平成17年度において実施すべき交通安全施策に関する計画
第1部 陸上交通の安全に関する施策
第1章 道路交通の安全に関する施策
第1節 道路交通環境の整備
第1部 陸上交通の安全に関する施策
第1章 道路交通の安全に関する施策
第1節 道路交通環境の整備
1 道路の新設・改築による交通安全対策の推進
- (1)適切に機能分担された道路網の整備
- 基本的な交通の安全を確保するため、高規格幹線道路から居住地域内道路に至るネットワークによって適切に機能が分担されるよう道路の体系的整備を推進するとともに、他の交通機関との連携強化を図る道路整備を推進する。
- ア
- 自動車、自転車、歩行者等の異種交通を分離し、交通流の純化を促進するため、高規格幹線道路から居住地域内道路に至るネットワークを体系的に整備するとともに、自転車・歩行者専用道路等の整備を積極的に推進する。
- イ
- 通過交通の排除と交通の効果的な分散により、都市部における道路の著しい混雑、交通事故の多発等の防止を図るため、バイパス及び環状道路等の整備を推進する。
- ウ
- 幹線道路で囲まれた居住地域内や歩行者等の通行の多い商業地域内等においては、通過交通をできる限り幹線道路に転換させるなど道路機能の分化により、生活環境を向上させるため、補助的な幹線道路、区画道路、歩行者専用道路等の系統的な整備、区画道路におけるコミュニティ道路※や歩車共存道路※等の交通安全施設の整備等を総合的に実施する。
- エ
- 国民のニーズに応じた効率的な輸送体系を確立し、道路混雑の解消等円滑な交通流が確保された良好な交通環境を形成するため、道路交通、鉄道、海運、航空等複数の交通機関の連携を図るマルチモーダル施策を推進し、鉄道駅等の交通結節点、空港、港湾の交通拠点へのアクセス※道路の整備等を実施する。
- (2)改築による道路交通環境の整備
- 交通事故の多発等を防止し、安全かつ円滑・快適な交通を確保するため、次の方針により道路の改築事業を強力に推進する。
- ア
- 歩行者及び自転車利用者の安全と生活環境の改善を図るため、歩道等を設置するための既存道路の拡幅、小規模バイパスの建設と併せた道路空間の再配分、自転車の通行を歩行者や車両と分離するための自転車道の設置などの道路交通の安全に寄与する道路の改築事業を積極的に推進する。
- イ
- 交差点及びその付近における交通事故の防止と交通渋滞の解消を図るため、交差点のコンパクト化、立体交差化等を推進する。
- ウ
- 一般道路の新設・改築に当たっては、交通安全施設についても併せて整備することとし、道路標識、中央帯、車両停車帯、道路照明、防護さく等の整備を図る。また、歩行者の安全を確保するため必要がある場合には、スロープ※や昇降装置の付いた立体横断施設の整備を図る。
- エ
- 道路の機能と沿道の土地利用を含めた道路の利用実態との調和を図ることが交通の安全の確保に資することから、街路事業や特定交通安全施設等整備事業による自転車駐車場の整備や、沿道からのアクセスを考慮した副道等の整備、植樹帯の設置、路上駐停車対策等の推進を図る。
- オ
- 商業系地区等における歩行者及び自転車利用者の安全で快適な通行空間を確保するため、これらの者の交通量や通行の状況に即して、幅の広い歩道、自転車道、コミュニティ道路、歩車共存道路、車両の通行を禁止又は制限したショッピングモール等の整備を推進する。
- カ
- 交通混雑が著しい都心地区、鉄道駅周辺地区等において、人と車の交通を体系的に分離するとともに、歩行者空間の拡大を図るため、地区周辺の幹線道路、ペデストリアンデッキ※、交通広場等の総合的な整備を推進する。
- キ
- 歴史的街並みや史跡等卓越した歴史的環境の残る地区において、地区内の交通と観光交通、通過交通を適切に分離するため、歴史的地区への誘導路、地区内の生活道路、歴史的みちすじ等の整備を体系的に推進する。
- ク
- 環境にやさしい自転車を自動車、徒歩、公共交通と並ぶ都市の交通手段として利用しやすくするため、自転車の安全な走行空間の整備を行うとともに、鉄道駅周辺等で道路事業等による自転車駐車場(原動機付自転車の駐車を含む。)の整備を推進する。
- (3)災害発生時に備えた安全の確保
- 豪雨・豪雪、地震、火山噴火等による災害が発生した場合においても、安全で安心な生活を支える道路交通を確保するため、異常気象時における地域の孤立を防ぐ生命線となる道路の整備、津波の浸水域を考慮した道路計画等の防災対策及び国と地方が連携して策定する「緊急輸送道路の橋梁耐震補強3箇年プログラム」に基づく震災対策を重点的に推進する。
このほか、道路防災週間等を通じた道路利用者への道路防災対策の普及・啓発を推進する。 - (4)地域に応じた安全の確保
- 交通の安全は、地域に根ざした課題であることにかんがみ、沿道の地域の人々のニーズや道路の利用実態、交通流の実態等を把握し、その特性に応じた道路交通環境の整備を行う。
また、積雪寒冷特別地域においては、冬期の安全なモビリティ※を確保するため、冬期積雪・凍結路面対策として適時適切な除雪や凍結防止剤の散布、雪崩から道路を守る雪崩防止柵や視界不良を解消する防雪柵の設置、交差点等における消雪施設等の整備、流雪溝、チェーン着脱場等の整備を推進する。さらに、安全運転の確保に資するため、気象、路面状況に関する情報を収集し、道路利用者に提供する気象情報システムの整備を推進する。 - ※コミュニティ道路
