コラム5 「新しい東北」の取組~東北発の高齢化社会における先導モデル!~
東北地方は、震災前から、人口減少や高齢化等、現在の地域が抱える課題が顕著であった。このため、復興を単なる原状復帰にとどめるのではなく、これを契機に地域の課題を克服し、我が国や世界のモデルとなる「新しい東北」を創造することが期待されており、先駆的な取組を加速するための先導モデル事業等を実施している。
平成25年度先導モデル事業では、医療関係者や自治体等の協働による地域包括ケアの推進に向けた取組や、コミュニティ農園において高齢者の参加を促し、健康づくり・コミュニティづくりを推進する取組等が進められている。
≪24時間対応の在宅医療・看護・介護による地域包括ケアシステム≫
宮城県石巻市では、24時間対応の在宅医療・看護・介護等を目指し、医療関係者・自治体・NPO等が協働し、多職種連携システムを構築する「次世代型地域包括ケア」の推進に向けた取組が進められている。市民(特に保健、医療、介護分野の関係者や地縁団体関係者)を対象に、地域包括ケアシステムの構築に向けた理解を深める研修会を実施したほか、仮設住宅から移転した後の地域コミュニティの育成を目指すなど、専門職のみならず、市民も巻き込む方向で取組が進められている。
≪高齢者の生活不活発病を農園で予防≫
岩手県立高田病院(岩手県陸前高田市)では、震災後、平成24年度に「はまらっせん農園プロジェクト」を立ち上げ、仮設住宅の高齢者等の生活不活発病予防を目的として農園を設置している。平成25年度は、農園で採れた野菜等、地域の食材を活かした料理教室・食事会「はまらっせんキッチン」を実施することにより、こうした農園活動に積極的ではない層(主として男性)の活動を促す取組を実施し、一部の男性の参加が得られた。また、この料理教室・食事会には、保健師が参加して健康相談を実施するなど、コミュニティ全体の健康増進を目指して取組が進められている。
≪高齢者の参加による子育て支援等をコミュニティ・サポートセンターで≫
岩手県大槌町では、地元の高齢者自身の社会参加による共助的なコミュニティ支援(高齢者の健康づくりサービス、子育て支援、小中高生の居場所づくり等)や、自発的なコミュニティ活動に対する相談や立ち上げ支援などを推進する「コミュニティ・サポートセンター」のモデルづくりを行う取組が進められている。平成25年度は、コミュニティ活動のニーズ調査や、コミュニティ・サポートセンターの試行運営も行った上で、センターの設置運営マニュアルが取りまとめられており、今後はこのノウハウを活かした活動の展開が期待される。