平成16年度交通事故の状況及び交通安全施策の現況
第3編 航空交通
第1章 航空交通事故の動向
第3編 航空交通
第1章 航空交通事故の動向
我が国における民間航空機の事故の発生件数は、平成16年において28件であり、これに伴う死亡者数は14人、負傷者数は23人となっている。航空輸送の拡大にもかかわらず、ここ数年は横ばい傾向を示している(第3-1表)。
(追記)平成17年1月以降、死傷者が発生する事故には至らなかったものの、以下のような安全上のトラブルが相次いで発生した。
- 日本航空グループにおける安全上のトラブル
日本航空インターナショナルでは、B747貨物機の主脚部品の長期にわたる誤使用、3月11日の韓国・仁川空港における管制指示誤認、3月14日の非常口扉のドア操作忘れを発生させた。
また、日本航空ジャパンでは、1月22日に新千歳空港で管制指示違反を発生させた。
国土交通省では、安全上のトラブルを短期間に発生させたこと、また、情報伝達の不備などトラブルへの不適切な対応があったことに鑑み、かかる事態の再発防止と運航安全の確保を図るため、3月17日、日本航空インターナショナルに対して、原因究明の徹底及び一斉安全点検の実施、安全組織体制の見直し及び従業員に対する安全意識の再徹底を内容とする事業改善命令を発出し、また、日本航空ジャパンに対しても同様の内容の警告書を発出した。同時に、持ち株会社である日本航空に対しては、傘下の事業会社の指導、監督を求める警告書を発出した。
4月14日、日本航空グループより、一連のトラブルに共通する要因、背景及びその再発防止策について事業改善命令等発出以降にも発生したトラブルも含めた改善措置の報告がなされた。
国土交通省では、改善措置の実施状況を確認するため、4月20日から22日にかけて本社、運航本部、整備本部及び客室本部に対して立入検査を実施した。5月中には、伊丹、千歳、福岡等の国内主要基地への立入検査も実施するとともに、17年末までの間、2,3ヶ月ごとに改善状況を勘案しながら立入検査を実施し、改善状況について監視、指導することとしている。 - 東京国際空港の管制指示における安全上のトラブル
平成17年4月29日午後9時39分頃、航空情報により閉鎖が周知されていた東京国際空港のA滑走路に、帯広空港発同空港行きの航空機が管制官の着陸許可を受け着陸した。新千歳空港発同空港行きの後続便も同滑走路へ進入を行っていたが、着陸前に閉鎖の情報を受け着陸のやり直しを行った。
これは、事前の情報周知の不備により、当時管制業務を担当していた管制官全員が滑走路閉鎖の事実を失念していたために発生したものであり、発生後、当該管制官チーム全員に対して直ちに再研修を実施した。
また、再発を防止するため、航空情報の収集及び管理に関する確認体制を明確化するマニュアル策定を全国の管制機関に指示した。併せて滑走路等の運用制限等に係る情報処理システムの整備等の対策を講じることとしている。