- 歩車分離を図るとともに、自動車の走行速度を低減させる道路構造を整備することで、安全で快適な歩行空間の形成を図った道路。車道をジグザグにする「クランク」や路面を部分的に盛り上げる「ハンプ」等を整備する。
- ※歩車共存道路
- 歩道等の設置が困難な場所において、ハンプや狭さく等を組み合わせることにより車の速度を抑制し、歩行者等の安全な通行を確保する道路
- ※アクセス
- 連絡、接続、交通手段などのこと
- ※スロープ
- 傾斜、勾配などのこと
- ※ペデストリアンデッキ
- 歩行者を保護するために車道と分離し立体的に設置した歩行者路
- ※モビリティ
- 動きやすさ、移動性、機動性などのこと
2 交通安全施設等整備事業の推進
平成17年度は、社会資本整備重点計画に即して、都道府県公安委員会及び道路管理者が連携を図りつつ、交通安全施設等の整備を強力に推進する。
特定交通安全施設等整備事業としては、公安委員会所管分約327億円、道路管理者所管分2,383億円を計上し事業を推進する。
また、直轄事業の死傷事故率等が高い区間等において重点的に交通事故対策を実施する交通事故重点対策事業を創設し、道路管理者分508億円を計上し事業を推進する。
さらに、地方単独事業についても、交通安全対策特別交付金、地方道路整備臨時交付金等を活用して交通安全施設等の一層の整備拡充を図る。
なお、事業の実施に当たっては、(財)交通事故総合分析センターの活用を図りながら、交通事故の科学的な調査・分析を重点的に実施し、効果的な交通安全施策の実施に努める。
- (1)交通事故対策の重点実施
- 幹線道路における交通事故が特定の区間に集中していることから、より効果的・効率的に交通事故を削減するため、国土交通省においては、平成17年度から「優先度明示方式」※を導入することにより、事故危険箇所に加えて、死傷事故率の高い区間を抽出し、重点的に交通事故対策を実施することとしている。
また、科学的な分析に基づく事故対策を推進するため、「交通事故対策・評価マニュアル」※及び「交通事故対策事例集」※を個別の事故対策の立案・実施に活用していくとともに、実施された事故対策の情報により「交通事故対策・評価マニュアル」「交通事故対策事例集」へフィードバックし、充実していくこととしている。 - (2)事故危険箇所対策の推進
- ア
- 死傷事故発生率が高く、又は死傷事故が多発している交差点・単路として指定した「事故危険箇所」について、都道府県公安委員会及び道路管理者が連携して集中的な事故抑止対策を推進する。
- イ
- 事故危険箇所においては、信号機の新設・高度化、歩車分離式信号の運用、道路標識の高輝度化・大型化・可変化、標示板の共架、設置場所の統合・改善、道路標示の高輝度化、交差点改良、視距の改良、付加車線等の整備、中央帯の設置、バス路線等における停車帯の設置及び防護さく、区画線等の整備、道路照明・視線誘導標等の設置等の対策を推進する。
- ウ
- 効果的・効率的な対策を実施するため、事故分析の充実を図るとともに、事故対策のノウハウを蓄積し、その活用に努める。さらに、対策の事前・事後評価への専門家の知見の活用を進める。
- (3)「あんしん歩行エリア」の整備
- 死傷事故発生割合が高い住居系地区又は商業系地区で、その外縁を幹線道路が構成する「あんしん歩行エリア」について、都道府県公安委員会及び道路管理者が連携して、面的かつ総合的な事故抑止対策を実施する。
都道府県公安委員会においては、交通規制、交通管制及び交通指導取締りの融合に配意した施策を推進することとする。具体的には、エリア内の生活道路を中心に、LED式信号機の整備、道路標識・道路標示の高輝度化、路側帯の設置・拡幅等の安全対策を、また、外周幹線道路を中心に信号機の高度化、光ビーコン※、交通情報板等によるリアルタイムの(即時の)交通情報提供等の交通流円滑化対策を実施するほか、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(平12法68.以下「交通バリアフリー※法」という。)の特定経路を構成する道路を中心にバリアフリー対応型信号機の整備、歩行者と車両の通行を時間的に分離して歩行者と自動車との事故を防止する歩車分離式信号の導入を推進する。
道路管理者においては、外周幹線道路の通行を円滑化し、エリア内への通過車両を抑制するため、交差点の改良等の外周道路対策を進めるほか、ハンプ※、クランク等車両速度を抑制する道路構造等により、歩行者や自転車の通行を優先するゾーンを形成するゾーン対策、歩道の整備、歩行空間のバリアフリー化等により、安心して移動できる歩行空間ネットワークを整備する経路対策を推進する。 - (4)バリアフリー化を始めとする歩行空間等の整備
- ア
