交通安全白書の刊行に当たって

荒井聰大臣の顔写真等を記載しています

内閣府特命担当大臣

中央交通安全対策会議交通対策本部長

荒井聰

 平成21年は、道路交通事故の発生から24時間以内に亡くなられた方が4,914人となり、過去最悪であった昭和45年の3割以下にまで減少するとともに、死傷者数についても10年ぶりに100万人以下となった前年を更に下回りました。
 しかしながら、いまだに多くの方が交通事故で死傷されていることは、憂慮すべきことです。このため、今年1月に、平成30年を目途に、更に交通事故死者数を半減させ、2,500人以下とし、世界一安全な道路交通の実現を目指すという目標を掲げたところです。
 政府としましては、この目標の達成に向け、地方公共団体、関係民間団体及び地域の方々と力を合わせ、現下の交通事故情勢にかんがみて喫緊の課題である高齢者、歩行者及び自転車の交通安全対策を始め、飲酒運転の根絶、交通安全教育の推進、安全かつ円滑な道路交通環境の整備などの交通安全施策を一層強力に推進してまいります。
 さらに、鉄道、海上及び航空の各分野においては、ひとたび事故やトラブルが発生した場合には重大な事故となるおそれが常にあることから、施設整備や制度改正等の様々な取組がなされています。
 本年の白書においては、陸上、海上及び航空の分野ごとに、交通事故の状況と平成21年度における各種施策の実施状況について報告するとともに、平成22年度に取り組む交通安全施策に係る計画について記述しています。
 人の命は何ものにも代えがたいものです。「いのちを守る」を理念に掲げ、究極的には交通事故のない社会を目指していかなければなりません。このためには、国民の皆様に、交通安全に関する理解と関心を深めていただくことが大切です。本書が広く利用され、悲惨な交通事故の根絶に向けた取組の一助となることを願ってやみません。

平成22年7月

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