第1章 高齢化の状況(第3節 1)

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第3節 〈特集〉高齢者の健康をめぐる動向について(1)

内閣府では、「高齢社会対策大綱」(平成30年2月閣議決定)に基づく、「就業・所得」「健康・福祉」「学習・社会参加」「生活環境」「研究開発・国際社会への貢献等」の分野を踏まえて、高齢社会対策に関する調査を実施している。令和4年度については「高齢者の健康に関する調査」を実施し、高齢者の健康状態、インターネットでの情報収集状況、生きがいなどの意識や実態を把握することとした。

具体的には、主な調査項目として、「現在の健康状態」「健康についての心がけ」「社会活動への参加」「インターネットによる情報収集」等について調査を行った。

この白書では、調査結果の一部を紹介するとともに、他の調査のデータも活用し、これらを分析したものを特集としてまとめた(資料出所は特に断りのない限り、「令和4年度高齢者の健康に関する調査」(5年ごとに「高齢者の健康に関する調査」(以下「健康調査」という。)を実施)である。)。

「令和4年度高齢者の健康に関する調査」

  • 調査地域:全国
  • 調査対象者:65歳以上(令和4年10月1日現在)の男女
  • 調査方法:郵送調査法(オンライン調査併用)
  • 調査時期:令和4年10月28日~令和4年11月24日
  • 有効回答数:2,414人(標本数男女合わせて4,000人)
  • 有効回収率:60.4%

1 高齢者の健康について

(1) 現在の健康状態について(年齢・性別)

〇 年齢が高くなるほど健康状態は良くない

年齢・性別に現在の健康状態について見ると、年齢が高くなるほど、健康状態は「良くない」と回答した人の割合が高くなっており、80歳以上では男性で3割を超え、女性で約4割となっている(図1-3-1-1)。

(2) 健康についての心がけについて

〇 若いときから健康に心がけている人は健康状態が良い

健康についての心がけ(休養・散歩など)と現在の健康状態について見ると、健康に「心がけている」と回答した人は、健康状態は「良い」と回答した割合が高くなっている。また、健康に心がけ始めた年齢別に健康状態について見ると、40代以前から健康に心がけ始めた人は約半数が健康状態が「良い」と回答しているなど、若いときから健康に心がけ始めたと回答した人は、健康状態が「良い」と回答した割合が高くなっている(図1-3-1-2)。

また、厚生労働省が実施した、過去約20年にわたるパネル調査ではスポーツ・健康活動(ウォーキングなど)を50代から行っている人は、「健康状態は良い」と回答した人の割合が高くなっている(図1-3-1-3)。

なお、日頃心がけていることと健康状態について見ると、「地域の活動に参加する」「散歩やスポーツをする」「趣味をもつ」ことにより健康に心がけている人は、健康状態が「良い」と回答した割合が高くなっている(図1-3-1-4)。

(3) 健康と社会活動への参加について

〇 社会活動に参加した人は健康状態が良い

社会活動(健康・スポーツ・地域行事など)への参加の有無別に現在の健康状態について見ると、この1年間に社会活動に参加した人は、健康状態が「良い」と回答した割合が高くなっている(図1-3-1-5)。

また、別の内閣府の調査において、社会活動に参加したいと思わない理由について見ると、「健康・体力に自信がないから」と回答した人の割合が最も高くなっている(図1-3-1-6)。

なお、社会活動に参加して良かったと思うことについて見ると、「生活に充実感ができた」「新しい友人を得ることができた」「健康や体力に自信がついた」と回答した割合が高くなっている(図1-3-1-7)。

(4) 健康と生きがいについて

〇 健康状態が良い人ほど生きがいを感じている

現在の健康状態別に生きがいを感じる程度を見ると、健康状態が「良い」と回答した人ほど生きがいを感じる程度は高くなっており、健康状態と生きがいは非常に強い相関関係が見られる(図1-3-1-8)。

コラム 社会参加活動と健康について

令和4年10月31日愛知県名古屋市にて、「高齢期のフレイル予防」をテーマに「令和4年度高齢社会フォーラム(内閣府・愛知県・名古屋市共催)」を開催した。

パネルディスカッションでは、複数の専門家から「高齢者が就労、スポーツ、地域行事など社会参加活動を行うことが長生きにつながる」「人とのつながりがあり、かつ活気あるまちづくりによって一人一人の健康が生まれる」などといった意見が示された。

パネルディスカッションの様子

【パネルディスカッションの様子】


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