平成20年度 交通事故の状況及び交通安全施策の現況
第1編 陸上交通
第1部 道路交通
第1章 道路交通事故の動向
第2節 平成20年中の道路交通事故の状況

第1編 陸上交通

第1部 道路交通

第1章 道路交通事故の動向

第2節 平成20年中の道路交通事故の状況

1 概況

 平成20年中の交通事故発生件数は76万6,147件で、これによる死者数は5,155人、負傷者数は94万5,504人であった(死傷者数は95万659人)。
 前年と比べると、死者数は589人(10.3%)、発生件数は6万6,307件(8.0%)、負傷者数は8万8,941人(8.6%)減少した(死傷者数は8万9,530人(8.6%)減少)。
 交通事故による死者数は8年連続で減少し、昭和28年(死者数5,544人)以来54年ぶりに5千人台となった前年を更に下回った。また、平成16年に過去最悪を記録した発生件数(95万2,191人)及び負傷者数(118万3,120人)も4年連続で減少し、負傷者数は10年振りに100万人を下回ったものの、いまだ多くの尊い命が交通事故の犠牲になっており、依然として憂慮すべき交通情勢にある。

2 交通死亡事故等の特徴

(1)年齢層別交通事故死者数及び負傷者数

 平成20年中の交通事故死者数を年齢層別にみると、65歳以上の高齢者(2,499人)が16年連続で最も多く、全死者数に占める割合は、65歳以上の高齢者の人口構成比(22.1%:「平成20年10月1日総務省推計人口」による。)の2倍を超える48.5%となっている。
 前年と比べると、60~64歳(15人増)以外の年齢層で減少しており、特に65歳以上(228人減)、16~24歳(119人減)及び50~59歳(105人減) が大きく減少した(第1-4図)。

第1-4図 年齢層別交通事故死者数(平成20年)

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 年齢層別の交通事故死者数の推移をみると、近年はすべての年齢層で減少傾向で推移しており、過去10年間では、特に16~24歳の若者の減少傾向が顕著である(第1-5図)。

第1-5図 年齢層別交通事故死者数の推移

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 交通事故負傷者数を年齢層別にみると、30~39歳(18万1,535人)と16~24歳(16万1,300人)が多く、両者で全体の約4割を占めている。前年と比べると、16~24歳(2万2,659人減)が特に減少した(第1-6図)。

第1-6図 年齢層別交通事故負傷者数の推移

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 交通事故死者数に占める割合が最も多い65歳以上の高齢者について状態別にみると、歩行中がほぼ半数(47.7%)を占めている。また、漸増傾向にあった自動車乗車中は、平成17年から4年連続で減少となった(第1-7図)。

第1-7図 高齢者の状態別交通事故死者数の推移

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(2)状態別交通事故死者数及び負傷者数等

 平成20年中の交通事故死者数を状態別にみると、歩行中(1,721人)が最も多く、次いで自動車乗車中(1,710人)となっており、両者で全体の66.6%を占めている。前年と比べると、特に自動車乗車中(303人、15.1%減)が大幅に減少した。(第1-8図)。

第1-8図 状態別交通事故死者数(平成20年)

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 状態別の交通事故死者数の推移をみると、近年はすべての状態で減少傾向にあり、過去10年間では、特に自動車乗車中の減少が顕著であり、平成20年には歩行中の死者数を下回った(第1-9図)。

第1-9図 状態別交通事故死者数の推移

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 交通事故負傷者数を状態別にみると、自動車乗車中が58万1人と最も多く、全負傷者数の61.3%を占めており、次いで自転車乗用中が16万2,250人(17.2%)となっている(第1-10図)。

第1-10図 状態別交通事故負傷者数の推移

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(3)状態別・年齢層別の交通事故死者数

 平成20年中の状態別の交通事故死者数を年齢層別にみると、次のような特徴がみられる(第1-11図)。

第1-11図 平成20年中の状態別・年齢層別交通事故死者数

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<1>
自動車乗車中については、65歳以上の高齢者が全体の34.3%と最も多くを占めている。
<2>
自動二輪車乗車中については、16~24歳の若者が全体の32.1%と依然として最も多くを占めている。
<3>
原動機付自転車乗車中の死者数については、65歳以上の高齢者が全体の46.8%と最も多くを占めている。
<4>
自転車乗用中及び歩行中については、65歳以上の高齢者が、それぞれ全体の65.0%、69.2%と最も多くを占めている。
<5>
平成20年中の状態別・年齢層別の交通事故死者数を前年と比較すると、65歳以上の歩行中(154人減)と16~24歳の自動車乗車中(97人減)が特に減少した。その他では、50~59歳の自動車乗車中(67人減)、40~49歳の自動車乗車中(47人減)、25~29歳の自動車乗車中(42人減)等が減少し、逆に40~49歳の自動二輪車乗車中(15人増)、60~64歳の自動二輪車乗車中(10人増)が増加した(第1-12図)。
第1-12図 平成20年中の状態別・年齢層別交通事故死者数(対前年比)
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(4)男女別・状態別の交通事故死者数

