平成17年度交通事故の状況及び交通安全施策の現況
第1編 陸上交通
第1部 道路交通
第2章 道路交通安全施策の現況
第2節 交通安全思想の普及徹底

第1編 陸上交通

第1部 道路交通

第2章 道路交通安全施策の現況

第2節 交通安全思想の普及徹底

1 段階的かつ体系的な交通安全教育の推進

 交通安全教育指針(平10国家公安委員会告示15)等を活用し、幼児から成人に至るまで、段階的かつ体系的に交通安全教育を行うとともに、高齢社会が進展する中で、社会に参加する高齢者の交通安全を確保する観点から、高齢者に対する交通安全教育を強力に推進した。特に、自転車を使用することが多い児童、中学生及び高校生に対しては、将来の運転者教育の基礎としての自転車の安全利用に関する指導を強化した。
 学校においては、学習指導要領に基づき、関連教科や道徳、特別活動及び総合的な学習の時間を中心に、教育活動全体を通じて計画的かつ組織的な指導に努めた。また、交通安全のみならず生活全般にわたる安全教育について、目標、内容等を明示した『安全教育参考資料「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育』の活用により、安全教育の充実を図った。
 交通安全教育を行うに当たっては、参加・体験・実践型の教育方法を積極的に取り入れるとともに、教材の充実及び実施主体間の相互利用の促進を図るなどして、国民が自ら納得して安全な交通行動を実践することができるよう、必要な情報を分かりやすく提供することに努めた。
 交通安全教育については、国、地方公共団体、警察、学校、関係民間団体及び家庭がそれぞれの特性をいかし、互いに連携をとりながら地域ぐるみの活動が推進されるように促している。特に、交通安全教育・普及啓発活動に当たる地方公共団体職員や教職員、交通ボランティア等の指導力の向上を図るとともに、地域における民間の指導者を育成することなどにより、地域の実情に即した自主的な活動を促進した。
 また、子ども、父母、祖父母の世代間交流によって各世代が交通安全について互いに注意を呼び掛け合うことにより、効果的な交通安全教育・普及啓発活動の推進に努めた。
 さらに、交通安全教育・普及啓発活動の効果を事後に確認し、効果的な実施に努めるとともに、交通安全教育・普及啓発活動の意義、重要性等について関係者の意識が深まるよう努めた。

(1)幼児に対する交通安全教育
幼稚園・保育所における交通安全教育
幼稚園教育要領及び保育所指針に基づき、日常の教育・保育活動のあらゆる場面をとらえて、交通安全教育を計画的、かつ継続的に行っている。これらを効果的に実施するため、紙芝居や腹話術、視聴覚教材等を利用したりするなど、分かりやすい指導に努めた。
また、家庭及び地域の関係機関・団体等と連携・協力を図り、交通安全教育が効果的に行われるよう、教職員等の指導力の向上を図るとともに、教材・教具の整備に努めた。
児童館・児童遊園における交通安全に関する指導
主として幼児を対象に、遊びによる生活指導の一環として、交通安全に関する指導を推進するとともに、母親クラブ等の組織化を促進し、その活動の強化を図った。
関係機関・団体等における支援
幼稚園・保育所、児童館・児童遊園に対する教材・教具の提供及び教職員や保護者に対する通園時の安全指導を実施するとともに、家庭における適切な指導、交通安全についての積極的な話し合い等が行われるよう保護者に対する交通安全講習会の実施に努めた。幼児と母親とが一緒になって交通安全について学習する幼児交通安全クラブは平成17年9月末現在全国で、約1万クラブが結成されており、加入幼児は約76万人、同保護者は約69万人である。
また、交通ボランティアによる幼児に対する通園時の安全な行動の指導、保護者を対象とした交通安全講習会等の開催を促進した。
さらに、平成17年中に自動車安全運転センター安全運転中央研修所において、4,243人の幼児に対し交通安全研修を実施した。
