取組が進められている。
  • 岩手県立高田病院では、震災後「はまらっせん農園プロジェクト」を立ち上げ、仮設住宅の高齢者等の生活不活発病予防を目的として農園を設置している。
  • 農園で採れた野菜等、地域の食材を活かした料理教室・食事会「はまらっせんキッチン」を実施することにより、こうした農園活動に積極的ではない層の活動を促す取組を実施した。コミュニティ全体の健康増進を目指して取組が進められている。
  • 岩手県大槌町では、地元の高齢者自身の社会参加による共助的なコミュニティ支援や、自発的なコミュニティ活動に対する相談や立ち上げ支援などを推進する「コミュニティ・サポートセンター」のモデルづくりを行う取組が進められている。
  • コミュニティ活動のニーズ調査や、コミュニティ・サポートセンターの試行運営も行った上で、センターの設置運営マニュアルが取りまとめられており、今後はこのノウハウを活かした活動の展開が期待される。
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