平成21年度 交通安全施策に関する計画
別添参考
参考-5 平成20年度交通安全ファミリー作文コンクールの最優秀作

別添参考

参考-5 平成20年度交通安全ファミリー作文コンクールの最優秀作

○小学生の部 最優秀作 〈内閣総理大臣賞〉

香川県まんのう町立四条小学校 五年 川原 玄也

「それぞれの立場に立って」

 「交通安全」と言えば、とび出し禁止やシートベルトの着用、脇見運転や飲酒運転、信号無視の禁止等がよく言われる。ぼくは、登下校の時や友達の家へ遊びに行く時、信号をきちんと守ろう、右側を一列で歩こう、自転車の時は左側を走ろう等、色々気をつけてはいるが、まわりの人から見て今のぼくの様子はどうなのだろう。車を運転しているおばあちゃんやお母さん、中学校まで自転車で通っているお姉ちゃん、そして学校まで一緒に歩いている弟、それぞれの立場から「交通安全」についての意見を話してもらった。

 まず、車を運転するおばあちゃんとお母さんからは、
「運転中に車の中でさわがれると、運転に集中できなくてあぶない。」
「高校生がよく音楽をききながら自転車に乗っているが、車が近寄っても気付かないのではないかと思い、こわい。」と言う意見が出た。
いつもぼくが注意されていることだった。
車の中で弟とけんかをすることがよくあり、その度に、「あぶないからやめて。」と言われていることを思い出した。

 次に自転車通学のお姉ちゃんからは、
「何列にもなって歩くのはやめてほしい。」という意見が出た。
細い道等では特に、何列にもなって道をふさがれてしまうと、自転車の通り道がなくて困るとのことだ。

 そして弟からは、
「登校中に友達に話しかけられると困る。」ということと、「班長さんにもっとゆっくり歩いてほしい。」という意見が出た。
友達に話しかけられて、ことわれずに話をしていると、どうしても二列になってしまうので困るということだ。
また、班長が速く歩くと、低学年の弟はついて行けず、つらいらしい。

 最後にぼくの意見は、
「スピードを出し過ぎている車が近くを通るとあぶない。」
「登下校中に二列になって話をしたり、遊びながら歩いている下級生に注意をしても聞いてくれず困る。」ということだ。
この前下校中にスピードを出した車がぼくの近くまで来て、「キーッ」という音をさせて曲がった。すごくこわかった。
また、登下校中の下級生への注意も、どうしたら聞いてもらえるのだろうか、となやんでしまう。

 今回家族で「交通安全」について話し合ったことで、それぞれの立場からの話が聞けて良かった。
これからは自分の意見だけでなく車の人、自転車の人、下級生の思いも頭に入れて生活しなければ、と思った。

 「安全な社会」は一人では作れない。ぼくも社会の一員として責任をもって行動したい。

○中学生の部 最優秀作 〈内閣総理大臣賞〉

青森県弘前市立北辰中学校 二年 相馬 朋宗

飲酒運転のない社会に

 交通事故はとても怖いです。それまで一緒に生活してきた家族が一瞬のうちにいなくなってしまうのです。大切なかけがえのない人が死んでしまうのです……。

 ぼくの姉は今から八年前、中学校一年生でした。バドミントン部で毎日遅くまで練習し、そして勉強も頑張っていました。新人戦の一試合に出られるからと、新しいユニフォームを着て、ぼく達兄弟と一緒に、家中を走り回っていた事を覚えています。

 あれは九月九日のことです。夕方、いつもより帰りの遅い姉を母が心配していた時、電話が鳴りました。
「早容が車にはねられた?どこでですか?状態は!?」
母の顔は青ざめ、声もからだもぶるぶるふるえていました。病院に着き、両親は姉のいる集中治療室に入りました。ぼくと弟は待合所にいました。不安で心配でたまりませんでした。

 それからぼく達の、病院での生活が始まりました。意識の戻らない姉のそばを、一秒も離れる事はできない状態だったので、ICU控え室という部屋で、ろくに寝ることも食べる事もできず、数日を過ごしました。何日たっても意識が戻らない姉、とにかく目を覚ましてほしいと、家族全員で祈っていました。それから六ヶ月間、姉は何度も危険な状態を一生懸命乗り越え、生きる為に頑張っていましたが、意識をとり戻す事なくとうとう亡くなってしまいました。