(2)児童に対する交通安全教育
小学校における交通安全教育
家庭及び関係機関・団体等との連携・協力を図りながら、体育科、道徳、学級活動・児童会活動・学校行事等からなる特別活動、総合的な学習の時間等、学校教育活動全体を通じて計画的に歩行者としての心構え、自転車の安全な利用、交通ルールの意味及び必要性を重点として交通安全教育を実施した。そのため、調査研究、教職員等の研修会を実施した。
関係機関・団体等における支援
小学校において行われる交通安全教育の支援を行うとともに、児童に対する補完的な交通安全教育の推進に取り組んでいる。また、父母等の保護者が日常生活の中で模範的な行動をとり、歩行中、自転車乗用中等実際の交通の場面で、児童に対し、基本的な交通ルールや交通マナーを教えられるよう保護者を対象とした講習会等を開催した。
さらに、地域によっては、PTA、交通ボランティア等により通学路の道路事情及び交通事情を具体的に検討した上で集団登下校を実施し、登下校時の交通事故防止を図っており、児童生徒に集団行動を通じて交通安全に関する実践的能力を身に付けさせるよう努めた。
また、平成17年中に自転車免許証の取得を通じて、自転車利用者の交通ルールの遵守とマナーの向上を図るため、警察と小学校が連携した自転車免許証事業を実施するとともに、自動車安全運転センター安全運転中央研修所において、1万2,326人の児童に対して交通安全研修を実施した。
(3)中学生に対する交通安全教育
中学校における交通安全教育
家庭及び関係機関・団体等との連携・協力を図りながら、保健体育科、道徳、学級活動・生徒会活動・学校行事からなる特別活動、総合的な学習の時間等、学校教育活動全体を通じて計画的に歩行者としての心構え、自転車の安全な利用、自動車の特性、危険の予測と回避、標識等の意味、応急手当等を重点として交通安全教育を実施した。
また、交通安全教育を計画的に実施し、効果的なものにするため、交通安全教育の在り方や実践に関する調査研究、教員等を対象とした心肺そ生法も含めた研修会等を実施した。
関係機関・団体等における支援
中学校で行われる交通安全教育が円滑に実施できるよう指導者の派遣等の支援を行うとともに、地域において、保護者対象の講習会や生徒に対する補完的な交通安全教育を実施した。
また、平成17年中に自転車免許証の取得を通じて、自転車利用者の交通ルールの遵守とマナーの向上を図るため、警察と中学校が連携した自転車免許証事業を実施するとともに、自動車安全運転センター安全運転中央研修所において、2,403人の中学生に対して交通安全研修を実施した。
(4)高校生に対する交通安全教育
高等学校における交通安全教育
家庭及び関係機関・団体等との連携・協力を図りながら、運転者となるために必要な資質や能力の育成等も含め、保健体育科、ホームルーム活動・生徒会活動・学校行事からなる特別活動、総合的な学習の時間等、学校教育活動全体を通じて計画的に自転車の安全な利用、二輪車・自動車の特性、運転者の責任、応急手当等を重点として交通安全教育を実施した。特に、二輪車の安全に関する指導については、生徒の実態や地域の実情に応じて、二輪車の安全運転を推進する機関・団体と連携しながら、安全運転に関する意識の高揚と実践力の向上を図るとともに、実技指導等を含む交通安全教育の充実を図った。そのため、調査研究、教職員等の研修会を開催するとともに、高等学校を核とした交通安全教育実践地域事業を実施したほか、高等学校教師用指導資料「交通安全教育の新たな展開」等を参考として交通安全教育の充実に努めた。
関係機関・団体等における支援
高等学校で行われる交通安全教育が円滑に実施できるよう指導者の派遣等の支援を行うとともに、地域において、高校生及び相当年齢者に対する補完的な交通安全教育を実施した。
内閣府では、免許取得直前期にある高校生の年代の者に対し、将来の運転者として備えておくべき安全意識を醸成するため、参加・体験・実践型の「免許取得前の若者に対する運転者としての交通安全教育推進事業」を実施した。