 平成20年中の交通事故死者数を男女別にみると、男性は自動車乗車中が36.7%を占め、女性は歩行中が49.4%を占めた。
 10年前と比べると、男女とも減少しているが、男性の減少(46.7%減)が顕著である。状態別でみると、特に自動車乗車中が大きく減少しており、男女ともほぼ半減した(第1-13図)。

第1-13図 男女別・状態別交通事故死者数

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 また、年齢層別にみると、65歳以上の高齢者では女性の歩行中の占める割合が、15歳以下では男性の歩行中の占める割合が高い(第1-14図)。

第1-14図 男女別・状態別交通事故死者数(平成20年)

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(5)飲酒運転による交通事故発生状況

 平成20年中の原付以上運転者(第1当事者)の飲酒運転による交通事故件数は6,219件(構成率0.9%)で、前年と比べると1,339件(17.7%)減少した。交通死亡事故発生件数は305件(構成率6.6%)で、前年と比べると125件(29.1%)減少した(第1-15図)。

第1-15図 原付以上運転者(第1当事者)の飲酒運転による交通事故件数、交通死亡事故件数の推移

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 過去10年間の推移をみると、飲酒運転に対する罰則等が強化された14年以降の減少が顕著であり、さらには、18年9月以降の飲酒運転根絶に対する社会的機運の高まりや、19年9月の飲酒運転の厳罰化等により、20年中の交通死亡事故発生件数は10年前の約4分の1(平成10年に比べ75.9%減)に減少した(第1-15図)。
 また、飲酒運転による交通事故発生件数を月別にみると、18年9月以降の減少が顕著である。(第1-16図)。

第1-16図 飲酒運転による月別交通事故件数

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(6)シートベルト着用の有無別死者数

 平成20年中の自動車乗車中の交通事故死者数をシートベルト着用の有無別にみると、非着用は816人で、前年に比べて185人(18.5%)減少した(第1-17図)。

第1-17図 シートベルト着用の有無別自動車乗車中死者数の推移

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 過去10年間のシートベルト非着用の交通事故死者数を乗車位置別にみると、シートベルト着用者率の向上に伴い、各席とも非着用の交通事故死者数は減少する傾向にある(第1-18図)。

第1-18図 乗車位置別シートベルト非着用者及びシートベルト着用者率の推移

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 平成20年中の自動車乗車中の死傷者をシートベルト着用有無別の致死率でみると、非着用者の致死率は着用者の11.4倍と高くなっている(第1-19図)。

第1-19図 座席位置別・シートベルト着用有無別致死率(平成20年)

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(7)チャイルドシート使用の有無別死傷者数

 平成20年中の6歳未満幼児の自動車同乗中の死者数は、16人(うちチャイルドシート使用は4人)であり、重傷者数は127人であった(第1-20図)。

第1-20図 チャイルドシート使用有無別死者数及び重傷者数の推移

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 6歳未満幼児の自動車同乗中の致死率及び死亡重傷率をみると、チャイルドシートの使用者率の向上に伴い、致死率、死亡重傷率ともに減少する傾向にある(第1-21図)。

第1-21図 チャイルドシート使用者率、致死率及び死亡重傷率の推移

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 平成20年中のチャイルドシート使用有無別の死亡重傷率をみると、正しく使用した場合に比べ、不使用者は3.4倍、不適正使用者は4.1倍であり、致死率をみると、それぞれ19倍、18.5倍となる(第1-22図)。

第1-22図 チャイルドシート使用有無別致死率及び死亡重傷率(平成20年)

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(8)月別、曜日別、昼夜別交通事故発生状況

 平成20年中の交通事故発生状況を月別、曜日別、昼夜別にみると次のとおりである。

月別交通事故発生状況
交通事故発生件数、交通事故死者数ともに12月がピークとなっており、年の後半に多くなる傾向が続いている。また、平成20年中の交通事故死者数は全ての月で前年同月以下となった(第1-23図)。
第1-23図 交通事故死者数及び事故発生件数の月別推移
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曜日別交通死亡事故発生件数
曜日別一日平均交通死亡事故発生件数をみると、土曜日(15.0件)、金曜日(14.4件)、月曜日(14.0件)の順に多い(第1-24図)。
第1-24図 曜日別一日平均死亡事故発生件数
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昼夜別交通事故発生状況
交通事故全体でみると、夜間の発生が約4分の1(26.6%)であったのに対して、交通死亡事故でみると、夜間の発生が、ほぼ半数(49.5%)であった。昼夜別の交通死亡事故発生件数の推移をみると、平成18年までは夜間の発生が昼間の発生を上回っていたが、平成19年からは昼間の発生が上回っている(第1-25図)。
第1-25図 昼夜別死亡事故件数及び交通事故発生件数の推移
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(9)道路形状別交通死亡事故発生件数