- 歩行者及び自転車利用者の安全で快適な通行を確保するため、歩行者等の交通事故が発生する危険性の高い区間等について、改築事業等による整備と併せて歩道及び自転車道等の整備を重点的に実施する。その際、快適な通行空間を十分確保した幅の広い歩道の整備に努めるととともに、既存の道路に歩道等の設置が困難な場合においては、その歩道等の代替として既存の道路と並行した歩行者専用道路、自転車歩行者専用道路等の整備を推進する。
また、通過車両の進入を抑え、歩行者等の安全確保と生活環境の改善を図るため、コミュニティ道路、歩車共存道路等の整備を推進するとともに、見やすく分かりやすい道路標識・道路標示とするため、道路標識の高輝度化・大型化・可変化、標示板の共架、設置場所の統合・改善、道路標示の高輝度化等を行い、視認性の向上を図る。 - イ
- 高齢者、身体障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保するため、駅、公共施設、福祉施設、病院等の周辺を中心に、平坦性が確保された幅の広い歩道、音響信号機、高齢者等感応信号機、歩行者感応信号機等のバリアフリー対応型信号機、待ち時間表示装置、昇降装置付立体横断施設、歩行者用休憩施設、自転車駐車場、身体障害者用の駐車ます等を有する自動車駐車場等を整備するとともに、改築事業等と併せた無電柱化を推進する。あわせて、信号灯器のLED化、道路標識の高輝度化・大型化・可変化、道路標示の高輝度化等を推進する。
また、駅前等の交通結節点において、エレベーター等の設置、スロープ化や建築物との直結化が図られた立体横断施設、交通広場等の整備を推進し、歩きたくなるような安全で快適な歩行空間を積極的に確保する。
特に、交通バリアフリー法に基づき、重点整備地区に定められた駅の周辺地区等においては、公共交通機関等のバリアフリー化と連携しつつ、誰もが歩きやすい幅の広い歩道、道路横断時の安全を確保する機能を付加したバリアフリー対応型信号機等の整備が面的にかつ、ネットワークとして行われるよう配慮する。
高齢者、身体障害者等に対し、携帯端末等を用いて安全な通行に必要な情報提供や信号機の青時間を延長する歩行者等支援情報通信システム(PICS)について、高齢者、身体障害者等の利用に配慮の上、整備を推進する。 - ウ
- 高齢運転者の増加に対応するため、信号灯器のLED化、道路標識の高輝度化・大型化・可変化、道路標示の高輝度化等高齢運転者に見やすい信号機、道路標識・道路標示の整備を図る。
- エ
- 児童・幼児の通行の安全を確保するため、歩道等の整備、押ボタン式信号機、歩行者用灯器等の整備、立体横断施設の整備、横断歩道等の拡充により、通学路、通園路の整備を図る。
- オ
- 冬期の安全で快適な歩行者空間を確保するため、中心市街地や公共施設周辺における除雪の充実や融雪施設等の整備を推進する。
- (5)円滑・快適で安全な道路交通の確保
- ア
- 交通に関する情報の収集、分析及び伝達並びに信号機、道路標識及び道路標示の操作その他道路における交通の規制を広域的かつ総合的に行うため、交通管制エリアの拡大等交通管制システムの充実・高度化を図る。
- イ
- 幹線道路において、交通の変動実態を的確に把握し、予想される変動に対応した信号制御を行うため、系統化、閑散時押ボタン化・半感応化、多現示化、右折感応化等の信号機の高度化を図る。
- ウ
- 多数の路上駐車のため安全で円滑な道路交通が阻害されている都市内の道路において、交通安全施設としての駐車場を整備するとともに、路上駐車施設、荷さばき停車帯、駐車場案内システム、駐車誘導システム、違法駐車抑止システムの整備やカラー舗装による駐停車禁止区域の明示など、ハード・ソフト一体となった駐車対策を推進する。
また、過労運転に伴う事故防止や近年の高齢運転者等の増加に対応して、都市間の一般道路において追越しのための付加車線や「道の駅」などの休憩施設等の整備を積極的に推進する。 - エ
- 分かりやすく使いやすい道路交通環境を整備し、安全で円滑な交通の確保を図るため、交通監視カメラ、各種車両感知器等の整備、道路・交通等に関する情報(異常気象に関する情報や都市間のルート選択に資する情報を含む。)を迅速かつ的確に提供する道路情報提供装置、交通情報板、路側通信設備等の整備、時間別・車種別等の交通規制の実効を図るための視認性・耐久性に優れた大型固定標識及び路側可変標識の整備並びに利用者のニーズに即した系統的で分かりやすい案内標識及び中央線変移システムの整備を推進する。特に主要な幹線道路の交差点及び交差点付近においてルート番号等を用いた案内標識の設置を推進するとともに、地図を活用した多言語表記の実施などにより、国際化の進展への対応に努める。
また、道路交通情報通信システム(VICS)による渋滞情報等の提供によりう回を促す。 - オ
- 平成12年度に警察庁及び国土交通省が設置した「道路交通環境安全推進連絡会議」や、その下に設置される「アドバイザー会議」を活用し、学識経験者のアドバイスを受けつつ、施策の企画、評価、進行管理等に関して協議を行い、的確かつ着実に安全な道路交通環境の実現を図る。
- (6)災害に強い交通安全施設等の整備