(5)成人に対する交通安全教育
 運転免許取得時の教育は、指定自動車教習所等における教習が中心となることから、公安委員会は、適正な教習水準の確保のため指導・助言を行った。
 免許取得後の運転者教育は、運転者としての社会的責任の自覚、安全運転に必要な知識及び技術、特に危険予測・回避の能力の向上、交通事故被害者の心情等交通事故の悲惨さに対する理解、交通安全意識・交通マナーの向上を目標とし、公安委員会が行う各種講習、自動車教習所等が受講者の特性に応じて行う運転者教育及び事業所の安全運転管理の一環として安全運転管理者、運行管理者等が行う交通安全教育を中心として行った。
 自動車の使用者は、安全運転管理者、運行管理者等を法定講習、指導者向けの研修会等へ積極的に参加させ、事業所における自主的な安全運転管理の活発化に努め、また、自動車安全運転センター安全運転中央研修所等の研修施設において、高度の運転技術、指導方法等を身に付けた運転者教育指導者の育成を図るとともに、これらの交通安全教育を行う施設の整備を推進した。
 また、社会人を対象とした学級・講座等における交通安全教育の促進を図るなど、公民館等の社会教育施設における交通安全のための諸活動を促進するとともに、関係機関・団体による実践活動を促進した。
 大学生等に対しては、学生の二輪車・自動車の利用の実態に応じ、関係機関・団体等と連携し、交通安全教育の充実に努めた。特に、二輪車運転者については、交通安全意識の高揚と交通安全活動への積極的な参加を促進するため、関係機関・団体等が連携して、二輪車の安全に関する各種情報の提供、自主的な訓練への協力、クラブリーダーの育成等を行うことにより、二輪車クラブの指導育成を図るとともに、クラブ未加入二輪車運転者のクラブ加入の促進及び新規クラブの組織化を促進した。また、二輪車クラブ相互間の協力による広範囲な安全活動を活発に展開するため、二輪車クラブ相互間の連絡会議を開催するなどにより、連携の強化を図ったほか、二輪車の二人乗り規制の見直しを踏まえ、二人乗りに関する安全教育の徹底を図った。
免許取得前の若者に対する運転者として交通安全教育推進事業
世代間交流事業
(6)高齢者に対する交通安全教育
シルバーリーダー中央研修事業
 国及び地方公共団体は、高齢者に対する交通安全指導担当者の養成、教材・教具等の開発など指導体制の充実に努めるとともに、参加・体験・実践型の交通安全教育を積極的に推進した。
 また、関係団体、交通ボランティア、福祉関係者等と連携して、高齢者の交通安全教室等を開催するとともに、高齢者に対する社会教育活動・福祉活動、各種の催し等の多様な機会を活用した交通安全教育を実施した。特に、交通安全教育を受ける機会のなかった高齢者を中心に、家庭訪問による交通安全指導、高齢者と日常的に接する機会を利用した交通事故防止の助言等が地域ぐるみで行われるように努めた。この場合、高齢者の自発性を促すことに留意しつつ、高齢者の事故実態に応じた具体的な指導を行うこととし、反射材の活用等交通安全用品の普及にも努めた。
 また、高齢運転者に対しては、高齢者講習の内容の充実及び更新時講習における高齢者学級の編成に努めた。
 高齢者同士の相互啓発等により交通安全意識の高揚を図るため、老人クラブ、老人ホーム等における交通安全部会の設置、高齢者交通安全指導員(シルバーリーダー)の養成等を促進し、老人クラブ等が関係団体と連携して、「ヒヤリ地図」の作成や最近急速に普及している電動車いす(障害者用の車いすで道路交通法施行規則で定める基準に該当する原動機を用いるものをいう。)の安全利用に係る講習会等自主的な交通安全活動を展開し、地域・家庭における交通安全活動の主導的役割を果たすよう指導・援助を行った。
