交通安全白書の刊行に当たって

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加藤勝信内閣府特命担当大臣写真

内閣府特命担当大臣
中央交通安全対策会議交通対策本部長

加藤勝信内閣府特命担当大臣サイン

交通安全白書は,昭和45年に施行された「交通安全対策基本法」に基づき,毎年国会に提出している年次報告です。今回は昭和46年から数え,第46回目となります。

平成27年中に道路交通事故の発生から24時間以内に亡くなられた方は,前年より4人多い4,117人であり,15年ぶりに増加しました。死亡事故の状況を見ると,高齢化が進む中,交通事故死者数全体に占める高齢者の割合は,過去最高を更新しています。また,漫然運転,脇見運転等の安全運転義務違反に起因するものが依然として多く,死亡事故全体に占める割合が高くなっています。

こうした中,政府は,本年3月に第10次交通安全基本計画を決定し,各種の交通安全施策を一層強力に推進することにより,計画期間の最終年である平成32年までに, 道路交通事故の発生から24時間以内に亡くなる方の数を2,500人以下とすることなどの新たな目標を定めました。

本年の白書では,今次の計画を踏まえ,「道路交通における新たな目標への挑戦」と題した特集を設けました。特集では,目標の達成に向けて,これまで実施してきた施策の深化はもとより,交通事故死者数に占める高齢者の割合の増加や,安全運転義務違反に起因する死亡事故の割合が高いことなどへの対応策を打ち出しています。例えば、安全運転支援システムを始めとする先端技術の活用,様々な情報を活用したきめ細かな対策の推進,地域住民の皆様の交通安全対策への主体的な参加・協働の促進等に取り組むべきことについて記載しています。

交通事故の防止は,国を挙げて取り組むべき重要な課題であり、人命尊重の理念に基づき,究極的には交通事故のない社会を目指していかなければなりません。国民の皆様に交通安全に関する理解と関心を深めていただくためにも,本書が多くの方々に利用され,悲惨な交通事故の根絶に向けた取組の一助となることを願っております。

平成28年6月

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