第1部 陸上交通の安全についての施策 第1章 道路交通の安全についての施策
第3節 安全運転の確保

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安全運転を確保するためには,運転者の能力や資質の向上を図ることが必要であり,このため,運転者のみならず,これから運転免許を取得しようとする者までを含めた運転者教育等の充実に努める。特に,今後大幅に増加することが予想される高齢運転者に対する教育等の充実を図る。運転免許制度については,最近の交通情勢を踏まえて必要な改善を図る。

また,運転者に対して,運転者教育,安全運転管理者による指導,その他広報啓発等により,横断歩道においては歩行者が優先であることを含め,高齢者や障害者,子供を始めとする歩行者や自転車に対する保護意識の高揚を図る。

さらに,高齢運転者対策として,一定の違反行為をした75歳以上の高齢運転者に対する臨時認知機能検査及び,同検査で認知機能の低下が自動車等の運転に支障を及ぼすおそれがあると判断された者に対する臨時高齢者講習を導入すること等や,貨物自動車に係る交通事故防止対策として,車両総重量3.5トン以上7.5トン未満の自動車を運転するための準中型免許を新設し,同免許については18歳から取得することを可能とすること等を内容とする「道路交通法の一部を改正する法律」(平27法40)が平成27年6月に公布され,平成29年6月までに施行することとされているところ,その円滑な施行に向けた計画的な準備作業を行う。

今後の自動車運送事業の変化を見据え,企業・事業所等が交通安全に果たすべき役割と責任を重視し,企業・事業所等の自主的な安全運転管理対策の推進及び安全対策の充実を図るとともに,関係機関とも連携の上,交通労働災害防止のためのガイドラインの普及等を図るための取組を進める。加えて,全国交通安全運動や年末年始の輸送等安全総点検なども活用し,安全対策を推進する。また,平成28年1月15日に発生した軽井沢スキーバス事故を踏まえ,規制緩和後の貸切バス事業者の大幅な増加と監査要員体制,人口減少・高齢化に伴うバス運転者の不足等の構造的な問題を踏まえつつ徹底的に再発防止策について検討し,結論の得られたものから速やかに実施する。

また,事業者が社内一丸となった安全管理体制を構築・改善し,国がその実施状況を確認する運輸安全マネジメント制度については,評価対象事業者を従来拡大してきたところ,今後はさらに制度の実効性向上を図るとともに,そのコンセプトを全ての事業者へ普及することを目指すなど,充実強化を図る。

また,道路交通の安全に影響を及ぼす自然現象等に関する適時・適切な情報提供を実施するため,IT等を活用しつつ,道路交通に関連する総合的な情報提供の充実を図る。

道路交通に影響を及ぼす自然現象について,平成28年度においては,これまでに実施していた施策に加え,次の施策を実施する。

平成27年7月7日に開始した静止気象衛星「ひまわり8号」の運用を継続する。「ひまわり9号」については,整備を進め,28年度に打ち上げる。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震による甚大な津波被害を踏まえて改善した津波警報等の運用を確実に行い,迅速かつ的確な津波警報等の発表に努めるとともに,新しい津波警報等の内容について,周知・広報を図る。また,緊急地震速報について,周知・広報の取組を推進するとともにより一層の精度向上を図る。火山については,全国110の活火山において,火山活動の監視・評価の結果に基づき噴火警報等及び量的降灰予報の的確な発表に努める。また,平常時からの火山防災協議会における避難計画の共同検討を通じて,噴火時等の「警戒が必要な範囲」と「とるべき防災対応」を5段階で示した噴火警戒レベルの設定や改善を推進する。


  1. 運転者教育等の充実
  2. 運転免許制度の改善
  3. 安全運転管理の推進
  4. 自動車運送事業者の安全対策の充実
  5. 交通労働災害の防止等
  6. 道路交通に関連する情報の充実

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