 姉は優しく、よくぼくと弟の面倒を見てくれました。よく姉の部屋へいたずらをしに行くと、「コラー。」と言って怒りながらも、まだ小さいぼく達の世話をしてくれた姉。何故、姉は死んでしまったのか……。姉は、あの日部活動の帰り道、飲酒運転の車にはねとばされたのです。

 姉をひいた運転手は、その前日から友人と酒を飲み続けていたそうです。姉をはねとばす直前まで姉の姿が見えていなくて、スピードもオーバーし、姉にぶつかって初めて気づいたそうです。そのまま飲酒運転がばれると思い、逃げようと前に進んだけれど、思いとどまったという事でした。

 お酒を飲んだ後、車を運転する事はとても危険だという事を十分知りながら、それをくり返す大人は今もたくさんいます。アルコールは人間の脳を麻痺させ、思考力や判断力を鈍らせて、視界を狭め、身体全部を麻痺させるものです。そのような状態でなぜハンドルを握るのかぼくには理解できません。このくらいなら大丈夫、つかまらなければいい、という安易な気持ちから、何人もの尊い生命が奪われているのです。

 もし家族や知人の中で、少しでもお酒を飲んでその後に車を運転するような人がいたら、絶対やめさせて下さい。本当にやめさせてほしいです。
運転する人はもちろん、周囲にいる一人ひとりが正しい判断をすれば、飲酒運転による事故はなくなるはずです。

 人の命はゲームと違ってリセットできません。これ以上、大切な人の命を簡単に奪わないで下さい。ぼくは心の中でいつもそう思っています。

○一般・高齢者の部 最優秀作

〈内閣総理大臣賞〉

神奈川県横浜市 印南 房吉

「杖で安全に」

 自分で杖をつくようになって道の怖さを知った。一つは横断歩道であり、もう一つは夜道の階段である。歩行者信号があるゼブラゾーンで何が怖いのか不思議に思われるだろうが、車側の信号が青になる刹那、飛び出して来る車が怖い、大体歩行者信号が瞬き始めるとウウンとふかしだすF1レースである。

 「早く行け、このノロノロ野郎!」のいらつきが伝わってくる。尤も途中で信号が赤に変わるタイミングで横断する方にも些かの思いやりが欠けている様な気もする。私は何時も次の青信号を待つ、脚が遅いのは自分が一番よく知っている。目前のバス停でバスの扉が閉まりかけても急がない達観の心境である。時々信号が点滅しても強引に渡ろうとする杖の人を見掛ける、杖を持ったから、高齢だからは特権ではない、事故の大きな要因だろうと思う、心すべきである。

 私が参加している老人会【おげんき会】には杖の人が五人居る。其のひとり中島さんが夜道で転倒、腕を擦り剥いた、杖が小石を踏んだのである。確かに不注意とは云っても「痛いのと転んだのに無性に腹がたった。街灯が暗いせいだと思い込んだのよ」翌日区役所に行き苦情を申し立てた。

 担当者は「あの街灯は規程のものです。だから替えられません。懐中電灯をお持ちになっては」と手慣れた様子で如何にも当たり前の様に云った。
「片手に杖でしょ、片手に電灯で上手く照らせないわよねえ」と余計に腹が立ったそうである。

 早速私も同じ道を歩いてみた。小石だけではない、地面の凸凹、階段に引っ掛かって危ない、気を付けても転ぶ時は転ぶ、如何したら安全に転べるか?ヘルメットと防具をつければ安全だな等変な方向に頭が行った。其の内パッと閃いた《杖を光らせよう》工事現場でよく見かけた安全棒の長いのを作ればいいんだ。やって見た、スターウォーズの戦士だった。一寸大袈裟だな、第一高いや。

 ナニ、杖に懐中電灯を縛り付ければいいんだ。簡単に出来た、歩いた、OKだった。足許が良く見える、此れで転べば仕方が無い、ライトはLED(白色ダイオード5灯)小型で軽くて着脱簡単、安くて電池寿命五十時間。おまけに対向車がスーッと止まった。白い灯りが縦長の輪になって上下するんでなんだろうかと止まったのだった。
運転手さん曰く「イイね、それいいよ、遠くから幽霊みたいだよ」予想しなかったがこれで一段と安全が確認された。暗い横断歩道も安全性が増す。

 杖ばかりか、車椅子、シルバーカーからベビーカーにも有効だなと同行五名頷いた。

 《安全は自分で守れ》そして《安全も工夫から》に一同頷いた。

目次 | 前へ | 参考-6 交通安全に関する財政措置