平成15年度交通事故の状況及び交通安全施策の現況
第1編 陸上交通
第1部 道路交通
第1章 道路交通事故の動向
第2節 死者数半減等の目標
第1編 陸上交通
第1部 道路交通
第1章 道路交通事故の動向
第2節 死者数半減等の目標
平成15年中の道路交通事故による死者数は7,702人と,昭和32年以来46年ぶりに7千人台まで減少するに至った。
このように死者数が減少した要因としては、基本的には、道路交通環境の整備、交通安全思想の普及徹底、安全運転の確保、車両の安全性の確保、道路交通秩序の維持、救助・救急体制等の整備等、交通安全基本計画に基づく諸対策を、国を挙げて、長年にわたり総合的に推進してきたことが挙げられる。同時に、政府のみならず、地域社会、企業、学校、家庭等の取組も大きく寄与してきたと考えられる。
また、近年の死者数減少の主な要因としては、危険認知速度(車両の事故直前の速度)の低下、シートベルト着用率の向上等が挙げられる。
特に平成15年の死者数が前年比で大きく減少したことには、14年6月に施行された改正道路交通法が飲酒運転に対する罰則を強化したこと等が寄与していると考えられる。
しかしながら、平成15年中の交通事故発生件数、負傷者数はそれぞれ前年より増加し、依然として、国民の約100人に1人が交通事故により死傷するという誠に厳しい状況が続いていることには変わりがない。
小泉内閣総理大臣は、昨年1月の「交通事故死者数半減達成に関する内閣総理大臣(中央交通安全対策会議会長)の談話」や今年の第159回国会における施政方針演説で、10年間で交通事故死者数を5千人以下とし、「世界一安全」な道路交通の実現を目指すという決意を明らかにしている。さらに、交通事故発生件数及び負傷者数についても減少させていく必要がある。
今後の対策としては、まず、これまで大きな成果を上げてきた第7次交通安全基本計画に基づく諸対策を、なお一層強力に推進していくことが有効と考えられる。特に、交通事故死者数中最も高い割合を占める高齢者の交通安全対策については、昨年3月に交通対策本部で決定された今後の高齢者交通安全対策の指針である「本格的な高齢社会への移行に向けた総合的な高齢者交通安全対策について」に基づく諸施策を総合的に推進することが必要である。さらに、最近の交通事故情勢の変化や科学技術の進展等に対応した新しい施策を、内外の先進的な取組を参考にしつつ、積極的に検討・実施していくことも重要と考えられる。