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高度な情報通信技術を活用した交通安全確保のための取組について
最先端の情報通信技術等を用いて交通安全を確保する取組として,高度道路交通システム(ITS)の活用が推進されており,平成25年6月に閣議決定された我が国のIT戦略である「世界最先端IT国家創造宣言」においても,道路交通分野として「世界で最も安全で環境にやさしく経済的な道路交通社会の実現」を目標とすることとし,「府省横断的なロードマップを策定するとともに,推進体制を構築し,高度運転支援技術・自動走行システムの開発・実用化等を推進する。」としている。「具体的には,現在,官民で取り組んでいる安全運転支援システムの早期実用化に向けた一層の加速」や,「安全運転支援,渋滞対策,災害対策等に有効となる交通情報の集約・配信に係る取組等を進める」とし,「これらの取組などにより2018年を目途に交通事故死者数を2,500人以下とし,2020年までには,世界で最も安全な道路交通社会を実現するとともに,交通渋滞を大幅に削減する。」としているところである。
このようなことを踏まえて,平成25年度は,ITS世界会議東京2013における協調型ITSの公道上の体験ショーケースと,官民が一体となって取り組むべき方向とその具体的なロードマップとして「官民ITS構想・ロードマップ」の策定に取り組んだ。
ITS世界会議東京2013での取組
9年ぶりに日本においてITS世界会議東京2013が,平成25年10月15日から18日まで東京ビッグサイトで開催された。その中で日本全体のITSの取組として,日本の官民が協力し,協調型ITSシステムで交通問題解決等に取組む活動を「ITS GREEN SAFETY」と称して推進するとともに,協調型ITSの5プロジェクト(図1)を,公道上で体験できるショーケース(ITS GREEN SAFETY SHOWCASE)として実施し,日本のITSを国内外にアピールした。
<ITS GREEN SAFETY SHOWCASE>
- 次世代DSSS※(I2V:Infrastructure-to-Vehicle)
- 通信利用型先進安全自動車(V2V:Vehicle-to-Vehicle,V2P:Vehicle-to-Pedestrian)
- ITSスポットサービス(I2V)
- 高速道路サグ部の交通円滑化サービス(I2V,V2V)
- モバイル通信とITSスポットの協調サービス(I2V)
「官民ITS構想・ロードマップ」の策定
「世界最先端IT国家創造宣言工程表」(平成25年6月IT総合戦略本部決定)では「10~20年程度の目標を設定した官民ITS構想・ロードマップの検討を行い,官民ITS構想・ロードマップを策定する。」としており,新戦略推進専門調査会の下に道路交通分科会を設置し,平成25年度は「官民ITS構想・ロードマップ」の策定に向けて議論を行った。
「官民ITS構想・ロードマップ」では,交通事故削減,交通渋滞緩和,高齢者等の移動支援等の観点から,世界一のITSを構築するための目標を設定する方針を明確化(図2)するとともに,昨今,世界で議論が進められている自動走行システムの各レベルについても市場化期待時期(表1)を設定した。
本「官民ITS構想・ロードマップ」は平成26年3月24日の第4回新戦略推進専門調査会にて策定され,平成26年6月頃を目途にIT総合戦略本部にて決定する予定。今後,本「官民ITS構想・ロードマップ」に記載された各種施策の推進と,平成26年度に引き続き検討すべき課題について検討を進めていく。
レベル | 実現が見込まれる技術 | 市場化期待時期 | (参考)欧州等の目標時期 |
---|---|---|---|
レベル2 | ・追従・追尾システム | 2010年代半ば | 2013年~2015年 |
・衝突回避のためのステアリング | 2017年~2018年 | ||
・複数レーンでの自動走行等 | 2017年 | 2016年 | |
レベル3 | ・自動合流等 | 2020年代前半 | 2020年 |
レベル4 | ・完全自動走行 | 2020年代後半以降(注) | 2025年~28年(高速道路) 2027年~30年(都市域) |
【政府ホームページ掲載先】
第4回新戦略推進専門調査会で決定した「官民ITS構想・ロードマップ」については,下記ホームページに掲載している。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon/dai4/siryou4-2.pdf(PDF形式)