第1章 高齢化の状況(第1節 1)
第1節 高齢化の状況(1)
1 高齢化の現状と将来像
(1) 高齢化率は29.0%
我が国の総人口は、令和4年10月1日現在、1億2,495万人となっている。
65歳以上人口は、3,624万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)も29.0%となった。
65歳以上人口を男女別に見ると、男性は1,573万人、女性は2,051万人で、性比(女性人口100人に対する男性人口)は76.7であり、男性対女性の比は約3対4となっている。
65歳以上人口のうち、「65~74歳人口」は1,687万人(男性807万人、女性880万人)で総人口に占める割合は13.5%となっている。また、「75歳以上人口」は1,936万人(男性766万人、女性1,171万人)で、総人口に占める割合は15.5%であり、65~74歳人口を上回っている(表1-1-1)。
単位:万人(人口)、%(構成比) | ||||
令和4年10月1日 | ||||
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総数 | 男 | 女 | ||
人口 (万人) |
総人口 | 12,495 | 6,076 (性比) 94.7 |
6,419 |
65歳以上人口 | 3,624 | 1,573 (性比) 76.7 |
2,051 | |
65~74歳人口 | 1,687 | 807 (性比) 91.7 |
880 | |
75歳以上人口 | 1,936 | 766 (性比) 65.4 |
1,171 | |
15~64歳人口 | 7,421 | 3,761 (性比) 102.7 |
3,660 | |
15歳未満人口 | 1,450 | 743 (性比) 105.0 |
707 | |
構成比 | 総人口 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
65歳以上人口(高齢化率) | 29.0 | 25.9 | 32.0 | |
65~74歳人口 | 13.5 | 13.3 | 13.7 | |
75歳以上人口 | 15.5 | 12.6 | 18.2 | |
15~64歳人口 | 59.4 | 61.9 | 57.0 | |
15歳未満人口 | 11.6 | 12.2 | 11.0 | |
資料:総務省「人口推計」令和4年10月1日(確定値) | ||||
(注1)「性比」は、女性人口100人に対する男性人口 | ||||
(注2)四捨五入の関係で、足し合わせても100.0%にならない場合がある。 |
我が国の65歳以上人口は、昭和25年には総人口の5%に満たなかったが、昭和45年に7%を超え、さらに、平成6年には14%を超えた。高齢化率はその後も上昇を続け、令和4年10月1日現在、29.0%に達している。
また、15~64歳人口は、平成7年に8,716万人でピークを迎え、その後減少に転じ、令和4年には7,421万人と、総人口の59.4%となった(図1-1-2)。
(2) 将来推計人口で見る令和52(2070)年の日本
令和5年4月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の将来推計人口」における出生中位・死亡中位仮定による推計結果(以下本節においては全てこの仮定に基づく推計結果)を概観する。将来推計人口とは、全国の将来の出生、死亡及び国際人口移動について仮定を設け、これらに基づいて我が国の将来の人口規模並びに年齢構成等の人口構造の推移について推計したものである。
ア 9,000万人を割り込む総人口
我が国の総人口は、長期の減少過程に入っており、令和13年に人口1億2,000万人を下回った後も減少を続け、令和38年には1億人を割って9,965万人となり、令和52年には8,700万人になると推計されている(図1-1-2)。
イ 2.6人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上
65歳以上人口は、「団塊の世代」が65歳以上となった平成27年に3,379万人となり、「団塊の世代」が75歳以上となる令和7年には3,653万人に達すると見込まれている。
その後も65歳以上人口は増加傾向が続き、令和25年に3,953万人でピークを迎え、その後は減少に転じると推計されている。
総人口が減少する中で65歳以上の者が増加することにより高齢化率は上昇を続け、令和19年に33.3%となり、国民の3人に1人が65歳以上の者となると見込まれている。令和25年以降は65歳以上人口が減少に転じても高齢化率は上昇を続け、令和52年には38.7%に達して、国民の2.6人に1人が65歳以上の者となる社会が到来すると推計されている。総人口に占める75歳以上人口の割合は、令和52年には25.1%となり、約4人に1人が75歳以上の者となると推計されている。
コラム 「高齢者」とは
高齢者の用語は文脈や制度ごとに対象が異なり、一律の定義がない。「高齢社会対策大綱」(平成30年2月閣議決定)では、便宜上、一般通念上の「高齢者」を広く指す語として用いている。本白書においても、各種の統計や制度の定義に従う場合のほかは、一般通念上の「高齢者」を広く指す語として用いることとする。
なお、高齢者の定義と区分に関しては、日本老年学会・日本老年医学会「高齢者に関する定義検討ワーキンググループ報告書」(平成29年3月)において、近年の高齢者の心身の老化現象に関する種々のデータの経年的変化を検討した結果、特に65~74歳では心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能な人が大多数を占めていることや、各種の意識調査で従来の65歳以上を高齢者とすることに否定的な意見が強くなっていることから、75歳以上を高齢者の新たな定義とすることが提案されている。
また、「高齢社会対策大綱」においても、「65歳以上を一律に『高齢者』と見る一般的な傾向は、現状に照らせばもはや現実的なものではなくなりつつある。」とされている。
※なお、本白書では原則として65~74歳、75歳以上に分けて記載している。
65歳以上人口のうち、65~74歳人口は「団塊の世代」が高齢期に入った後に平成28年の1,767万人でピークを迎えた。その後は、増減を繰り返し、令和23年の1,736万人に至った後、減少に転じると推計されている。
一方、75歳以上人口は、増減しつつ令和37年にピークを迎え、その後減少に転じると見込まれている(図1-1-2)。
ウ 現役世代1.3人で1人の65歳以上の者を支える社会の到来
65歳以上人口と15~64歳人口の比率を見ると、昭和25年には65歳以上の者1人に対して現役世代(15~64歳の者)12.1人がいたのに対して、令和4年には65歳以上の者1人に対して現役世代2.0人になっている。今後、高齢化率は上昇し、現役世代の割合は低下し、令和52年には、65歳以上の者1人に対して現役世代1.3人という比率になると見込まれている(図1-1-2)。
エ 年少人口は現在の約55%に、生産年齢人口は4,535万人に
出生数は減少を続け、令和52年には50万人になると推計されている。この減少により、年少人口(0~14歳)は令和35年に1,000万人を割り、令和52年には797万人と、令和4年の約55%になると推計されている。
出生数の減少は、生産年齢人口にまで影響を及ぼし、令和14年に6,971万人と7,000万人を割り、令和52年には4,535万人となると推計されている。
一方、65歳以上人口の増大により死亡数は令和22年まで増加し、その後減少する。死亡率(人口1,000人当たりの死亡数)は上昇を続け、令和52年には17.5になると推計されている(図1-1-3)。
オ 将来の平均寿命は男性85.89年、女性91.94年
我が国の平均寿命は、令和3年現在、男性81.47年、女性87.57年と、前年に比べて男性は0.09年、女性は0.14年下回った。しかし、今後、男女とも平均寿命は延びて、令和52年には、男性85.89年、女性91.94年となり、女性は90年を超えると見込まれている(図1-1-4)。