 内閣府では参加・体験・実践型の高齢者交通安全教育の継続的な推進役の養成を目的とする「市民参加型の高齢者交通安全学習普及事業」及び、シルバーリーダーのサブリーダー育成能力を高めること等を目的とする「シルバーリーダー中央研修事業」を実施した。
 また、交通安全をテーマに3世代が交流する「世代間交流事業」及び交通安全教室に参加しない高齢者を対象にした「高齢者世帯訪問事業」を内容とする「高齢者交通安全意識高揚啓発事業」を実施し。
(7)障害者に対する交通安全教育
 交通安全のために必要な技能及び知識の習得のため、地域における福祉活動の場を利用するなどして、障害の程度に応じ、きめ細かい交通安全教育を推進した。また、手話通訳員の配置、字幕入りビデオの活用等に努めるとともに、身近な場所における教育機会の提供、効果的な教材の開発等に努めた。さらに、自立歩行ができない障害者に対しては、介護者、交通ボランティア等の障害者に付き添う者を対象とした講習会等を開催した。
(8)外国人に対する交通安全教育
 我が国の交通ルールに関する知識の普及を推進するとともに、外国人向けの教材の充実を図り、効果的な交通安全教育を推進した。また、外国人を雇用する使用者等の交通安全意識を高め、雇用等されている外国人による積極的な講習会等への参加を促進した。

2 交通安全に関する普及啓発活動の推進

(1)交通安全運動の推進
 国民一人一人に交通安全知識を普及させ、交通安全思想の高揚を図るとともに、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣付けることにより、交通事故防止の徹底を図るため、春及び秋の全国交通安全運動を行い、国、地方公共団体及び民間交通安全推進団体が一致協力して、国民多数の参加による活動を展開した。運動の実施に当たっては、事前に、運動の趣旨、実施期間、運動重点、実施計画等について広く住民に周知することにより、市民参加型の交通安全運動の充実・発展を図るとともに、効果的な運動を実施するため、地域の実態に応じた運動重点を定め、事故実態、住民のニーズ等を踏まえた実施に努めた。
平成17年春及び秋の全国交通安全運動の実施と結果
平成17年春及び秋の全国交通安全運動は、中央交通安全対策会議の交通対策本部が決定した実施要綱に基づき、関係省庁、地方公共団体及び関係17団体が主催し、関係146団体の協賛の下に実施された。
春の運動は、4月6日から15日までの10日間、「子供と高齢者の交通事故防止」を運動の基本とするほか、「二輪車の安全利用の推進」「シートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底」を全国重点とするとともに、必要に応じて地域の実態に沿った独自性のある地域重点も定めることとし、特に子どもと高齢者を対象とした参加・体験・実践型教育の推進、二輪車利用者の交通ルールの遵守と二輪車の特性を踏まえた安全運転の励行、シートベルト及びチャイルドシートの正しい着用の徹底、効果的な広報活動の推進等を行った。
秋の運動は、9月21日から30日までの10日間、「高齢者の交通事故防止」を運動の基本とするほか、「夕暮れ時の歩行中と自転車乗用中の交通事故防止」、「シートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底」を全国重点とするとともに、必要に応じて地域の実態に沿った独自性のある地域重点も定めることとし、特に高齢者を対象とした参加・体験・実践型教育の推進、自動車の前照灯の早期点灯と歩行者・自転車利用者の反射材の活用促進、シートベルト及びチャイルドシートの正しい着用の徹底、効果的な広報活動の推進等を行った。
