まえがき

 昨年の道路交通事故死者数は8,326人と、第七次交通安全基本計画の目標を二年度目で達成するとともに、過去最悪であった昭和45年当時の半数以下とすることができました。更に、交通事故発生件数及び負傷者数についても、昨年は12年ぶりに前年を下回りました。しかし、未だに多くの命が失われ、多くの人が傷ついている現状に変わりはなく、交通事故をめぐる情勢は依然として予断を許しません。
 このような情勢を受けて、小泉内閣総理大臣は、今年1月に「交通事故死者数半減達成に関する内閣総理大臣(中央交通安全対策会議会長)の談話」を公表し、今後10年間を目途に、交通事故死者数を更に半減する決意を表明しました。この目標を達成できれば、我が国は道路交通に関して世界で一番安全な国となります。
 この目標を達成することは容易ではありませんが、政府としては、国民と力を合わせて、「世界一安全」な道路交通の実現を目指す所存であります。このため、地方公共団体、民間団体などの皆様と協力して、世代間交流事業を始めとする高齢者の交通安全対策、シートベルト及びチャイルドシートの着用の徹底など様々な交通安全施策を一層強力に推進してまいります。
 また、道路交通以外でも、鉄道交通事故、海難、航空交通事故など、国民誰しもが交通事故に巻き込まれる可能性を有しており、交通事故の防止は極めて重要な国民的課題であります。これらについても、引き続き各種施策を強力に推進してまいります。
 この報告書は、陸上交通、海上交通及び航空交通の分野ごとに、交通事故の状況と平成14年度における各種施策の実施状況について記述するとともに、平成15年度に取り組む交通安全施策について紹介しています。
 交通安全の主役は、国民の皆様一人一人です。悲惨な交通事故を防止していくためには、国民の皆様に交通安全に関する理解と関心を深めていただくことが大切であります。本書が、国民の皆様に広く利用され、交通事故の惨禍に遭う人々が少しでも減るための一助となるよう願ってやみません。

平成15年6月

内閣官房長官
福田 康夫
中央交通安全対策会議交通対策本部長

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