トピックス
北陸自動車道における高速バス事故への対応について
平成26年3月3日未明,北陸道上り線の小矢部川SAにおいて,高速乗合バスが停車中の大型トラックに衝突し,乗客・乗員2名が死亡,乗客や衝突されたトラック運転者等の合計26名が重軽傷を負うという重大な事故が発生した。
国土交通省は,事故直後に「事故対策本部」を設置して情報収集を行うとともに,被害者相談窓口において,被害者の方々からの相談・要望に真摯に対応した。
また,本事故については,事故発生前に運転者が意識を消失していた可能性もあったことから,対策本部において運転者の体調急変に伴う事故を防止するために想定される課題等の検討を行い,平成26年4月18日に,従来からの運転者の健康管理に係る施策を見直し,「運転者の体調急変に伴うバス事故を防止するための対策」を策定するとともに,ゴールデンウィークの期間における高速乗合バスの全国一斉点検等の対策を実施した。
同対策には,<1>平時からの疾病や過労の未然防止,<2>運行前点呼時の予兆把握と対処,<3>万が一の場合にも安全技術等により乗客の安全確保を図るための方策等について,ソフト・ハード両面からの措置が盛り込まれている。また,同対策の一環として,「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」を改訂し,健康診断のフォローアップの徹底やきめ細やかな労務管理の徹底等を盛り込み,運行の現場を含めた関係者への浸透・徹底を図っている。
これらの施策により,バス事業のより一層の安全性向上及び信頼の回復に向け,取り組んでいく。
◆「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」(平成26年4月18日改訂)のポイント
- 定期健康診断による疾病の把握
定期健康診断において,要再検査や要精密検査,要治療の所見がある場合には,当該運転者に医師の診断または治療させ,その結果(医師からの乗務に係る意見)を把握する。
- 就業上の措置の決定
上記1における医師からの意見等を勘案し,当該運転者における就業上の措置(業務負担の軽減,業務転換,乗務の継続/中止等の措置)を講じる。
乗務の軽減や転換などの措置を行った場合には,当該運転者に対して,医師等による改善指導又は保健指導を受けさせ,健康状態を継続的に把握する。
- 乗務前点呼における乗務判断
乗務前の点呼において,事業用自動車の運転者の健康管理マニュアルに定められている判断目安に基づき,運転者が安全に乗務できる健康状態かどうかを判断し,乗務の可否を決定する。
- 乗務中の判断・対処
乗務中に,自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある一定の病気等に係る前兆や自覚症状等が現れた場合には,運転者は無理に運転を継続せずに,近くの駐車場やサービスエリア・パーキングエリア等にて休憩を取り,速やかに運行管理者等に報告するよう指導する。
実際に体調が悪化した場合,または,急を要する脳・心臓疾患の前兆や自覚症状が現れた場合には,即座に運転を中止し,車両を安全な場所に停車させるなどして安全を確保し,速やかに運行管理者等に報告するよう指導する。
- 平時からの健康増進
上記4点のほか,運転者の疾病の発症や健康状態の悪化につながる過労等をできるだけ引き起こさないためには,産業医やヘルスケア機器,各種スクリーニング検査等を活用した健康状態の確認と,働く人それぞれの状況に応じたきめ細やかな労務管理に努める。
また,運転者が自主的に疾病・過労を申告し,安心して治療し現場復帰できるような社内環境・雇用環境の整備に努める。
【政府ホームページ掲載先】
北陸自動車道高速バス事故を受けた対策については,下記ホームページに掲載している。
http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000163.html