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自転車の安全利用について
自転車が関連する交通事故は全交通事故の約2割を占めるとともに,これらの事故で自転車運転者に何らかの法令違反が認められる割合は5分の3以上となっている。
警察では,地方公共団体,学校,自転車関係事業者等と連携し,「交通の方法に関する教則」や「自転車安全利用五則」を活用するなどして,全ての年齢層の自転車利用者に対して,自転車の通行ルール等の周知に努めている。
また,道路交通法の改正に伴い,交通に危険を及ぼす違反行為を反復して行う自転車運転者に対しては,自転車の運転による交通の危険を防止するための講習(自転車運転者講習)の受講を義務付ける制度を,平成27年6月から導入することとしている。
交通安全フォーラムの開催について
- 内閣府では,地域の交通事情に詳しい学識経験者や交通安全に関わる方々を招いて,当該地域における交通安全対策に関する講演やパネルディスカッションを行う「交通安全フォーラム」を開催している。
- 平成26年度は,11月18日に岡山県・岡山市と共催の下,『自転車の安全利用について-人と街にやさしい交通環境の創出-』をテーマに,岡山コンベンションセンター・コンベンションホールで開催し,約700人の参加があった。
- 同フォーラムでは,基調講演やパネルディスカッションを通じ,様々な立場の有識者から自転車走行空間の整備や自転車利用のルール・マナーの更なる啓発に関する提言があり,自転車の安全な利用促進が呼び掛けられた。
基調講演及びパネルディスカッションの提言内容
○基調講演
岡山大学大学院准教授の橋本成仁氏より,自転車は環境にやさしいだけではなく,空間効率に優れた乗り物で,自転車の利用促進のためには,ハード面として住宅地から幹線道路も含めて,全体を一連の安全な空間として作ることが重要だが,物理的に分離された自転車道路を作るのは難しいので,道路を色分けして自転車レーンを確保することが整備の中心になる。また,ソフト面として自転車利用者は左側通行をするなど交通ルールを守るといったことも重要で,ハードとソフト両面からの取組により自転車の利用環境向上を図る必要があるとの提言がなされた。
○パネルディスカッション
橋本氏のコーディネートの下,岡山県警察本部交通部統括参事官・交通企画課長の加藤章氏,山陽放送アナウンサーの国司憲一郎氏,岡山市立京山中学校校長の徳山順子氏,岡山市都市整備局街路交通課自転車先進都市推進担当課長の平澤重之氏に参加いただき,「自転車の安全利用について」をテーマに議論いただいた。
通学路の交通安全の確保に向けた今後の取組
通学路の交通安全の確保に向けた今後の取組を着実かつ効果的に実施するために必要と考える基本的な進め方を文部科学省,国土交通省,警察庁で取りまとめた。
加藤氏からは,
- 自転車は道路交通法上,「車両」に分類され,信号無視や一時不停止等といった違反をすればペナルティの対象となるので交通ルールを守ることが重要
- 自転車で事故を起こした場合,民事責任で損害賠償を求められることもあるので年に1回,自転車安全整備店で整備を受けて,傷害保険と賠償責任保険もセットされている「TSマーク」を貼付することが大切
国司氏からは,
- 自転車先進国オランダでは,自転車専用道が町中から田舎まで整備され,駐輪場も数多く設置されており,自転車に配慮した交通環境が整えられている
- 岡山でも積極的に環境整備が進められているが,比較的なだらかな山間部の川沿いに土日限定でもいいので専用道をつくりイベントを開催すれば自転車の利用促進が図られるのではないか
徳山氏からは,
- 自転車通学の生徒に,「はひふへほ」(走る場所を考えよう,広がらない,ふざけない・危険な乗り方をしない,ヘルメットをかぶろう,本当にあった自転車事故・多額の賠償金の話)で安全運転を指導している
- 学校では自転車の安全利用を呼びかけるチラシを作っているが,生徒自身の交通マナーを見直すきっかけになっている
平澤氏からは,
- 岡山市は路肩への自転車レーンの新設や歩道上の放置自転車をなくすために路上駐輪場を整備するなど,自転車利用者の環境整備を積極的に進めている
- 自転車は「回遊性」を高める重要なツールと考えており,「ももちゃり」(どこでも借りることができ,どこでも返せるコミュニティサイクル)の活用でまちのにぎわい創出を推進している
といった貴重な意見,提言が示されるなど活発に議論いただいた。