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予防安全性能アセスメントの開始について
国土交通省では独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)と協力して,公正中立な立場で,自動車の衝突試験に基づく車種別衝突安全性能評価を行っており,その評価結果は「自動車アセスメント」として国土交通省及びNASVAのホームページやパンフレット等により公表され,ユーザーによる安全な自動車の選択や,メーカーによる安全性能の高い自動車の開発を促進している。
近年,我が国の交通事故死傷者数は減少傾向にあるものの,依然として深刻な状況が続いている。第9次交通安全基本計画において,<1>平成27年までに24時間死者数を3,000人以下とし,世界一安全な道路交通を実現する,<2>平成27年までに死傷者数を70万人以下にする,との目標を掲げているが,車両安全対策としてこれまで交通事故死傷者数の低減に効果を発揮してきた衝突時の被害軽減技術だけでは,目標とする交通事故死傷者数の削減達成は難しいと考えられる。近年は高齢者が第一当事者となる事故数が増えており,また,歩行中の死者数における65歳以上の割合が70%を占めるなど,高齢化社会特有の課題に直面している。これらの対策には,衝突被害軽減制動制御装置(いわゆる自動ブレーキ)を代表とする,未然に衝突を回避又は衝突被害を軽減する予防安全技術の普及が不可欠である。
そのため,新たな取組として,これまでの衝突安全性能を中心とした自動車アセスメントに加えて,予防安全技術の性能評価を「予防安全性能アセスメント」として実施することとし,まず,衝突被害軽減制動制御装置(AEBS:Advanced Emergency Braking System)[対車両]と車線逸脱警報装置(LDWS:Lane Departure Warning System)の試験及び評価を平成26年度から開始した。
例えば,AEBSについては,日本の事故実態を考慮して,前方の模擬車両(ターゲット)が停止状態と定速走行(時速20キロメートル)状態の2つの条件の下,AEBSと衝突警報装置(FCWS:Forward Collision Warning System)を対象に試験及び評価を行っている。さらに,FCWSは運転者への警報と緊急時のブレーキ補助機能の組み合わせによる回避・被害軽減効果についても試験及び評価を行っている。
さらに、FCWSは運転者への警報と緊急時のブレーキ補助機能の組み合わせによる回避・被害軽減効果についても試験及び評価を行っている。
これらの試験方法により予防安全技術の性能評価を初めて実施した平成26年度前期(26年4月~10月)の結果においては,全ての車種に一定の安全性能が認められた。しかしながら,AEBSに現在用いられている3種類の検出技術にはそれぞれ特徴があり,速度域に応じた性能の違いも見受けられた。予防安全性能アセスメントの結果については,NASVAホームページに掲載している。
評価結果の初公表日には,通常の10倍のホームページアクセスがあり,メーカーも広報活動に予防安全性能評価結果を積極的に使用するなど,予防安全性能に関する関心が大きく高まっている。
今後,交通事故死傷者数の更なる低減と世界一安全な道路交通の実現に向け,予防安全技術の高度化と信頼性の向上を図る必要があり,予防安全性能アセスメントは非常に重要な役割を担うこととなる。
【政府ホームページ掲載先】
予防安全アセスメントの開始については、下記ホームページに掲載している。
http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000164.html