- 地震、豪雨、豪雪等による災害が発生した場合においても安全な道路交通を確保するため、交通管制センター、交通監視カメラ、各種車両感知器、交通情報板等の交通安全施設の整備及び通行止め等の交通規制を迅速かつ効果的に実施するための道路災害の監視システムの開発・導入、交通規制資機材の整備を推進するとともに、災害発生時の停電に起因する信号機の機能停止による混乱を防止するため、予備電源として自動起動型信号機電源付加装置の整備を推進する。
また、オンライン接続された各都道府県警察の交通管制センターから詳細な交通情報をリアルタイムで(即時に)警察庁に収集し、それを災害時の広域的な交通管理に活用できるよう、警察庁において広域交通管制システムの運用を的確に行う。 - ※「優先度明示方式」
- 死傷事故率の高い区間を順に並べて、優先的に事故対策をすべき区間を明示する方式
- ※「交通事故対策・評価マニュアル」
- 事故多発地点緊急対策事業等これまでの事故対策の結果をもとに、対策の立案から評価までの手順や留意点等を体系的にまとめたもの
- ※「交通事故対策事例集」
- 事故多発地点のうち557箇所における事故要因分析結果、事故対策事例を収集し、道路特性や事故類型毎に、事故要因ならびにそれに対応した事故対策について分析し、その結果を事例集としてまとめたもの
- ※光ビーコン
- 通過車両を感知して交通量等を測定するとともにカーナビゲーション装置等と交通管制センターとの情報のやり取りをする路上設置型の赤外線通信装置
- ※バリアフリー
- 高齢者や身体障害者等が社会生活をしていく上で障壁となるもの(段差など)がない状態
- ※ハンプ
- 車両の低速走行等を促すため道路に設ける盛り上がり(凸部)のこと
3 高速自動車国道等における交通安全施設等の整備
高速自動車国道等における平成17年度の交通安全対策事業については、以下の基本方針に基づいて交通安全施設等の整備を計画的に進めるとともに、渋滞区間における道路の拡幅等の改築、適切な道路の維持管理、道路交通情報の提供等を積極的に推進する。
- (1)事故削減に向けた総合的施策の集中的実施
- 事故が多い地点での事故誘発要因についての詳細な事故分析に基づき、安全で円滑な自動車交通を確保するため、中央分離帯及び路側の強化型防護さく、高機能舗装、高視認性区画線の整備、渋滞末尾の注意喚起標識等、各種交通安全対策を総合的に実施するとともに、道路構造上往復の方向に分離されていない二車線の区間(暫定供用区間)については、四車線化の促進及び車線逸脱に注意を促す高視認性のポストコーン設置などの交通安全対策を実施する。
- (2)安全で快適な交通環境づくり
- 過労運転やイライラ運転を防止し、安全で円滑な走行環境の確保を図るため、付加車線の整備等による渋滞対策、インターチェンジランプの2車化、道路交通情報提供施設の整備等、利用者サービスの向上を推進する。
- (3)高度情報技術を活用したシステムの構築
- VICS等による道路交通情報の提供を推進するとともに、ノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)について、都市高速道路の出口ETCの整備を進める等、高度道路交通システム(ITS)の整備を推進する。
4 効果的な交通規制の推進
道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、道路網全体の中でそれぞれの道路の社会的機能、道路の構造、交通安全施設の整備状況、交通流・量の状況等地域の実態等に応じた効果的な交通規制を行う。
- (1)地域の特性に応じた交通規制
- 主として通過交通の用に供される道路については、駐停車禁止、転回禁止、指定方向外進行禁止、進行方向別通行区分等交通流を整序化するための交通規制を、主として地域交通の用に供される道路については、一方通行、指定方向外進行禁止等を組み合わせ、通過交通を抑制するなど、良好な生活環境を維持するための交通規制を、また、主として歩行者及び自転車利用者の用に供される道路については、歩行者用道路、車両通行止め、路側帯の設置、拡幅等歩行者及び自転車利用者の安全を確保するための交通規制を強化する。
特に、生活の場である住居系地区等においては、歩行者等の安全の確保に重点を置いた「あんしん歩行エリア」の整備を推進する。 - (2)安全で機能的な都市交通確保のための交通規制
- 安全で機能的な都市交通を確保するため、計画的に都市部における交通規制を推進し、交通流・量の適切な配分・誘導を図る。また、路線バス、路面電車等大量公共輸送機関の安全・優先通行を確保するための交通規制を積極的に推進する。
- (3)幹線道路における交通規制等
- 幹線道路については、交通の安全と円滑化を図るため、道路の構造、交通安全施設の整備状況、交通の状況等を勘案しつつ、速度規制及び追越しのための右側部分はみ出し通行禁止規制等について見直しを行い、その適正化を図る。
- (4)高速自動車国道等における交通規制
- 新規供用の高速道路等については、道路構造、交通安全施設の整備状況等を勘案し、安全で円滑な交通を確保するため、適正な交通規制を実施するとともに、既供用の高速道路等については、交通事故の発生状況、交通流の変動、道路構造の改良状況、安全施設の整備状況等を総合的に勘案して、交通実態に即した合理的な交通規制となるように必要な見直しを推進する。
