第2章 高齢社会対策の実施の状況(第2節 1)
第2節 分野別の施策の実施の状況(1)
主な取組
1 就業・年金
○年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けた取組
定年後引き続き雇用される有期雇用労働者について、その引き続き雇用される期間は、「労働契約法」(平成19年法律第128号)第18条に基づく無期転換申込権が発生しないこととする特例を設けること等を内容とする「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」(平成26年法律第137号)が平成27年4月1日に施行され、パンフレット等により周知・啓発を行った。
○多様な形態による雇用・就業機会の確保
多様化する高年齢者のニーズに対応するため、シルバー人材センターにおける業務について、都道府県知事が市町村ごとに指定する業種等においては、派遣・職業紹介に限り、週40時間までの就業を可能とする「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(昭和46年法律第68号)の改正を含む「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が平成28年3月29日に成立した。
○仕事と家庭を両立しやすい職場環境整備
育児や介護を行う労働者が働き続けやすい環境整備を推進するため、両立支援等助成金の支給や、両立支援に関する情報を一元化した「女性の活躍・両立支援総合サイト(両立支援のひろば)」等の運用を行うとともに、好事例集の作成・周知を行った。
介護を理由とする離職・転職の防止を図るため、①介護休業の分割取得(3回まで、計93日)、②所定外労働の免除制度の創設、③介護休暇の半日単位取得、④介護休業給付の給付率の引上げ〔賃金の40%→67%〕、⑤育児休業の対象となる子の範囲の拡大(特別養子縁組の監護期間にある子等)等を内容とした雇用保険法及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の改正を含む「雇用保険法等の一部を改正する法律」が平成28年3月29日に成立した。
○持続可能で安定的な公的年金制度の確立
平成27年4月には、年金財政の改善と世代間の公平を図る観点から、特例水準を解消し、将来の保険料の上限を固定する中で、長期的な給付と負担の均衡を図るための仕組みとして、16年改正で導入されたマクロ経済スライドが発動された。
また、25年の社会保障制度改革国民会議報告書や、26年財政検証結果を踏まえ、年金制度を支える経済社会の発展への寄与(特に労働参加の促進)の観点や、持続可能性の強化とセーフティネットの機能の強化の観点から取り組むべき課題について、社会保障制度審議会年金部会等で議論を行った。
これらを踏まえ、公的年金制度の持続可能性を高め、将来の世代の給付水準の確保等を図るため、短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進、国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料の免除、年金額改定ルールの見直し等を内容とする「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」を第190回通常国会に提出した。