平成21年度 交通事故の状況及び交通安全施策の現況 平成22年度 交通安全施策に関する計画(概要)
トピック
新交通ビジョンを踏まえた海上交通の安全確保のための制度改正
トピック
新交通ビジョンを踏まえた海上交通の安全確保のための制度改正
港則法及び海上交通安全法の一部を改正する法律が、平成21年6月26日に成立し、同年7月3日公布された。
1 制度改正の背景
今回の改正は、我が国の海難発生隻数が減少することなく推移しており、船舶交通のふくそうする海域においても重大な海難が後を絶たない状況であることや、リアルタイムで船名や針路等の情報の把握が可能となるAIS(船舶自動識別装置)の普及といった海上交通に係る環境の変化を踏まえ、船舶交通の安全性の向上を図ることを目的として行われたものである。
2 制度改正の概要
(1)ふくそう海域での主な制度改正
○全航路に共通した航法
- 一定の航路の区間において、他の船舶を追い越してはならないこととするとともに、航路における船舶の航行に危険を生ずるおそれがある場合に、船舶に対し、危険を防止するため必要な間航路外で待機すべき旨を指示することができることとする。
- 航路以外の船舶交通の整理を行う必要がある海域における船舶の安全な航行に適する経路を指定することができることとする。
○各航路における航法
来島海峡航路における最低速力の設定、転流前後における特別な航法の指示、航路への入航前における通報の義務付け等の措置を講ずる。
○危険防止のための航行援助
航路等を航行する一定の船舶に対して、当該航路等を安全に航行するために必要な情報を提供し、船舶においてはこれを聴取しなければならないこととするとともに、これらの船舶に対し、航法の遵守や危険防止のために必要な措置を講ずべきことを勧告し、勧告に基づき講じた措置の報告を船舶から求めることができることとする。
○航路における船舶交通の整理
航路を航行するための事前通報の対象船舶を拡大する。
○その他の施策
危険防止のための交通制限等の設定手続の迅速化、航路への出入り又は航路の横断の際に進路を知らせるための手段の追加等の措置を講ずる。
(2)港内での主な制度改正
○効率的な港内の交通整理の手法の導入
船舶の長さに応じた効率的な港内の交通整理の手法の導入に伴い、港内の特定の水路を航行するための事前の通報を行うべき船舶の基準に船舶の長さを追加する等の措置を講ずる。
○異常な気象等の場合の危険防止のための命令等
異常な気象や海象時等における港内の船舶交通の危険を防止するため、船舶に対して、停泊の場所及び方法の指定、港内からの退去等を命ずることができることとする等の措置を講ずる。
3 新制度の施行に向けた取組
新制度の施行に向けては、平成21年11月に、新たな航法を設定する海域や対象とする船舶の大きさ等改正法の施行に向けた基本的な考え方について、交通政策審議会の答申が取りまとめられたところであり、今後、これらについて定めた港則法施行規則等の一部を改正する省令を公布するとともに、平成22年7月の施行に向けて、円滑に制度を移行できるよう、改正事項を分かりやすく説明したパンフレット等を作成し、十分な周知を行い、新制度の適切な実施を図っていくこととしている。