実施に当たっては、交通対策本部決定(春の運動は平成17年2月1日、秋の運動は同年7月1日)を受けて、中央においては、主催の各機関及び団体がそれぞれ運動の具体的な実施方針を定め、国の機関の地方支分部局及び団体の下部組織に対してその推進を図るよう適切な措置を講じた。また、地方においては、都道府県交通対策協議会等の関係機関を通じて、国の機関の地方支分部局、地方公共団体及び民間諸団体が相互に連絡を保持しつつ、地域の実態等に応じた具体的な実施計画を作成し、運動期間を中心として広報活動及び交通安全教育を推進するとともに、生活道路網を中心とする道路交通環境の点検整備等を集中的に実施する等の効果的な運動を展開した。
平成17 年秋の全国交通安全運動ポスター
(ア)
広報活動
国、地方公共団体及び民間団体は、新聞、テレビ、ラジオ、ケーブルテレビ、有線(無線)放送、広報雑誌、ポスター、パンフレット、チラシ、立て看板、横断幕、懸垂幕、広告塔、構内放送、広報車の巡回広報、パレード等による多彩な広報活動を活発に展開した。
(イ)
交通安全教育
全国交通安全運動期間中の交通安全教育は、都道府県、市区町村、教育委員会、警察、幼稚園、保育所、学校、交通安全協会(交通安全活動推進センター)、交通安全母の会、民間交通指導員、PTA、安全運転管理者協議会等の関係機関・団体の協力の下に実施された。
指導内容は、交通社会の一員としての自覚と責任を持つよう促すことを基本とし、(1)幼児及び小学生については安全な通園・通学の方法、正しい道路の歩き方・渡り方及び飛び出し防止、(2)中学生については自転車の正しい乗り方、(3)高校生については自転車及び二輪車(原動機付自転車及び自動二輪車)の正しい乗り方と点検整備、(4)高齢者については道路の正しい歩行と横断、自転車及び自動車の安全な走行、(5)母親については家庭における交通安全意識の醸成、特に子どもの交通安全のための知識としつけ方、(6)運転者とその雇主等に対しては、前照灯の早期点灯の励行、歩行者・自転車利用者の保護を中心とした安全運転の励行及びシートベルトコンビンサーの活用によるシートベルト及びチャイルドシートの正しい着用が主なものである。また、指導方法についてみると、運転者、安全運転管理者等への法令、技術等の講習会、自治会、町内会、女性団体での座談会、小学生、中学生、高校生を対象とする交通安全教室、母と子の交通安全教室、高齢者への参加・体験・実践型交通安全教育や家庭訪問、子どもと高齢者の三世代交流型の交通安全講習会等多彩なものとなっている。これら各種の指導を強化するため、核となるべき指導者の養成にも力を入れ、指導の効率化を図った。なお、運動期間中には、街頭での歩行者、自転車利用者及び二輪車・自動車の運転者に対する直接指導も行われた。
※シートベルトコンビンサー
衝突時の衝撃を体験する装置。
(ウ)
運動期間中の交通事故
全国交通安全運動期間中の交通事故の発生状況は、春が2万5,762件、死者数194人、秋が2万5,471件、死者数205人であった(第1‐7表)。
地方公共団体の行う交通安全運動
春及び秋の全国交通安全運動のほか各地域の交通実態に応じ、夏の交通安全運動、年末年始の交通安全運動、行楽期の交通安全運動、シートベルト・チャイルドシート着用の推進運動、飲酒運転追放の運動、交通事故急増時の非常事態宣言に基づく交通安全運動等時宜に多様な交通安全運動を実施した。
交通安全組織による交通安全活動
交通安全組織の活動は、交通安全意識の定着に大きな効果があるので、職場内での運転者組織、地域での飲酒・暴走運転等無謀運転追放のための住民組織、学校内での児童生徒の安全組織、特に交通少年団及び幼児交通安全クラブ、交通安全母親組織等における活動の充実強化が図られた。
(2)シートベルト及びチャイルドシートの正しい着用の徹底等
チャイルドシート着用推進シンボルマーク「カチャピョン」
 各種交通安全教室、交通安全運動等のあらゆる機会をとらえて、後部座席における着用を含め、シートベルトの着用効果、正しい利用方法について広報を実施した。
