第1章 高齢化の状況(第3節)

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第3節 <特集>「高齢者の経済生活に関する意識」(概要)

令和元年度「高齢者の経済生活に関する調査」(内閣府)の結果(全国の60歳以上の男女1,755人に対して調査を実施)を踏まえ、調査結果の一部を紹介する。

※本調査については、本格的な高齢期を迎える前からの年代による意識の違い等についても把握するため、60歳以上の男女を調査対象としている。

○60歳以上の人の約4分の3が心配なく暮らしている

60歳以上の男女に、現在の経済的な暮らし向きについて聞いたところ、「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」が20.1%、「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」が54.0%となっており、合わせると約4分の3(74.1%)が心配なく暮らしている。

なお、平成28年「高齢者の経済・生活環境に関する調査」(内閣府実施。以下「平成28年調査」という。)の結果では、心配なく暮らしているとする割合が6割強(64.6%)となっており、今回調査の方が心配なく暮らしている割合が高くなっている。

図1-3-1 経済的な暮らし向き(性・年齢別、未既婚別、同居形態別、就業状況別、健康状態別)

○年齢が上がるほど経済的な不安は少なくなる傾向

60歳以上の男女に、今後の生活で、経済的な面で不安なことを聞いたところ、「不安と思っていることはない」(34.2%)が最も多いが、不安がある場合の内容は、「自分や家族の医療・介護の費用がかかりすぎること」(30.8%)、「自力で生活できなくなり、転居や有料老人ホームへの入居費用がかかること」(26.0%)、「収入や貯蓄が少ないため、生活費がまかなえなくなること」(25.8%)の順に多くなっている。

性・年齢別に見ると、男女とも年齢が上がるほど、「不安と思っていることはない」とする割合が高くなる傾向にある。また、「収入や貯蓄が少ないため、生活費がまかなえなくなること」は、60歳代の男性で特に高く、年齢が上がるにしたがって低くなる傾向が見られる。

図1-3-2 今後の生活において経済的な面で不安なこと(複数回答)(性・年齢別、同居形態別)

○60歳以上の人の約8割が生きがいを感じている

60歳以上の男女に、現在、どの程度生きがい、喜びや楽しみを感じているかを聞いたところ、「十分感じている」が37.2%、「多少感じている」が42.5%となっており、合計すると約8割(79.6%)の方が生きがいを感じている。

図1-3-3 現在、生きがいを感じている程度(性・年齢別、未既婚別、就業状況別、健康状態別)

○幅広い年齢層で、仕事をしている割合が増加

60歳以上の男女に現在の就業状況を聞いたところ、「収入のある仕事をしている」とする者が4割近く(37.3%)となっている。

また、平成28年調査と比較すると、男女とも、ほぼ全ての年齢階級で収入のある仕事をしている割合が増えている。

図1-3-4 収入のある仕事をしている人の割合(性・年齢別)

○仕事をする理由は年齢が上がるほど多様化

現在収入のある仕事をしている人に、仕事をしている理由を聞いたところ、「収入がほしいから」(45.4%)が最も多く、続いて「働くのは体によいから、老化を防ぐから」(23.5%)、「仕事そのものが面白いから、自分の知識・能力を生かせるから」(21.9%)の順となっている。

性・年齢別に見ると、「収入がほしいから」とする割合は、男性の60~64歳層で特に高いが、男女とも年齢が高くなるに従って就業の理由は多様化する傾向が見られる。

図1-3-5 仕事をしている理由(性・年齢別)(収入のある仕事をしている人=100%)

○働いている60歳以上の人の9割近くが70歳以上まで働きたいと考えている

全国の60歳以上の男女に、何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか(又はしたかったか)を聞いたところ、「65歳くらいまで」(25.6%)、「70歳くらいまで」(21.7%)、「働けるうちはいつまでも」(20.6%)の順となっている。

このうち収入のある仕事をしている人は、「働けるうちはいつまでも」(36.7%)が最も多く、次いで「70歳くらいまで」(23.4%)、「75歳くらいまで」(19.3%)、の順となっており、9割近く(87.0%)の人が70歳以上まで働きたいと考えている。

図1-3-6 何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか(就業状況別、性・年齢別)
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