交通安全白書の刊行に当たって

猪口邦子

内閣府特命担当大臣

中央交通安全対策会議交通対策本部長

猪口邦子

 昨年の道路交通事故による死者数は6,871人と、約半世紀ぶりに6千人台になりました。過去最悪であった昭和45年と比較すると、1万人近く減少しており、これは、国民の皆様の長年にわたる努力の成果と考えています。しかし、なお、毎年国民の約100人に1人が交通事故により死傷しているという厳しい情勢は続いています。
 政府は、平成24年までに交通事故死者数を5,000人以下とし、世界一安全な道路交通を実現することを目指し、本年3月に「人優先」の交通安全思想を基本とする第8次交通安全基本計画を決定しました。
 交通事故のない社会を目指し、死者数や死傷者数を一層減少させるため、今後は、同計画に基づき様々な交通安全施策を強力に推進していきます。
 特に、我が国の交通事故死者数における歩行中の死者の占める割合が欧米諸国と比較して高くなっていることから、歩道の整備等を進め、歩行者の安全の確保を図っていくこととしています。
 また、昨今、鉄道や航空等の分野においてヒューマンエラー等による重大事故やトラブルが続発しており、陸上、海上、航空のすべての分野において、交通事故を防止することは極めて重要な国民的課題となっています。政府としても、今後とも全力を挙げて交通事故防止に取り組んでまいります。
 本年の白書においては、平成17年度における各種施策の実施状況等について報告していますが、特に、第8次交通安全基本計画の概要を紹介するとともに、「歩道の整備等による安全・安心な歩行空間の確保」について詳しく記述しています。また、鉄道や航空等の分野における重大事故やトラブルへの対応策についても記述しています。
 尊い生命を悲惨な交通事故から守るためには、国民の皆様に交通安全に関する理解と関心を深めていただくことが大切です。本書が、広く利用され、交通事故による惨禍の根絶に向けた一助となることを願ってやみません。

平成18年6月

目次