 チャイルドシートについては、平成17年4月に警察庁と(社)日本自動車連盟が合同で実施した全国調査によると、6歳未満全体の使用率は49.1%で、しっかり取り付けられていないものも多く見受けられることから、チャイルドシートの正しい使用の徹底を図るため、関係機関・団体と連携を図りながら、チャイルドシートの普及促進キャンペーン等において開催された取付講習会に協力した。また、チャイルドシートの正しい取付方法の普及を図るため、チャイルドシート販売員や自動車販売員等を対象としたチャイルドシート取付指導員を養成する研修会の開催を支援した。
 さらに、チャイルドシートと座席との適合表の公表、分かりやすい取扱い説明書の作成等、チャイルドシート製作者又は自動車製作者における取組を促すとともに、販売店等における利用者への正しい着用の指導・助言を促進した。
(3)走行中の携帯電話の使用及びカーナビゲーション装置等の画像の注視の危険性に関する広報啓発
 走行中の携帯電話の使用等の危険性及び平成16年11月から施行された改正道路交通法の罰則規定について、関係機関・団体と連携して、各種講習会の開催、街頭キャンペーン・携帯電話販売店等におけるチラシ等の配布、各種広報媒体による広報を行うなど、周知徹底を図った。
 また、事業所の安全運転管理者、運行管理者等による運転者に対する指導が徹底されるように努めた。
(4)交通の安全に関する広報の推進
 国民一人一人の交通安全に対する関心と意識を高め、自動車等を運転する者はもとよりそうでない者も、自ら事故を誘発するような交通行動をとらないように交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣付けるため、国、地方公共団体及び交通安全活動推進センターを始めとする民間交通安全推進団体との密接な連携の下に、年齢、対象に応じ、日常生活に密着した内容で、それぞれの場にふさわしい広報媒体を活用したきめ細かな広報啓発活動を計画的に実施した。
家庭、学校、職場、地域等と一体となった広範なキャンペーンや、官民が一体となった各種の広報媒体を通じての集中的なキャンペーン等を積極的に行うことにより、高齢者の交通事故防止、シートベルト及びチャイルドシートの正しい着用の徹底、薄暮・夜間の交通事故防止、若年運転者の無謀運転の防止、飲酒運転等悪質・危険な運転の追放、違法駐車の排除等を図った。
家庭向け広報媒体の積極的な活用、地方公共団体、町内会等を通じた広報等により家庭に浸透するきめ細かい広報の充実に努め、子ども、高齢者等を交通事故から守るとともに、暴走運転、無謀運転、飲酒運転等の追放気運の醸成を図った。
民間団体の交通安全に関する広報活動を援助するため、国及び地方公共団体は、交通の安全に関する資料、情報等の提供を積極的に行い、全国民的気運の盛り上がりを図るため、報道機関の理解と協力が得られるよう働きかけた。
(5)その他の普及啓発活動の推進
高齢者の交通安全のための広報啓発等
高齢者の交通事故防止に関する国民の意識の高揚を図るため、高齢者交通安全マークの積極的な普及・活用を図るとともに、他の年齢層に高齢者の特性を理解させるよう努めた。また、高齢者の運転中の事故を防止するため、高齢運転者標識(高齢者マーク)の普及と、高齢運転者標識を取り付けた自動車への保護意識を高めるよう呼び掛けた。
また、マスメディアや各種の行政広報の活用、ポスター、パンフレット等の配布、交通安全フェア、シンポジウムの開催等を通じて広報啓発活動を積極的に実施することにより、高齢者はもとより、高齢者の交通安全に関する国民の意識の醸成を図った。
薄暮・夜間事故防止のための広報啓発等
夜間の重大事故の主原因となっている最高速度違反、飲酒運転等による事故実態・危険性等を広く周知し、これら悪質・危険な運転の追放を呼び掛けた。また、高齢歩行者を始めとする各年齢層の歩行者が、ドライバーから視認性の高い衣服を着用し、反射材を活用する気運の醸成を図るとともに、自転車の灯火の点灯の徹底及び自転車の側面等への反射器材の取付けを推進するなど、夜間事故の防止を最重点に取り組んだ。さらに、自動車の前照灯の早期点灯を呼び掛けた。
