I 現況の概要

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第1編 陸上交通

第1部 道路交通

第1章 道路交通事故の動向

1 道路交通事故の長期的推移
交通事故死者数は,14年連続で減少。
道路交通事故の長期的推移のグラフ
【交通事故死者数(24時間死者数),交通事故発生件数,負傷者数の推移】
交通事故死者数(24時間死者数),交通事故発生件数,負傷者数の推移
2 平成26年中の道路交通事故の状況
●概況
平成26年中の道路交通事故の状況

交通事故死者数の減少幅は縮小傾向にあり,交通事故死者数全体に占める65歳以上の高齢者の割合が高い水準で推移している。

また,死者数の指標となる致死率についても2年連続で上昇に転じ,死者数が減りにくい状況となっており交通事故情勢は厳しい状況にある。

 死者数の減少幅が縮小している背景としては,「高齢者人口の増加」,「シートベルト着用者率等の頭打ち」,「飲酒運転による交通事故の下げ止まり」を挙げることができる。

  1. 要因<1>:高齢者人口の増加 高齢者及び高齢者以外の死者数の推移
  2. 要因<2>:シートベルト着用者率等の頭打ち シートベルト着用者率等の推移
  3. 要因<3>:飲酒運転による交通事故の下げ止まり 飲酒運転による交通事故の構成率及び死者数の推移
●年齢層別交通事故死者数及び負傷者数
  1. <1> 死者数は,65歳以上の高齢者(2,193人)が最も多く,次いで50~59歳(411人),40~49歳(381人)の順に多い。
    高齢者の死者数は前年に比べ減少(前年比-110人,-4.8%)したものの,死者数のうち高齢者の死者数が占める割合は53.3%と過去最高となった。
  2. <2> 負傷者数は,30~39歳(12万9,751人)と40~49歳(12万9,064人)の年齢層が多く,両者で全体の36.3%を占めている。前年と比べると,全ての年齢層で減少し,その中でも30~39歳(1万4,207人減)と16~24歳(1万3,449人減)の年齢層が特に減少した。
年齢層別交通事故死者数の推移 年齢層別交通事故負傷者数の推移
●状態別交通事故死者数及び負傷者数
  1. <1> 死者数は,歩行中(1,498人)が最も多く,次いで自動車乗車中(1,370人)となっており,両者で全体の69.7%を占めている。
  2. <2> 負傷者数は,自動車乗車中が46万6,769人と最も多く,全負傷者数の65.6%を占めており,次いで自転車乗用中が10万7,998人(15.2%)となっている。
状態別交通事故死者数の推移 状態別交通事故負傷者数の推移
●状態別・年齢層別交通事故死者数

平成26年中の状態別の交通事故死者数を年齢層別にみると,次のような特徴がみられる。

  1. <1> 歩行中(71.0%),自転車乗用中(63.9%),原動機付自転車乗車中(51.8%)及び自動車乗車中(43.8%)の4つの状態別で,65歳以上の高齢者が最も多くを占めており,中でも歩行中及び自転車乗用中については,極めて高い割合となっている。なお,人口100万人当たりでも,4つの状態別で65歳以上の高齢者が最も多い。
  2. <2> 自動二輪車乗車中については,40~49歳の年齢層が全体の24.7%と最も多くを占めているが,人口100万人当たりでは16~24歳の年齢層が最も多い。
平成26年中の状態別・年齢層別交通事故死者数
●シートベルト着用の有無別死者数
  1. <1> 平成26年中の自動車乗車中の交通事故死者数をシートベルト着用の有無別にみると,非着用は605人で,前年に比べて54人(8.2%)減少した。
  2. <2> 非着用者の致死率(死傷者数に占める死者数の割合)は,着用者の致死率の14.3倍と高くなっている。
シートベルト着用の有無別自動車乗車中死者数の推移
●チャイルドシート着用の有無別死者数
  1. <1> 6歳未満幼児の自動車同乗中の死者数は,9人(うちチャイルドシート使用は3人)であり,重傷者数は90人であった。
  2. <2> 6歳未満幼児のチャイルドシート使用有無別の死亡重傷率をみると,正しく使用した場合に比べ,不使用者は2.7倍,不適正使用者は6.0倍と高くなっている。
チャイルドシート使用有無別死者数及び重傷者数の推移 チャイルドシート使用有無別致死率及び死亡重傷率(平成26年)
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