平成14年度交通事故の状況及び交通安全施策の現況
第3編 航空交通
第2章 航空交通安全施策の現況
第6節 科学技術の振興等

第3編 航空交通

第2章 航空交通安全施策の現況

第6節 科学技術の振興等

1 航空交通の安全に関する研究開発の推進

(1)文部科学省関係の研究

 独立行政法人航空宇宙技術研究所の研究では、航空機の運航安全性に関する研究として、「次世代の運航方式に関する研究」、「レーザー風速計の研究」、「日常運航再生ツールの開発」、「先進的CRM訓練手法に関する研究」等、また、構造安全性に関する研究として「客室構造の安全性評価に関する試験研究」、「機体構造の健全性評価手法の開発」及び「複合材の検査・修復技術に関する調査」等を推進した。
 また、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会からの依頼に基づき、調査研究を行い、航空事故等の事故原因の究明に協力した。

(2)国土交通省関係の研究

国土技術政策総合研究所の研究
航空機の離着陸時の安全性向上を目的としての滑走路等空港土木施設の設計及び施工並びに空港舗装の補修に関する研究を行った。
気象庁気象研究所等の研究
航空交通の安全に寄与する気象情報等の精度向上を図るため、気象研究所を中心に「ドップラーレーダーによる降水・風観測技術の高度化に関する研究」等を進めた。
独立行政法人交通安全環境研究所の研究
航空交通の増大に対応して、航空交通量の著しい空港における安全で円滑な地上走行を支援するため、先進型地上走行誘導管制システムの一部である最適走行経路設定プログラム、可変メッセージ型誘導案内灯経路誘導のための灯火制御等に関する研究を行った。
独立行政法人電子航法研究所の研究
「エンハンスト・ビジョン・システムに関する基礎研究」、「ASAS用データリンク方式の電磁環境に関する研究」及び「次世代衛星航法システムに関する研究」のほか、下記研究を行った。
(ア)
航空通信のネットワーク化に関する研究
従来個別に開発されてきた地対地、空対地データ通信を統合して、全体として効率的でセキュリティ対策も強化された航空通信のネットワーク化を行うために必要な「統合化データリンク・サービスの研究」等を推進した。
(イ)
衛星航法補強システムに関する研究
GPSの様々な誤差要因を解析し、静止衛星を利用して広域に補強情報を提供することにより、測位精度・有効性を向上させるために必要な「静止衛星型衛星航法補強システムの性能向上に関する研究」等を推進した。
(ウ)
自動従属監視に関する研究
自動従属監視技術を、航空機相互の位置関係の監視、飛行中の航空機の地上での監視、空港面における移動体の監視などに応用することにより、航空交通の安全及び運行効率の向上に寄与するために必要な「放送型データリンクによる航空機監視の研究」等を推進した。
(エ)
空域の有効利用等を目的とした航空交通の管理手法に関する研究
ジェット気流や悪天空域の変化に柔軟に対応し、時間的に細かく飛行経路を選定することにより、航空機のより効率的で安全な運航に寄与するために必要な「ATM環境下における洋上空域効率的運用手法に関する研究」等を推進した。
2 航空事故の原因究明のための総合的な調査研究の推進

 航空事故及び航空事故の兆候(重大インシデント)の原因究明の調査を迅速かつ適確に行うため、航空機に搭載されている種々型式を異にする飛行記録装置(DFDR)から航空機の運航状態を正確に再現する汎用性のある飛行記録解析システムの開発等、総合的な調査研究を推進し、その成果を原因の究明に役立てている。

本編目次 | 前ページ | 世界の中の日本