特に、交通事故多発区間においては、大型貨物自動車等の通行区分規制、追越しのための右側部分はみ出し通行禁止規制、速度規制等の必要な安全対策を推進する。
また、交通事故、異常気象等の交通障害発生時においては、その状況に応じ、臨時交通規制を迅速かつ的確に実施し、二次障害の防止を図る。 - (5)事故多発地域における重点的交通規制
- 交通事故の多発する地域、路線等においては、最高速度の指定、追越しのための右側部分はみ出し通行禁止等の効果的な交通規制を重点的に実施する。
- (6)災害発生時における交通規制
- 災害発生時は、必要に応じて緊急交通路を確保し、それに伴う混乱を最小限に抑えるため、被災地への車両の流入抑制等の交通規制を迅速かつ的確に実施する。
また、災害対策基本法(昭36法223)による通行禁止等の交通規制を的確かつ迅速に行うため、信号制御により被災地への車両の流入を抑制するとともに、う回指示・広報を行い、あわせて、災害の状況や交通規制等に関する情報を提供する交通情報板等の整備を推進する。
5 高度道路交通システムの整備
最先端の情報通信技術(IT)等を用いて、人と道路と車とを一体のシステムとして構築し、安全性、輸送効率及び快適性の向上を実現するとともに、渋滞の軽減等の交通の円滑化を通じて環境保全に大きく寄与することを目的としたITSを引き続き推進する。そのため、平成8年に策定されたITS全体構想に基づき、産・官・学が連携を図りながら、研究開発、フィールドテスト※、インフラ※の整備、普及及び標準化に関する検討等の一層の推進を図るとともに、ITS世界会議等における国際情報交換、国際標準化等の国際協力を積極的に進める。
- (1)道路交通情報通信システムの整備
- 安全で快適な移動を支援するため、道路交通情報をカーナビゲーション装置へリアルタイムに(即時に)提供するVICSについて、情報提供サービスエリアの拡大、情報提供内容の充実、システムの高度化等を推進する。
- (2)新交通管理システムの推進
- 高度化された交通管制センターを中心に、個々の車両等との双方向通信が可能な光ビーコンを媒体として、交通流・量を積極的かつ総合的に管理することにより、高度な交通情報提供、車両の運行管理、公共車両の優先通行、交通公害の減少、安全運転の支援、歩行者の安全確保等を図り、交通の安全及び快適性を確保しようとする新交通管理システム(UTMS)の構想に基づき、システムの充実、キーインフラである光ビーコンの整備等の施策の推進を図る。
- (3)スマートウェイ・スマートゲートウェイ・スマートカープロジェクトの推進
- 障害物や車線逸脱等の情報を自動車と道路間の通信によりリアルタイムに(即時に)やり取りすることによって、従来不可能であったドライバーの発見の遅れに対する情報提供、判断の誤りに対する警告、ドライバーの操作支援を行い、安全で安心な走行支援の実現、道路交通事故の低減を図るため、総務省及び国土交通省が連携して、国際電気通信連合(ITU)で国際標準となったDSRC(狭域通信)システムの技術を活用し、(1)道路(スマートウェイ)、(2)自動車と道路側システムの間を結ぶ高度な情報通信(スマートゲートウェイ:知能通信)及び(3)高速走行する自動車(スマートカー)に関する技術の三位一体となった研究開発を行い、ITSの早期実現・普及を促進する。
具体的には、交通事故の低減、交通の円滑化、利便性の向上等を目指し、国土交通省では、多様な道路環境下でITSシステムを実現する観点からスマートウェイの研究開発と、ITS技術に対応した自動車の高知能化の観点からスマートカーの研究開発を、総務省は、自動車と道路の間を結ぶ高度な情報通信を実現する観点からスマートゲートウェイの研究開発で確立した技術の展開を担当し、両省が連携して走行支援システムの実証実験等を実施する。 - (4)道路運送事業に係る高度情報化の推進
- 環境に配慮した安全で円滑な自動車の運行の実現を図るため、道路運送事業においてITS技術を活用し、公共交通機関の利用促進や物流の効率化を進める。公共交通においては、多様な情報を提供する公共交通案内システム、汎用性の高い電子乗車券(スマートカード)等の普及により利用者の利便性向上を目指すと同時に、バス運行管理システム、公共車両優先システム(PTPS)、タクシーGPS‐AVMシステム等を活用した運行管理の高度化に取り組み、また、物流においては、リアルタイム配送管理システム、リアルタイム安全管理システム等の普及により運行管理を支援すると同時に、貨物追跡システム等を活用した荷物管理についての高度化や効率化の実現を目指す。具体的には、これらの環境負荷の軽減、安全で円滑な運行の確保などに資するシステムの導入を図るべく、実証実験事業等を中心とした道路運送事業に係る高度情報化を推進する。
- ※フィールドテスト
- 実地試験、屋外試験などのこと
- ※インフラ
- 交通、通信、公共施設など、社会等の基盤として整備される施設のこと
6 交通需要マネジメントの推進
