平成26年度 交通事故の状況及び交通安全施策の現況

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第3編 航空交通

第2章 航空交通安全施策の現況

第7節 防衛省における航空交通安全施策

防衛省は,航空交通の安全を確保するため,航空法(昭27法231)の規定の一部が適用を除外されている自衛隊が使用する航空機,自衛隊の航空機に乗り組んで運航に従事する者,自衛隊が設置する飛行場等について基準を定めるなど必要な措置を講じている。

また,自衛隊において航空事故が発生した場合には,専門的な事故調査委員会等において徹底的な原因究明を行った後,調査結果を踏まえ所要の再発防止対策を実施している。

なお,事故防止策の強化の観点から,飛行隊長等に対する補職前の安全教育の充実に取り組んでいる。


1 航空機の運航・整備

自衛隊が使用する航空機の運航に関しては,異常接近防止,燃料の携行量,航空機の灯火等に関する事項を訓令等によって規定して,航空従事者にこれを遵守,励行させているほか,安全意識の高揚と飛行安全に関する知識の向上に資するため,飛行安全に関する教育の実施及び資料の配布,安全監察の実施等を通じて航空交通の安全の確保に努めている。特に,異常接近を防止するため,訓練/試験空域において訓練飛行等を実施するに当たっては,航空警戒管制部隊が監視及び助言を行っている。

また,限られた空域を安全かつ有効に利用するため,国土交通省航空交通管理センターに自衛官を派遣し,自衛隊が訓練/試験空域を使用していない場合に民間航空機の通過を可能とする運用を実施するほか,時間差を利用して訓練/試験空域と航空路等の空域の分離を図る,いわゆる時間分離方式による運用を実施しているが,それらの運用に当たっては,レーダー及び自動化された航空情報処理システムの活用,空域調整官の配置等により,航空交通の安全の確保に万全を期している。

防衛省における航空機の整備は,技能証明を有する整備士が所定の整備基準を厳格に遵守して行っており,また,随時,安全監察及び品質管理調査を実施して万全を期している。


2 航空従事者

自衛隊が使用する航空機には,自衛隊の航空機に乗り組んで運航に従事することができる航空従事者技能証明(以下,「技能証明」という。)及び計器飛行証明を受けている者を乗り組ませている。技能証明は12種類に区分されており,技能に応じて乗り組むことができる航空機の種類,等級及び型式を限定している。また,計器飛行証明も技能に応じて2種類に分けている。

これらの技能証明及び計器飛行証明を取得するためには,学校等における所定の教育を修了していることを要件としており,また,技能証明及び計器飛行証明を付与した後においても,常時,教育訓練を実施し,航空従事者としての知識及び技能の向上を図っているほか,航空関係の規定に違反する行為があった場合,身体的適性に疑いが生じた場合等には,技能証明及び計器飛行証明の取消しや効力の停止等の措置を講じ,技能水準の保持及び航空事故の防止に努めている。

また,自衛隊の使用する航空機に乗り組んで運航に従事する者の教育訓練の充実を図るため,フライトシミュレーターの整備等を進めている。


3 飛行場及び航空保安施設等

自衛隊が設置する飛行場及び航空保安施設等については,航空法に準拠して,設置及び管理に関する基準を訓令で定めている。

航空交通管制施設の整備としては,大湊飛行場,八戸飛行場,入間飛行場及び厚木飛行場の着陸誘導管制装置の換装並びに霞の目飛行場及び入間飛行場の飛行場管制装置の換装を実施している。また,航空保安無線施設の整備としては,入間飛行場,厚木飛行場,木更津飛行場,館山飛行場,徳島飛行場,築城飛行場,目達原飛行場及び南鳥島のタカン装置の整備等安全上の措置を進めている。


4 飛行点検の実施

飛行の安全を維持し,効率的な航空交通管制を行うためには,航空保安無線施設等が航空交通の実情に適合し,かつ,常に正しく機能していることが必要である。このため,自衛隊が設置及び管理している航空保安無線施設等については,飛行点検機を使用し実際の飛行状態に即した機能状態の点検を行い,その結果を評価及び判定している。


※ 航空保安無線施設等
電波又は灯火により航空機の航行を援助するための施設。

5 救助救難体制

航空機の捜索救難のために,主要飛行場に救難捜索機(U‒125A),救難ヘリコプター(UH‒60J)及び救難飛行艇(US‒1A,US‒2)等を配備している。

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