 平成20年中の交通死亡事故発生状況を道路形状別にみると、交差点内が最も多く(38.2%)、次いで一般単路(交差点、カーブ、トンネル、踏切等を除いた道路形状をいう。)(33.9%)、カーブ(14.6%)の順になった(第1-26図)。

第1-26図 道路形状別死亡事故発生件数(平成20年)

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(10)第1当事者別の交通死亡事故発生件数

 平成20年中の第1当事者(交通事故の当事者のうち、過失が最も重い者又は過失が同程度の場合は被害が最も軽い者をいう。)の交通死亡事故発生件数を車種別にみると、自家用乗用車(49.3%)及び自家用貨物車(19.6%)で全体の約7割を占めている(第1-27図)。

第1-27図 車種別(第1当事者)死亡事故発生件数(平成20年)

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 法令違反別(第1当事者)で交通死亡事故発生件数をみると、安全運転義務違反が54.8%を占め、中でも漫然運転(14.6%)、脇見運転(13.6%)、運転操作不適(10.3%)が多い(第1-28図)。

第1-28図 法令違反別(第1当事者)死亡事故発生件数(平成20年)

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 自動車運転者が第1当事者となった交通死亡事故発生件数は、減少傾向で推移している。10年前と比較すると、16~24歳の若者は約3分の1に減少したのに対し、65歳以上の高齢者は約1.2倍に増加した(第1-29図)。

第1-29図 自動車(第1当事者)運転者の若者・高齢者別死亡事故発生件数の推移

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(11)事故類型別交通死亡事故発生件数

 平成20年中の交通死亡事故発生件数を事故類型別にみると、車両相互事故が最も多く(46.0%)、以下、人対車両(33.7%)、車両単独(19.6%)の順に多い。さらにその内訳をみると、出会い頭衝突(17.8%)、その他横断中(横断歩道・横断歩道付近以外での横断中)(14.8%)、工作物衝突(12.7%)、正面衝突(11.0%)が多い(第1-30図)。

第1-30図 事故類型別死亡事故発生件数(平成20年)

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3 高速自動車国道等における交通事故発生状況

(1)概況

 高速自動車国道等(高速自動車国道及び指定自動車専用道路(道路交通法第110条第1項の規定により国家公安委員会が指定する自動車専用道路)をいう。以下同じ。)における平成20年中の交通事故発生状況は、交通事故発生件数1万965件(うち交通死亡事故174件)、交通事故死者数193人、交通事故負傷者数1万8,123人であった(第1-31図)。

第1-31図 高速自動車国道等における交通事故発生状況の推移

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 前年と比較すると、交通事故死者数は51人(20.9%)、交通事故負傷者数は2,882人(13.7%)減少した。

(2)死亡事故率

 高速自動車国道等は自動車専用の道路であり、原則として上下線が分離されていることなどから事故率は低く、高速自動車国道についてみれば、平成20年で1億走行台キロ当たりの交通事故発生件数は7.7件である。
 しかし、高速自動車国道等は高速走行となるため、わずかな運転ミスが交通事故に結びつきやすく、事故が発生した場合の被害も大きく、関係車両や死者も多数に及ぶ重大事故に発展することが多い。このため、死亡事故率は、その他の道路の約2.5倍である。

(3)事故類型別及び法令違反別発生状況

 平成20年中の高速自動車国道等における事故類型別交通事故発生状況は、車両相互の事故が事故全体の85.5%、車両単独事故が13.6%で、車両単独事故の割合がその他の道路(4.9%)に比べ高い。
 車両相互の事故では、車線上の停止車への追突が最も多く、次いで走行車への追突の順である。
 車両単独の事故では、防護さく等への衝突が最も多く、次いで中央分離帯への衝突の順である。
 また、平成20年中の高速自動車国道等における法令違反別発生状況をみると、安全運転義務違反が90.3%を占め、前方不注視(40.6%)、動静不注視(22.2%)、安全不確認(10.9%)、ハンドル操作不適(7.1%)が多い。

(4)昼夜別交通事故発生状況

 平成20年中の高速自動車国道等における昼夜別交通事故発生状況をみると、交通事故全体では昼間の発生(70.0%)が夜間の発生(30.0%)を上回っているが、交通死亡事故でみると、夜間の発生(54.0%)が昼間の発生(46.0%)を上回っており、死亡事故率では夜間(2.9%)が昼間(1.0%)の3倍となっている。

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