依然として厳しい道路交通渋滞を緩和し、道路交通の円滑化を図るため、バイパス・環状道路の整備や交差点の改良等の交通容量の拡大策、交通管制の高度化等に加えて、パークアンドライド※の推進、情報提供の充実、相乗りの促進、時差通勤・通学、フレックスタイム制(自由勤務時間制)の導入等により、道路利用の仕方に工夫を求め、輸送効率の向上や交通量の時間的・空間的平準化を図る交通需要マネジメント(TDM)を推進する。
また、都市圏における交通渋滞の緩和等を図るため、TDM実証実験に参加する事業者への支援を含め、TDMを推進する地方公共団体等への支援を行うとともに、広報・啓発活動を積極的に行い、地域における自動車交通流・量の調整、事業者による交通事業の改善等を行うTDM実証実験を実施する。
- (1)公共交通機関利用の促進
- 道路交通混雑が著しい一部の道路について、バス専用・優先レーンの設定、ハイグレードバス停※やバス感応式信号機、公共車両優先システム(PTPS)の整備、パークアンドバスライドやコミュニティバスの導入等バスの利用促進を図るための施策を推進するとともに、これらの施策を関係省庁が連携して総合的に実施するオムニバスタウン構想※を推進する。また、路面電車、モノレール等の公共交通機関の整備を支援し、鉄道、バス等の公共交通機関への転換による円滑な道路交通の実現を図る。
さらに、鉄道、バス事業者による運行頻度・運行時間の見直し、乗り継ぎ改善等によるシームレス※な公共交通の実現を図ること等により、利用者の利便性の向上を図るとともに、鉄道駅・バス停までのアクセス確保のために、パークアンドライド駐車場、自転車道、駅前広場等の整備を促進し、交通結節機能を強化する。 - (2)自動車利用の効率化
- 乗用車の平均乗車人数の増加及び貨物自動車の積載率の向上により効率的な自動車利用を推進するため、自動車相乗りの促進、共同配送システムの構築、車両運行管理システム(MOCS)の導入等による物流の効率化等の促進を図る。
- (3)交通需要の平準化
- 交通需要のピーク時間帯の交通を分散するため、時差通勤・通学及びフレックスタイム制(自由勤務時間制)の導入を促進するとともに、道路交通情報の充実を図る。
- ※パークアンドライド
- 都心部へ乗り入れる自家用自動車による交通混雑を緩和するため、郊外の鉄道駅・バスターミナル等の周辺に駐車場を整備し、自動車を駐車(パーク)させ、鉄道・バス等公共交通機関への乗換え(ライド)を促すシステム
- ※ハイグレードバス停
- バス停の機能を高度化したもので、バス接近表示器(バスロケーションシステム)や上屋、ベンチ等を整備したもの
- ※オムニバスタウン構想
- バスが有する社会的意義を最大限に発揮した「バスを中心とするまちづくり」に向けた市町村の取組みを促進し、安全で暮らしやすい地域の実現を図ろうとするもの
- ※シームレス
- 「継ぎ目のない」の意味。公共交通分野におけるシームレス化とは、乗継ぎ等の交通機関間の「継ぎ目」や交通ターミナル内の歩行や乗降に際しての「継ぎ目」をハード・ソフト両面にわたって解消することにより、出発地から目的地までの移動を全体として円滑かつ利便性の高いものとすること
7 総合的な駐車対策の推進
道路交通の安全と円滑を図り、都市機能の維持及び増進に寄与するため、交通の状況や地域の特性に応じた総合的な駐車対策を推進する。
- (1)秩序ある駐車の推進
- ア
- 道路環境、交通実態、駐車需要等の変化に伴い、より良好な駐車秩序を確立するため、時間、曜日、季節等による交通流・量の変化等の時間的視点と、道路の区間ごとの交通環境や道路構造の特性等の場所的視点の両面から現行規制の見直しを行い、駐車の効用にも十分配意して、個々の時間及び場所に応じたきめ細かな駐車規制を推進する。
- イ
- 違法な駐停車が交通渋滞等交通に著しい迷惑を及ぼす交差点においては、違法駐車抑止システム等の整備を促進し、駐停車をしようとしている自動車運転者に対して音声で警告を与えることにより、違法な駐停車を抑制して交通の安全と円滑化を図る。
- ウ
- 違法駐車の取締りについては、高齢者、身体障害者等の移動の円滑化にも資するため、交通バリアフリー法の特定経路を構成する道路、幹線道路の交差点、横断歩道、バス停留所の付近等、時間制限駐車区間及び路外駐車施設周辺における違反並びに二重駐車、無余地駐車等、特に、悪質・危険性、迷惑性の高い違反を重点対象として実施する。
なお、放置駐車違反については、都道府県公安委員会による指示及び使用制限命令の積極的な活用を図り、使用者責任の追及に努める。 - エ
- 都市部の交通渋滞を緩和するため、特に違法駐車が著しい幹線道路において、きめ細かな駐車規制の実施や駐車対策のための各種システムの整備を進めるほか、違法駐車防止指導員や広報啓発指導員を配置して指導・広報・啓発を行い、悪質・危険性、迷惑性の高い違法駐車に対する取締りを強化する。
- オ
- 道路交通法の一部を改正する法律(平16法90)のうち、違法駐車対策に係る部分が、同法の公布の日(平成16年6月9日)から2年以内に施行されること、また、放置車両の確認及び標章の取付けに関する事務の委託に関し必要な準備行為が4月1日から行うことができるとされたことを受け、同法の円滑な施行に向け、広報啓発、システム整備その他所要の準備を図る。
- (2)駐車場等の整備