自転車の安全利用促進のための広報啓発
自転車利用者の交通マナーの向上を図り、自転車乗用中の交通事故や自転車による迷惑行為を防止するため、歩行者に配慮した通行等自転車の正しい乗り方に関する普及啓発活動を推進した。
また、自転車同乗中の幼児の事故における頭部への被害の軽減を図るため、幼児向けの自転車用ヘルメットの使用に関する広報啓発を推進した。
交通事故関連情報の提供
国民が、交通事故の発生状況を認識し、交通事故防止に関する意識の啓発等を図ることができるよう、各種の交通事故関連情報を統合したシステムを開発し、これによりインターネットを通じて事故データ及び事故危険箇所、あんしん歩行エリア等に関する情報の提供に努めた。
自動車に係る安全情報の提供の充実
交通安全に関する意識を高めるため、自動車アセスメント情報や、安全装置の有効性、自動車の正しい使い方、点検整備の方法に係る情報、交通事故の概況などの情報を総合的な安全情報として取りまとめ、自動車ユーザー、自動車運送事業者、自動車製造業者などの情報の受け手に応じ適時適切にウェブサイト等において情報提供を行った。
二輪車事故防止のための広報啓発活動の推進
「バイクの日」(毎年8月19日)を中心に、二輪車の安全な利用を促進するための全国キャンペーン等の広報啓発活動が、関係機関・団体等により積極的に展開された。内閣府では、地方公共団体等に対し、各地域において積極的に広報啓発を促進するよう要請するとともに、それらの諸活動に呼応する中央イベントとして、関係団体の協力を得て、平成17年8月7日、大阪において「バイクっていいよね!! in 大阪」を、8月19日から20日にかけて、横浜において「バイクの日ライド・ウィズハート2005」を開催した。これらのイベントでは、二輪車の社会的有用性や安全な利用等について、二輪車に関係する著名人、ボランティアによる活動紹介・実演等が行われた。
交通安全ファミリー作文コンクールの実施
「交通安全は家庭から」をテーマに、各家庭で交通安全について話し合い、交通ルールと正しい交通マナーの実践ができるよう交通安全家族会議の普及を図り、その良い実践例を募るため、「我が家の交通安全」を主題とする交通安全ファミリー作文コンクールを実施した。平成17年度は、約1万7千点の応募があり、優秀作品を取りまとめて、関係機関・団体等に配布した。
反射材の活用推進
夜間における歩行者及び自転車利用者の事故防止に有効な反射材の普及を図るため、各種広報媒体を活用した広報及び反射材の効果、使用方法等について理解を深めてもらうための参加・体験・実践型の交通安全教育を実施するとともに、関係機関・団体が協力して反射材の展示会の開催等を推進するなど、全年齢層を対象とした普及活動に努めた。
また、反射材を衣服、靴、鞄、傘等の身の回り品やその他の物に製造段階から組み込むことや反射材を使用した製品の流通の促進、広報啓発を推進するため、広く関係業界が参加した反射材活用推進委員会への活動を支援した。
警察庁では、反射材活用の理解と意識の高揚を図り、日常的な活用とその定着化を図ることを目的に、平成17年9月~12月の間インターネットを活用した「反射材活用キャンペーン」事業を展開した。
交通安全フェアの開催
各種展示及び実演を通じて、交通安全知識の普及と交通安全意識の高揚を図るとともに、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践の習慣付けを図ることを目的に、9月17日及び18日の2日間にわたり東京ドームシティにおいて交通安全フェアを開催し、交通安全に関する多彩なステージプログラム及び各種の展示等を実施した。
交通安全シンポジウムの開催
内閣府は、平成17年10月27日、第24回交通安全シンポジウムを宮崎県及び宮崎市と共催で「超高齢社会とクルマ社会との共存」をテーマとして開催した。
交通安全母親活動の推進
