平成26年度 交通事故の状況及び交通安全施策の現況
第1編 陸上交通
第2部 鉄道交通
第2章 鉄道交通安全施策の現況
第3節 鉄道の安全な運行の確保
1 運転士の資質の保持
動力車操縦者の資質の確保を図るため,動力車操縦者運転免許試験を適正に実施した。また,乗務員の資質が保持されるよう,運転管理者が教育等について適切に措置を講ずるよう指導した。
2 リスク情報の分析・活用
重大な列車事故を未然に防止するため,リスク情報を関係者間において共有できるよう,インシデント等の情報収集を行っている。さらに,国への報告対象となっていないリスク情報について,鉄道事業者による情報共有化を図っている。
3 気象情報等の充実
鉄道交通に影響を及ぼす自然現象について,的確な実況監視を行い,適時・適切に予報・警報等を発表・伝達して,事故の防止及び被害の軽減に努めるとともに,これらの情報の内容の充実と効果的利用を図るため,第1編第1部第2章第3節7(3)で述べた施策を講じた。また,地震発生時に走行中の列車を減速・緊急停止等させることにより列車転覆等の被害の防止に活用されるよう,鉄道事業者等に対し,緊急地震速報の提供を行っている。
4 鉄道事業者に対する保安監査等の実施
(1)保安監査等の充実
鉄道の安全運行を確保するため,鉄道事業法(昭61法92)等に基づき,鉄道事業者等に対し保安監査を実施した。平成25年度は45事業者に対して計60回実施し,輸送の安全確保の取組,施設及び車両の保守管理,運転取扱い,乗務員等に対する教育訓練等について30事業者に対して文書による行政指導を計31件行い,改善を求めた。また,年末年始の輸送等安全総点検を実施し,鉄道事業者等の安全意識の向上を図った。
(2)運輸安全マネジメント制度の充実
平成18年10月より導入した「運輸安全マネジメント制度」により,事業者が経営トップの主体的な関与の下,現場を含む組織が一丸となって安全管理体制を構築し,国がその実施状況を確認する運輸安全マネジメント評価を26年12月末までに延べ1,101者に対して実施し,昨年に比べ81回増加した。
5 大規模な事故等が発生した場合の適切な対応
国及び鉄道事業者における,夜間・休日の緊急連絡体制を点検・確認し,大規模な事故又は災害が発生した際に,迅速かつ的確な情報の収集・連絡を行った。
また,大都市圏,幹線交通における輸送障害等の社会的影響を軽減するため,鉄道事業者に対し,乗客への適切な情報提供を行うとともに,迅速な復旧に必要な体制を整備するよう指導した。
さらに,東日本大震災における,津波発生時の避難誘導などの状況を検証するとともに,南海トラフ巨大地震等による最大クラスの津波からの避難の基本的な考え方(素早い避難が最も有効かつ重要な対策であること等)を踏まえた津波発生時における鉄道旅客の安全確保への対応方針と具体例等を取りまとめ,鉄道事業者における取組を推進している。