- 路上における無秩序な駐車を抑制し、安全かつ円滑な道路交通を確保するため、駐車規制及び違法駐車の取締りの推進と併せ、以下の施策により駐車場の整備と有効利用を推進する。
- ア
- 大都市圏等において違法駐車が特に著しい幹線道路において、荷さばき停車帯の整備やカラー舗装による駐停車禁止区域の明示、地方公共団体等による啓発活動の強化等を総合的・集中的に実施する。
- イ
- 駐車場整備計画の調査を推進し、自動車交通がふくそうする地区等において、駐車場整備地区の指定を促進するとともに、当該地区において計画的、総合的な駐車対策を行うため、駐車場整備計画の策定を推進する。
- ウ
- 大規模な建築物に対し駐車場の整備を義務付ける附置義務条例の制定の促進等を行うとともに、道路開発資金等の低金利融資制度の活用による民間駐車場の整備や、中心市街地等商店街・商業集積活性化施設整備事業等による助成により商店街において商店街振興組合等が行う駐車場の整備を促進する。
- エ
- 既存駐車場の有効利用を図るため、駐車場案内システム、駐車誘導システムの整備と高度化を推進する。また、郊外部からの過剰な自動車流入を抑止し、都心部での交通のふくそうを回避するため、パークアンドライドの普及のための駐車場等の環境整備を推進する。
- (3)違法駐車締出し気運の醸成・高揚
- 違法駐車の排除及び自動車の保管場所の確保等に関し、国民への広報・啓発活動を行うとともに、関係機関・団体との密接な連携を図り、地域交通安全活動推進委員の積極的な活用等により、住民の理解と協力を得ながら違法駐車の締め出し気運の醸成・高揚を図る。
8 地域住民等と一体となった安全な道路交通環境の整備
安全な道路交通環境の整備に当たっては、道路を利用する人の視点をいかすことが重要であることから、地域住民や道路利用者の主体的な参加の下に交通安全施設等の点検を行う交通安全総点検を積極的に推進するとともに、道路利用者等が日常感じている意見について、はがき、インターネット、「道の相談室」等を活用して取り入れ、道路交通環境の整備に反映する。
また、交通の安全は、住民の安全意識により支えられることから、安全で良好なコミュニティ※の形成を図るために、交通安全対策に関して住民が計画段階から実施全般にわたり積極的に参加できるような仕組みをつくり、行政と市民の連携による交通安全対策を推進する。
さらに、安全な道路交通環境の整備に係る住民の理解と協力を得るため、事業の進ちょく状況、効果等について積極的に公表する。
※コミュニティ
地域社会や共同体などのこと
9 その他の道路交通環境の整備
- (1)重大事故の再発防止
- 社会的に大きな影響を与える重大事故が発生した際には、速やかに当該箇所の道路交通環境等事故発生の要因について調査するとともに、発生要因に即した所要の対策を早急に講ずることにより、当該事故と同様な事故の再発防止を図る。
- (2)道路使用及び占用の適正化等
- ア
- 道路使用及び占用の適正化
工作物の設置、工事等のための道路の使用及び占用の許可に当たっては、道路の構造を保全し、安全かつ円滑な道路交通を確保するために適正な運用を行うとともに、道路使用許可条件の履行、占用物件等の維持管理の適正化について指導する。 - イ
- 不法占用物件の排除等
道路交通に支障を与える不法占用物件等については、実態把握、強力な指導取締りによりその排除を行い、特に市街地について重点的にその是正を実施する。
さらに、道路上から不法占用物件等を一掃するためには、沿道住民を始め道路利用者の自覚に待つところが大きいことから、不法占用等の防止を図るための啓発活動を沿道住民等に対して積極的に行い、「道路ふれあい月間」等を中心に道路の愛護思想の普及を図る。
なお、道路工事調整等を効率的に行うため、図面を基礎として、デジタル地図を活用し、データ処理を行うコンピュータ・マッピング・システムの段階的な運用の拡大を図る。 - ウ
- 道路の掘り返しの規制等
道路の掘り返しを伴う占用工事等については、無秩序な掘り返しと工事に伴う事故・渋滞を防止するため、極力これを抑制するとともに、施工時期や施工方法を調整する。さらに、共同溝の整備(平成17年度事業費360億円)、非開削工法の採用、集中工事の実施等の施策を推進し、路上工事の縮減を図る。
また、道路利用者や近隣住民に対して、路上工事についての理解を深めてもらうために、ホームページ等を活用して、路上工事に関する情報提供等を充実させる。 - (3)道路法に基づく通行の禁止又は制限
- ア
- 特殊車両の通行の禁止又は制限
車両制限令(昭36政265)に定める車両の幅、重量、高さ等の最高限度を超える大型車及び重量車の場合、道路を通行させることは、道路構造の保全又は交通の危険の防止の観点から禁止されており、止むを得ない場合に限り道路管理者の許可を受けて道路を通行させることができる。当該通行許可等法令に違反する車両に対処するため、警察等関係機関との緊密な連携を図りつつ、違反者等に対する指導取締りを強力に推進するとともに、悪質な違反者に対し告発を行う。
また、監視体制の強化を図ることを目的に、自動計測装置の設置を推進するとともに、違反点数制度を導入し、全国の道路管理者による指導取締り結果を一元的に管理し、違反実績に応じた指導取締りを行う。 - イ
