交通事故被害者の支援
平成15年中の交通事故による死者数は7,702人であり、昭和32年以来46年ぶりに7千人台まで減少するに至ったものの、発生件数及び負傷者数はともに増加の傾向に転じています。新たな交通事故被害者が日々増加し続ける中、交通事故は、いつ我が身に振りかかってもおかしくない非常に身近な出来事といえます。そして、ひとたび交通事故に遭遇すれば、被害者や遺族の方々は深い悲しみや辛い体験を長い間抱えながら生活することになり、その回復には多方面からのきめ細かな支援が必要となります。しかし、まだ被害者支援の枠組みが十分に整備されているとはいえない状況にあります。
そこで、内閣府では、国民が互いに支えあう、安全で安心できる交通社会の実現を目指し、新たに交通事故被害者支援事業を実施しました。
本書は、平成15年度事業の柱の一つとして、被害者支援のリソースの充実や支援担当者の技能の高度化を目的に、交通事故被害者の精神的被害に焦点をあてて作成したものです。ぜひ、被害者の方々が抱える問題等の理解のため、本書を役立ていただき、その結果、一人でも多くの交通事故被害者が回復に向け再び歩み出すことができるような土壌が醸成できれば幸いです。
最後に、本書の作成に御尽力いただいた委員の先生方や執筆者の方には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
平成16年3月
内閣府政策統括官(総合企画調整担当)付
参事官(交通安全対策担当) 二見 吉彦