平成13年度交通事故の状況及び交通安全施策の現況
第1編 陸上交通 第2部 鉄軌道交通 第2章 鉄軌道交通安全施策の現況
第6節 科学技術の振興等

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第1編 陸上交通

第2部 鉄軌道交通

第2章 鉄軌道交通安全施策の現況

1 鉄軌道の安全に関する研究開発の推進
(1)文部科学省における科学技術に関する経費の調整
各省庁の鉄軌道の安全に関する平成14年度の経費について,見積もり方針の調整を行なった。
(2)国土交通省関係の研究
気象庁気象研究所等の研究
鉄軌道交通の安全に寄与する気象情報等の精度向上を図るため,気象庁気象研究所を中心に,第1編第1部第2章第8節1(5)ウで述べた研究等,気象・地象・水象に関する基礎的及び応用的研究を行なった。
独立行政法人交通安全環境研究所の研究
超低床車両を用いたLRT(Light Rail Transit)システムの高度化を図るため,開発したLRTシステム評価シュミレータ等を用いて走行システム及び運行システムに関する研究を行なった。また,リニアモータ,永久磁石等の電磁技術を利用した鉄道の安全性評価手法に関する研究を行なった。これらのほか,急曲線を走行可能な新しい台車や,レールに自動追従する知能化・能動車輪に関する基礎的な研究等を行なった。
2 鉄軌道の運転事故原因究明のための体制の整備
(1) 鉄軌道事故調査機関の設置
設置の背景
鉄道については,国の組織として常設・専門の事故調査機関が設置されていなかったが,営団‐日比谷線中目黒駅構内列車脱線衝突事故等を背景に,鉄道の安全確保に対する国民の期待が一層高まり,その体制整備が強く求められていたことから,鉄道事故の原因を究明するための適確な調査及び鉄道事故の兆候(重大インシデント)についての調査を行なうため,平成13年10月1日に従来の「航空事故調査委員会」が改組され,「航空・鉄道事故調査委員会」が発足した。
航空・鉄道事故調査委員会の概要
委員会は,国会の同意を得て任命された委員長及び9人の委員により組織され,この下に事務局が置かれている(第1‐39図)。
委員会の所掌事務のうち鉄道に関するものは,次のとおりである。
(a)
鉄道事故の原因を究明するための調査を行なうこと。
(b)
鉄道事故の兆候(重大インシデント)について事故を防止する観点から必要な調査を行なうこと。
(c)
調査結果に基づき,鉄道事故の防止のため講ずべき施策について勧告あるいは建議をすること。
(d)
これらの事務を行なうため,必要な調査と研究を行なうこと。
委員会の調査対象範囲は,列車衝突,列車脱線,列車火災事故等の鉄道事故及び鉄道事故の兆候(重大インシデント)とした。
(2)鉄道の運転事故等に係る報告制度の改善
運転事故等の情報をより迅速且つ的確に把握し,運転事故,運転事故が発生するおそれがあると認められる事態等を調査・分析するための体制を整備するため,運転事故等の報告内容の充実及び事故速報の対象範囲等を見直し,鉄道事故等報告規則等の改正を行なった(平成13年10月1日施行)。

第1‐39図 航空・鉄道事故調査委員会の組織

第3部 陸上交通安全に関する財政措置

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