地域社会において交通安全活動を行っている母親の指導力の向上を図るため、母親活動指導者講習会等を開催するとともに、母親による交通安全全国キャラバン隊の派遣事業を実施した。
交通安全総合データベースの活用
交通安全対策に関する情報をインターネットにより提供する交通安全総合データベースを活用し、地方公共団体の交通安全対策担当者、交通指導員等の支援、及び交通安全ビジュアル教材の作成・掲載など交通安全情報サービスの提供を行った。
交通安全フェア
交通安全シンポジウム
第1‐7表 平成17年全国交通安全運動期間中の交通事故発生状況
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3 交通の安全に関する民間団体等の主体的活動の推進等

(1)民間交通安全関係団体に対する指導育成
(財)全日本交通安全協会に対する指導
交通安全マインドの普及浸透を図るため、交通安全についての広報啓発活動を行うとともに、交通安全に関する調査研究等を推進している(財)全日本交通安全協会に対し、同協会が実施する交通安全子供自転車全国大会の開催、各種指導者講習会の開催、機関誌及び広報資料の作成、反射材用品の普及促進、その他交通安全のための諸活動が効果的に行われるよう指導・援助した。また、交通安全国民運動中央大会を同協会と共に開催した。
なお、同協会は道路交通法の規定に基づいて、全国交通安全活動推進センターとして指定されており、民間の交通安全活動団体の中核を担っていくことが期待されていることから、警察庁では必要な助言、指導に努めた。
母親の交通安全組織に対する指導育成
地域社会における母親の交通安全組織の育成に努めるとともに、母親の交通安全活動の指導等を行っている(社)全国交通安全母の会連合会に対し、幼児・新入学児童及び高齢者向け指導啓発交通安全教育資料の作成、広報紙の発行等の事業について指導・援助した。
その他の民間団体に対する指導育成
(財)日本交通安全教育普及協会その他の民間交通安全団体の育成に努めるとともに、広く交通安全に関係する団体が行う広報啓発資料の作成、研修会の開催、調査研究の実施等交通安全に関する事業について指導・援助した。
(2)地域交通安全活動推進委員に対する指導等
 平成17年3月末現在、全国で約1万9,500人の地域交通安全活動推進委員(以下「推進委員」という。)が委嘱されているが、推進委員による適正な交通の方法及び交通事故防止について住民の理解を深めるための交通安全教育、地域における安全かつ円滑な交通を確保するための広報啓発活動、地域において活動する団体又は個人に対する協力要請活動、住民からの相談を受ける活動等を適正かつ効果的に推進することができるよう指導した。また、推進委員が組織する地域交通安全活動推進委員協議会において、推進委員相互の連携、必要な情報の提供、関係機関との連絡調整等を十分に行うことができるよう指導した。特に、推進委員は交通安全教育指針に従って交通安全教育を行うこととされていることから、交通安全活動推進センターが実施する研修等を通じ、指針に基づいた効果的かつ適切な交通安全教育を実施することができるよう、その指導に努めた。
(3)民間交通指導員に対する指導
 地域における交通事故防止を徹底するため、地方公共団体、民間交通安全団体からの委嘱等を受け、ボランティア活動として子ども、高齢者等に対する交通安全指導を行っている民間交通指導員については、その活動が効果的に推進されるよう育成指導に努めた。
(4)交通安全総点検の実施
 交通の安全は、人・道・車の調和が図られることにより保たれるものであり、利用する人の視点に立ってとらえられるべき課題である。このような観点から、地域の人々や道路利用者の主体的な参加の下、道路交通環境の点検を行い、行政と住民・企業など地域が一体となった取組を通じ、交通の安全確保を目指す交通安全総点検を推進した。

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