- 災害、異常気象時等における通行の禁止又は制限
道路に係る災害を未然に防止するため、災害の発生が予測されるような状況下においては、関係機関が協力して、事前に迅速かつ的確な通行規制を実施することとし、このため、道路パトロール体制の強化、気象観測装置の整備、道路モニター制度の有効活用等に努める。
特に高速道路においては、高速走行という特性等からより高い管理水準が求められていることにかんがみ、24時間体制の道路巡回、特別巡回、車両監視用テレビ(ITV)等の情報収集機器等による道路状況の的確な把握及び道路情報板、路側通信システム、VICS、拡声放送設備等による適時的確な道路交通情報の提供に努める。 - ウ
- 水底トンネル等における危険物積載車両の通行の禁止又は制限
水底トンネル等※における道路構造の保全又は交通の危険防止を図るため、平成9年12月の「危険物運搬車両の事故防止等対策についての申合せ」も踏まえ、警察等関係機関との緊密な連携の下に、爆発性又は易燃性を有する物件その他の危険物を積載する車両の通行の禁止又は制限に違反する者に対する指導取締りを強化する。 - (4)自転車利用環境の総合的整備
- ア
- 都市交通としての自転車の役割と位置付けを明確にしつつ、自転車や歩行者、自動車の交通量に応じて歩行者、自動車とも分離された自転車道及び自転車専用道路、自転車が走行可能な幅の広い歩道である自転車歩行者道等の自転車利用空間を整備する。また、自転車専用通行帯、普通自転車の歩道通行部分の指定等の交通規制を実施する。
- イ
- 自転車等の駐車対策については、その総合的かつ計画的な推進を図ることを目的として、自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律(昭55法87)による施策を総合的に推進する。
このため、自転車等駐車対策協議会の設置、総合計画の策定を促進するとともに、自転車等の駐車需要の多い地域及び今後駐車需要が著しく多くなることが予想される地域を中心に、交通安全施設等整備事業、街路事業等による自転車等の駐車場整備事業を拡充し推進する。平成17年度は特定交通安全施設等整備事業として、21箇所で事業を実施する。また、大量の自転車等の駐車需要を生じさせる施設について自転車駐車場の設置を義務付ける条例の制定の促進を図るとともに、道路開発資金等の活用による民営の自転車駐車場整備事業の育成を図る。さらに、民間事業者が整備する駐輪施設を国が地方公共団体とともに支援することで、さらなる駐輪対策を図る。
さらに、自転車駐車場の整備とあいまって、自転車等利用者の通行の安全を確保するための計画的な交通規制を実施する。 - ウ
- 鉄道の駅周辺等における放置自転車等の問題の解決を図るため、自転車等駐車対策協議会の積極的な運営と総合計画の策定の促進を図ること等を通じて、地方公共団体、道路管理者、都道府県警察、鉄道事業者等が適切な協力関係を保持する。また、効率的・総合的な自転車駐車場の整備を推進するとともに、地域の状況に応じ、条例の制定等による駅前広場及び道路に放置されている自転車等の整理・撤去等の推進を図る。
特に、交通バリアフリー法に基づき、市町村が定める重点整備地区内における特定経路を構成する道路においては、高齢者、身体障害者等の移動の円滑化に資するため、広報啓発活動等の違法駐車を防止する取組及び自転車駐車場の整備を重点的に推進する。 - エ
- 自転車利用者に対し、交通社会における責任の自覚を求めるため、自転車の点検整備、自転車の安全な乗り方、道路交通法(昭35法105)その他の法令の遵守、正しい駐車方法等に関する教育及び広報活動を推進する。また、道路交通法その他の法令に定める正しい走行方法、正しい駐車方法について、道路上で明確に理解できるよう走行区分の明確化等の整備を推進する。さらに、関係団体による正しい駐車方法等に関する教育及び広報活動を支援する。
- (5)子どもの遊び場等の確保
- 子どもの遊び場の不足を解消し、路上遊技等による交通事故の防止に資するとともに、都市における良好な生活環境を形成するため、住区基幹公園、都市基幹公園等の整備を推進する。
また、繁華街、小住宅集合地域、交通頻繁地域等、子供の遊び場等の環境に恵まれない地域又はこれに近接する地域を優先的に、主として幼児及び小学校低学年児童を対象とした児童館及び児童遊園の整備を促進するとともに、小学校、中学校等の校庭及び体育施設、社会福祉施設の園庭等の開放の促進を図る。 - (6)無電柱化の推進
- 安全で快適な通行空間の確保、都市景観の向上、都市災害の防止、情報通信ネットワークの信頼性の向上等の観点から無電柱化を一層推進するため、「無電柱化推進計画」(平成16~20年度)に基づき、まちなかの幹線道路だけでなく、歴史的街並みを保存すべき地区等における主要な非幹線道路も含めて、面的に無電柱化を推進する(平成17年度電線共同溝整備事業費:1,983億円)。
- ※水底トンネル等
- 水底トンネル及びこれに類するトンネルで国土交通省令で定めるもの。水際にあるトンネルで当該トンネルの路面の高さが水面の高さ以下のもの又は長さ5,000メートル以上のトンネルを含む