第2章 高齢社会対策の実施の状況(第2節 5)

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第2節 分野別の施策の実施の状況(5)

5 研究開発・国際社会への貢献等

○先進技術の活用及び高齢者向け市場の活性化

公的保険外の予防・健康管理サービス等の「健康寿命延伸産業」の創出推進に向け、供給・需要の両面から検討し、取組を進めた。具体的には、地域版次世代ヘルスケア協議会の活動の促進、官民ファンドの活用促進、グレーゾーンの解消等の供給面の支援及び企業・健保等による健康経営の促進等の需要面の支援について検討を行い、各施策を実行した。このような取組みに加えて、健康立国に向けて、認知症、虚弱(フレイル)等の健康課題や生活環境等に起因・関連する課題の解決のために、「第5期科学技術基本計画」(平成28年1月22日閣議決定)で提唱したSociety 5.0の構築を目指した、最先端科学技術の活用、実装に取り組んだ。

高齢者等が安全で快適に移動できるよう、最先端の情報通信技術等を用いて、運転者に周辺の交通状況や信号灯火に関する情報等を提供することで注意を促し、ゆとりをもった運転ができる環境を作り出す安全運転支援システム(DSSS)・信号情報活用運転支援システム(TSPS)やETC2.0等のITS(高度道路交通システム)に関する研究開発及びサービス展開を実施した。

高齢者事故対策や移動支援等の諸課題の解決に大きな期待がされている自動車の自動運転に関して、「国土交通省自動運転戦略本部」を立ち上げ、高齢者事故対策を目的とした自動運転技術の開発及び普及促進策や、中山間地域における「道の駅」等を拠点とした自動運転サービスの実験・実装に向けた検討を実施した。

「高齢者等向けの無人自動運転移動サービス」の実現に向け、様々な地域で研究開発・実験が行われるとともに、必要な関連法規の見直しを含む制度整備の方向性を検討した。

さらに、介護ロボットについては、自立支援等による高齢者の生活の質の維持・向上と介護者の負担軽減を実現するため、現場のニーズを真に汲み取った開発等を促進しており、平成29年10月には、重点的に開発等の支援を行う分野を拡充した。

○日本の知見の国際社会への展開

内閣官房健康・医療戦略室長を議長とし、関係府省庁担当局長等を構成員とする「アジア健康構想推進会議」において、アジア健康構想の下での医療・介護分野における人材還流を促進するため、国内外における日本語学校の民間認証制度を構築すること、介護職種に係る技能実習生について、介護現場におけるコミュニケーション能力の測定に重点を置いた新たな日本語テストに関して求められる基準の検討体制を構築することとした。

また、医薬品の新興国への展開に係る取組を関係府省庁が連携して推進するため、平成29年12月6日、健康・医療戦略推進本部の下に「国際医薬パートナーシップ推進会議」を設置し、具体的な事業を推進するための産官学の協力体制や具体的な初期の取組等についての検討に着手した。

加えて、アジア健康構想を推進するための官民連携プラットフォーム第2回「国際・アジア健康構想協議会」(29年2月9日設置)を平成30年3月7日に開催し、アジアに紹介すべき日本的介護の整理(事例の整理等)等について意見交換を実施した。

また、我が国は、G7、TICAD、国連総会等の国際的な議論の場において、全ての人が生涯を通じて必要な時に基礎的な保健サービスを負担可能な費用で受けられる事を指すユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)推進を積極的に主張してきた。UHCにおける基礎的な保健サービスには、母子保健、感染症対策、高齢者の地域包括ケアや介護等すべてのサービスが含まれている。これまで開発途上国において高齢化対策や社会保障制度整備の支援、専門家の派遣、研修等の取組を通じ、日本の高齢化対策等に関する経験・知見の共有を図ってきた。

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